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Fastly(FSLY) 下方修正の発表で株価は大幅下落。熟考の結果、全株売却しました。売却に至った4つの理由を解説します。

下方修正を発表したFastly($FSLY)ですが熟考した結果、昨夜の寄りで全株売却しました。

今回はなぜ売却に至ったのか、その理由を残しておきます。かなり煽ったタイトルにしてますが、完全に個人的な記録であり、如何なる投資を勧めるものではありません。

ここで書いていることはあくまで個人の意見であり、如何なる投資を勧めるものではありません。
むしろ、この判断が間違っている可能性も十分にあると思っています。

投資判断は自己責任でお願いします。

🌞 Fastlyを売却する理由

ガイダンスを引き下げた

今回のガイダンスの引き下げ理由として、次の2つをあげていました。

・以前に開示された最大の顧客(TikTok)によるFastlyのプラットフォームの使用は期待を満たしておらず、その結果、この顧客からの収益が大幅に減少した

・第3四半期の後半には、いくつかの顧客の利用率がFastlyが予想していたよりも低かった

特に気になるのが、2つ目の点。「いくつかの顧客」と省略している点も気に入らないですが、それ以上に気になるのが「第3四半期の後半」という点です。
7月と比較して9月に何が起こったのでしょうか。顧客の利用率に影響があったのか、学校が再開したことが影響を与えたのか。
何れにしても第4四半期に向けて利用率が低下していることが透けて見えてしまいます。

企業向けの新規顧客を増やすことができなかった

決算発表の中で、新たに7社の企業顧客を追加し、総顧客数が297から304になったという話。たったの7企業。。。
逆にCloudflareは80社の企業顧客を追加と発表しています。

※CloudflareとFastlyのビジネスモデルの違いは後段で記載しています。

売上成長率は62%増でしたが、顧客増加率はわずか2%です。つまり、既存の顧客の利用率が上昇しているものの、顧客数はほとんど増加していません。

顧客数が少ないということは、今回のTikTokのようなことが、今後起きたときに同じように直接収益に影響が出るリスクがあるということ。

Fastlyの収益の88%が企業顧客からだということを考えると、これって結構リスクが大きいのではと感じています。

決算前に下方修正した企業の株価が浮上するのは時間がかかる

決算前に下方修正した企業の株価が浮上するには、数ヶ月〜1年ほど時間をかけてから浮上する傾向にあります。

このままFastly株を保有していたとしても、今後半年から1年はデッドマネーになる可能性が高いと感じています。これは機会損失だと考えていて、ZoomやPeloton、Docusignのような明確なストーリーを持っていて、ファンダメンタルズも優れている銘柄を購入できないことはデメリットであると感じました。

Fastlyの経営陣への不信感

2020年2月、FastlyのCEO兼創設者だったArtur Bergman(オーサー・バーグマン)が辞任し、Joshua Bixby(ジョシュア・ビクスビー)がCEOに就任しています。

8月のカンファレンスコールでCEOは「TikTokのリスクはガイダンスに組み込まれている」と話していました。
結果、今回の下方修正で「以前に開示された最大の顧客(TikTok)によるFastlyのプラットフォームの使用は期待を満たしておらず、その結果、この顧客からの収益が大幅に減少した」と発表しています。

この手のひら返しの発表は、明らかに経営陣の落ち度であると感じています。

今回のリリースはFastlyという企業の成長性への期待をポジティブなものから不確実性へと瞬時に切り替わってしまったように思います。これはCEOの重大な失敗だったと思います。

Joshua Bixbyの本職はベンチャーキャピタリストで、公開企業を経営したことがない(今回が初めてのCEO)という点も、技術力で勝負する会社とは相反する性質のCEOであり、中長期的には悪い影響を与えるのではないかと少し心配しています。

