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ソフトウェア開発者向けプラットフォームの「JFrog(FROG)」がIPOを申請。競合が少ない市場。同時期IPOのSnowflakeやUnityよりも投資妙味あるかも!?

ソフトウェア開発者向けプラットフォームを提供している「JFrog(FROG)」がIPOを申請しました。

JFrog FORM S-1

SnowflakeやUnityの影に隠れているものの、実は最も投資妙味があるんじゃないかと思っている企業です。

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早速詳細を見ていきましょう。

JFrogの概要

全てのビジネスにソフトウェアが必須となっていく中で、ソフトウェアのリリースサイクルをできるだけ早くかつ安全に行うことは、ビジネスの成功のために非常に重要になってきています。

最近はDevOpsと呼ばれる開発手法を取り入れる企業も増えてきており、

※ DevOpsとは、ソフトウェア開発と運用を統合することで、システム開発のライフサイクルを短縮し、ソフトウェア品質の高い継続的デリバリーを実現すること

JFrogは、このソフトウェアのリリースサイクルをできるだけ早くかつ安全に行うための開発者向けプラットフォームを提供しています。

JFrogはContinuous Software Release Management(CSRM:継続的ソフトウェアリリース管理)というカテゴリーで、DevOpsの一連のセグメントを統合的に管理可能なプラットフォームを提供しています。

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開発者がソースコードを実行可能なバイナリファイルに変換し、これらのバイナリを保存および管理し、ソフトウェアパッケージまたはバイナリファイルの組み合わせを作成して、リリースおよびデプロイするところまでJFrog上で管理することができます。

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そのプラットフォームの中核をなすのが、組織内のすべてのソフトウェアの記録システムであるアーティファクトリーです。ここでは、DevOpsチームはソフトウェアパッケージを保存・管理し、バックグラウンドでシームレスにユーザーに配信することができるため、リリースサイクルを加速し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

プロダクト

JFrog Artifactory
JFrogのプラットフォームの中心にあるのはJFrog Artifactoryです。Artifactoryは、チームや組織など任意の規模でソフトウェアパッケージを保存、更新、管理することができます。さらに、外部ソースを含め、パッケージとパッケージのバージョン間の依存関係を自動的にキャッシュすることで、デプロイされたすべてのソフトウェアパッケージが最新であることを保証します。
主要なパッケージ技術をサポートしており、JFrogだけでほぼすべてのパッケージを管理できるという点が開発者に評価されている点です。

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Artifactoryを補完するために、Pipelines, Xray, Distribution, Artifactory Edge, Mission Control, Insigh完全に統合された製品群を提供しています。

・JFrog Pipelines
CI/CDツールであり、プラットフォームを介したソフトウェアパッケージの移動を自動化し、オーケストレーションを行います。

・JFrog Xray
JFrog Artifactoryを継続的にスキャンして、そこに保存されているすべてのパッケージを保護します。

・JFrog Distribution
信頼性が高く、拡張性があり、安全なソフトウェアパッケージの配布を高パフォーマンスで提供します。

・JFrog Artifactory Edge
ランタイム環境に近い場所に配置された、特殊なJFrog Artifactoryです。

・JFrog Mission Control
プラットフォームのコントロールパネルを提供します。

・JFrog Insight
DevOpsインテリジェンスツールです。

これらは完全に統合されていて、顧客はソースコードリポジトリからのソフトウェアのコンパイル、ソフトウェアパッケージ内のコンポーネント間の依存関係の管理、ユニバーサルリポジトリへのパッケージの移動、オープンソースライブラリを含むサードパーティからのパッケージのインストール、脆弱性のスキャン、エンドポイントへの配布、本番環境へのデプロイを、単一のユーザーアクセスポイントを通じて行うことができるようになります。

JFrogはサービスのメリットとして、エンドツーエンドの統一プラットフォームであること、単一の信頼できるリポジトリであること、自動化による高速化、マルチクラウド展開、スケーラビリティ、セキュリティなどを挙げています。

JFrogの競合は?

ソースコードのバージョン管理ビジネスの、GitHubやBitBucketなどがありますが、これらは成果物のバージョン管理を行うためだけのサービスであり、厳密に競合にはなりません。

JFrogの競合には、Apache Software FoundationSonatypeあたりが有名です。

その中でJFrogの優位性には次のようなものがあります。

・対応するパッケージフォーマットの多さ
・主要なビルドツール、CI/CDサーバーと簡単に統合し、自動化できる
・高可用性とスケーラビリティ
・高セキュリティでの安全管理

Go-To-Market戦略

JFrogはボトムアップ型の戦略をとっています。

ボトムアップ戦略は、対象者が広範囲なためマスに近いマーケティング戦略で、営業担当者を使わず行うセルフサーブ(顧客自身が製品を理解し試用、導入する)型の戦略です。
ボトムアップ戦略の場合、ユーザーオンボーディング(ユーザーにアプリをできる限り素早く簡単に理解、体験、開始してもらうこと)でビジネスを完結させることも重要で、同様のビジネスモデルにはZoomやSlack、Twilioなどがあります。

2014年からキャッシュフローを黒字化しており、セルフマネージド・サブスクリプションはサーバーの数に応じて価格が設定されているのに対し、収益の20%を占めるSaaSは利用状況に応じて価格が設定されています。

JFrogの収益は、セルフマネージド・サブスクリプションとSaaSサブスクリプションからの収益で構成されています。セルフマネージド・サブスクリプションの中には、前もって認識され、連結損益計算書の別項目となる独自の機能からのライセンス収入があります。

ARRとNDR

2020年6月30日現在、顧客のうち286社が10万ドル以上のARRを有していて、全体のARRの48%を占めています。
2018年12月31日時点で、顧客のうち131社が10万ドル以上のARRを有していて、2019年12月31日現在で234社に増加し、現在は286社に増加しています。

NDR(Net Dollar Retention)は2020年6月30日時点で139%という発表しており、非常に好調であることが分かります。ただし目論見書によると、COVID-19パンデミックの影響により、NDRはもう少し低下するだろうと書かれています。

顧客

2020年6月30日現在、フォーチュン500の上位10社のすべてのテクノロジー企業、上位10社のうち8社の金融サービス企業、上位10社のうち9社の小売企業、上位10社のうち8社のヘルスケア企業、上位9社のうち7社の通信企業を含む約5,800社の企業で使用されています。

収益基盤は非常に多様化しており、総収益の2%を超える顧客はありません。顧客には、Google、Microsoft、Twilio、Visa、Morgan Stanley、Splunkなどがあります。

業績

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四半期ごとの売上高は上グラフのように右肩上がりで増加しています。成長率は減少傾向ですが、直近でも46.3%の成長率となっています。

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直近の決算で初の黒字を達成しています。

まとめ

直近のFY20 Q2の決算は、NDRが139%、、82%の粗利益率、4%の営業利益率、6%のFCFマージン、ARRは前年同期比46%の成長と素晴らしい決算でした。

市場規模も220億ドルで現在の収益から見ても、まだまだ成長余地のあるTAMですね。

競合もそれほど強力な競合がいないこともあり、市場の成長と浸透が直接JFrogの成長に繋がる可能性が高いと感じています。

また同時期にIPOを行うSnowflakeやUnityの影に隠れているため、初値がそれほど上がらない可能性もあり、実は最も投資妙味があるんじゃないかと思っている企業です。



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