SaaS銘柄を評価する指標「40%ルール」の有用性を考えてみる。40%ルールを使用して現時点の買い推奨銘柄を探してみた。
SaaS銘柄の企業価値を計る指標として、「40%ルール」というものがあります。今回はこの40%ルールがSaaS銘柄を投資する判断に使えるのかを調べて見ました。
40%ルールとは
40%ルールとは、「SaaS企業の売上高成長率と利益率の値が40%を超える企業は健全な企業である」という考え方になります。
「企業の売上高の成長率」+「利益率」=40%以上
以下のような場合は「40%ルール」は全て40%を超えるため、投資をする価値があるといえます。
・売上高成長率前年比100%ならば、営業利益率は-60%まで許容範囲
・売上高成長率前年比40%ならば、営業利益率は0%以上
・売上高成長率前年比0%ならば、営業利益率は40%以上
・売上高成長率前年比-20%ならば、営業利益率は60%以上
営業赤字がでていても売上高成長率が高ければSaaS企業では問題ないという考え方ですね。
対象SaaS銘柄
今回選択した銘柄は、Q2決算を発表済みの以下の26銘柄です。
・Etsy, Inc.:ETSY
・Livongo Health, Inc.:LVGO
・Shopify Inc.:SHOP
・Datadog, Inc.:DDOG
・ServiceNow, Inc.:NOW
・PayPal Holdings, Inc.:PYPL
・Adobe Inc.:ADBE
・Wix.com Ltd.:WIX
・Twilio Inc.:TWLO
・Fastly, Inc.:FSLY
・AppFolio, Inc.:APPF
・Dropbox, Inc.:DBX
・Five9, Inc.:FIVN
・2U, Inc.:TWOU
・BlackLine, Inc.:BL
・HubSpot, Inc.:HUBS
・Zendesk, Inc.:ZEN
・Cloudflare, Inc.:NET
・Alteryx, Inc.:AYX
・Paycom Software, Inc.:PAYC
・MobileIron, Inc.:MOBL
・Sprout Social, Inc.:SPT
・FireEye, Inc.:FEYE
・The Trade Desk, Inc.:TTD
・Pegasystems Inc.:PEGA
・Appian Corporation:APPN
40%ルール結果
今回の40%ルールの計算は、「売上高成長率+FCFマージン」で算出しています。
バブルチャートで表すと以下のようになります。バブルの大きさは時価総額の大きさです。
・40%を超えた銘柄は10銘柄
・20%〜40%の銘柄は9銘柄
・20%以下の銘柄は7銘柄
となりました。
パフォーマンスを確認してみる
過去3年以内でIPOを行った企業に絞って、直近1年間のパフォーマンスを調査してみました。
40%を超える企業のパフォーマンス
過去1年間のパフォーマンスは全企業で100%を超えています。
20%を下回る企業のパフォーマンス
過去1年間のパフォーマンスは全企業で100%を下回る結果となりました。
この結果を見る限り、「40%ルール」のスコアが高い銘柄に投資する方がパフォーマンスが良いという結果になりました。
スコアが40%を超える銘柄から投資対象銘柄を探す
スコアが40%を超える銘柄の中から、最も今後のパフォーマンスが期待出来る銘柄を探してみます。基準は、40%を超える銘柄のなかで、過小評価されている銘柄を探します。
「すでに過大評価されて株価が上がっている銘柄よりも、まだ市場から過小評価されている銘柄の方が、今後のパフォーマンスが期待出来る」という考えをもとにしています。
市場から過大評価されているか過小評価されているかを調べるには「40%ルールスコア」と「EV/Revenue」を比較します。
「40%ルールスコア」と「EV/Revenue」の相関を表すトレンドラインを引いてみました。
トレンドラインよりも上にいる銘柄は過大評価されており、下にいる銘柄は過小評価されている企業です。
この結果を見ると、スコアが40%を超えており、かつ過小評価されている銘柄は「Etsy, Inc.(ETSY)」が該当しています。Etsyの現在の株価はは以下の通りです。
逆に「Livongo Health, Inc.(LVGO)」、「Shopify Inc.(SHOP)」、「Datadog, Inc.(DDOG)」は過大評価されていると言えそうです。
まとめ
以上、「40%ルール」の有用性の確認と、40%ルールを使用して現時点の買い推奨銘柄を探してみました。
今回は「40%ルール」のみを利用して買い銘柄を探しましたが、実際に銘柄を購入する場合は、様々な指標をチェックすることはもちろんですが、その会社の成長ストーリーに同意できるかどうかが重要だと思っています。
そのため個人的には、1つの指標だけで実際に株を購入することはありません。
今回はあくまで「40%ルール」の有用性を確認したくて検証した結果と個人的見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
ポジションの選択はご自身の判断にて行って頂いて、一切について責任を負うものではない事をご理解ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?