何れにしても次回の決算発表では、この辺りも含めて可能な限り透明性を高めてもらいたいですね。


以上が売却の理由なのですが、熟考する中で「逆にまだ保有していても良いのでは?」という考えもありました。

結果的にFastly株は売却したのですが、せっかくなのでFastly株を保有すべき理由も残しておきます。


🌞 Fastlyをホールドすべき理由

シグナルサイエンスの買収

シグナルサイエンスの買収により、将来的に以下のメリットにより、Fastly の収益を再加速させる魅力的な買収でした。

・収益の増加
・より高い成長
・より高いマージン
・42社の新規エンタープライズ顧客
・類似のDNA、シナジー、クロスセルの機会を持つ企業
・Compute@Edgeと統合するためのSecure@Edgeという新たなビジネスの創出

最新のガイダンスにシグナルサイエンスの収益が含まれているかどうか不明ですが、もしすでに含まれているとしたら逆に心配ですが。。。

Google Cloudとのパートナーシップ

Google Cloud MarketplaceでFastlyを利用できるようにするなるという発表は、顧客がGoogle CloudからFastlyのソリューションを購入することができるので、今後の収益成長に繋がることを意味しています。

これらの情報は直近の収益というより、中長期的な収益に影響を与える内容のため、今回の下方修正は気にせずに長い目で見れば成長余地があるよねという意見も理解出来ます。

ただし、もし仮にFastly株をこのまま保有するとしても、第3四半期の決算説明会で経営陣がどのようなコメントを出すのかを重要視するべきだと思います。
経営陣の答えが曖昧だったり、減速が続くようであれば、そのタイミングで売却することになると思います。


🌞 FastlyとCloudflareのビジネスモデルの違い

今回、改めてFastlyとCloudflareのビジネスモデルの違いを調べて見ました。

Fastlyのビジネスモデル
Fastlyは開発者に焦点を当てたビジネスモデルで、Fastlyの強みは開発者を多く保有し技術的にも洗練されている大企業が顧客(Shopify、TikTok、Amazonなど)という点。
顧客とのより緊密な関係を形成し、ShopifyやAmazonが成長すればするほど、Fastlyのネットワークにトラフィックが流れ込み、Fastlyは成長していく。

Cloudflareのビジネスモデル
Cloudflareは新規ビジネスによる成長に焦点を当てたビジネスモデルで、より多くの顧客と契約していくことで成長していく。

どちらが良いとか悪いとかは無いですが、同じCDN市場ではあるものの、ターゲット顧客の棲み分けは出来ていると言えそう。

Fastlyの顧客数は少なく、大規模な顧客を抱えているため、その顧客が自ら成長することで成長の多くを牽引しているのに対し、Cloudfareは同じ成長を達成するために新規顧客を獲得する必要があります。

新規顧客の増加数の違いもこのビジネスモデルの違いから来ていると思います。そう考えると新規顧客数が少ないことは必ずしも悪いことではないとも言えそうですが、逆にTikTokのように1社の顧客の業績悪化によって、Fastlyの業績も大きく落ち込むというリスクがあります。

🌞 最後に

収益前に今後の収益の未達を開示することは、一流の成長企業が行うことではないと思っています。

Fastlyは今回の下方修正で60%以上の成長率を誇る企業から、40%の成長率の企業になってしまいました。まだ40%もあるという考えもあるかと思いますが、個人的には20%の変化は十分な変化だと感じています。

最初にPFの何割かをトリミングすることも検討しましたが、最終的には利益があるうちに全株売却する選択をしました。結果的に20%程度の利益となりました。

今回売却したキャッシュで、$ZM、$DOCU、$NET、$PTONの買い増しを実施しています。Fastlyにしがみつかなくても魅力的な銘柄が存在していたということも売却の理由です。

今後、Fastlyの株価がどうなるかは分かりませんし、私の判断が間違えていて、すぐに以前の株価に戻り成長を続けるかもしれません。
でも、自分の信念に従った結果ですので、後悔はしていません。

もちろん、中長期的には「シグナルサイエンスの買収」「Google Cloudとのパートナーシップ」など成長余地は十分にあると思いますので、今後の決算次第では再度購入することも検討しています。

こちらからは以上です。


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