弁理士が運営しているブログ<営業秘密ラボ>の記事のまとめを不定期で公開しています。なお、公開した記事も適宜改定や追加を行う予定です。 現在は下記の記事があります。 <知財戦略関連>・知財戦略カスケードダウンの概要(2021/10/31 公開) ・QRコードの普及から考える知財戦略 ー知財戦略カスケードダウンへの当てはめー(2021/10/17 公開) ・アサヒビールの生ジョッキ缶から考える知財戦略 ー知財戦略カスケードダウンへの当てはめー(2021/5/4 公開) ・C
営業秘密は、秘密管理性、有用性、非公知性の三要件を全て満たした情報でなければなりません(不正競争防止法第2条第6項)。しかしながら、民事訴訟等においては、原告が営業秘密であると主張する情報の秘密管理性を裁判所が認めない場合が多々あります。今回は、原告がアルゴリズムとプログラムとを営業秘密であると主張した民事訴訟において、裁判所がアルゴリズムの秘密管理性を認めなかった一方で、プログラムの秘密管理性を認めた裁判例を参照して、情報に対する適切な秘密管理と不適切な秘密管理について考察
営業秘密は、秘密管理性、有用性、非公知性の三要件を全て満たした情報でなければなりません(不正競争防止法第2条第6項)。そして、民事訴訟において三要件のうち秘密管理性が認められなかったたため、原告等が営業秘密であると主張する情報の営業秘密性が裁判所に認められないことが多々あります。しかしながら、営業秘密であると主張する情報が特定されていないとして、営業秘密の三要件の判断すら裁判所が行わない場合が少なからずあります。このため、情報を営業秘密として管理する場合には、まずは営業秘密と
<1.CC-Linkの概要>CC-Linkとは、三菱電機が開発したオープンな産業用ネットワークであり、マスタ局とスレーブ局とがオープンフィールドネットワークであるフィールドバスで接続され、マスタ局とスレーブ局との間でデータ通信を行うものです(現在はスレーブ局という呼び名をデバイス局としています。「CC-Link協会2021年11月30日お知らせより」)。 このCC-Linkの普及のためにCC-Link協会が発足しており、そこにはCC-Linkが以下のように紹介されています。
筆者が提案している知財戦略カスケードダウンの概要について説明します。なお、詳細については下記もご参照ください。 ・パテント誌掲載:「知財戦略カスケードダウンと三方一選択」パテント Vol.74 No.4, p78-p86 (2021) ・知財実務オンライン(YouTube):「知財戦略カスケードダウンと三方一選択」 ・note記事:QRコードの普及から考える知財戦略 ー知財戦略カスケードダウンへの当てはめー ・note記事:アサヒビールの生ジョッキ缶から考える知財戦略 ー
(株)デンソーが開発した2次元コードであるQRコードを使ったことがない、若しくは見たことがないという人はいないでしょう。それくらい、QRコードは広く普及している情報コードです。 参考:デンソーウェーブホームページ QRコードドットコム このQRコードの普及に関して、「QRコードの開発と普及-読み取りを追求したコード開発とオープン戦略による市場形成-」という論文が発表されています。以下ではこの論文を「QRコード論文」といいます。 今回は、QRコードに関する知財戦略につい
最近、営業秘密侵害罪という言葉をニュースで度々聞くようになりました。では、営業秘密の侵害は他人事でしょうか?実際にはそうではありません。皆さんが転職や起業を行う場合にちょっとした出来心で前職会社が秘密としている情報を持ち出すと、刑事事件となり逮捕等される可能性があります。ここでは、企業に勤務されている皆さんが知っておくべき営業秘密侵害について解説します。 1.誰が営業秘密を持ち出すの?下記図は、営業秘密の漏えいルートのアンケート結果(IPA「企業における営業秘密管理に関する
2021年の4月にアサヒビールから缶ビールでありながら、サーバーから注いだ生ビールのように泡立つ生ジョッキ缶が販売されました。 アサヒビールは特許出願も行ったとのこともあり、このビールを個人的に購入してみたところ、開封直後の泡立ちはインパクトがあり、直感的に面白い商品だなと思いました。 実際に、この生ジョッキ缶は注文が想定を上回り出荷を一時停止するほどの反響があったようです。このため、他のビールメーカーもこのような泡立ちの良い缶ビールの製造販売に追従する可能性があるのではな
特許に関しては、特許法35条(職務発明)の法改正が度々行われ、特許を受ける権利は誰に帰属するのかや、発明者の権利保護が明確になっています。 しかしながら、営業秘密の帰属については、営業秘密保護の規定がある不正競争防止法においてもその規定はなく、未だ法的に明確になっていません。そして、営業秘密の帰属については、主に不正競争防止法2条1項7号の解釈が問題になります。 不正競争防止法2条1項7号 営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合にお
出展や参考のリンクがないものは、管理人が独自に作成したものです。 ・営業秘密の漏えいルート 出典:IPA「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020 調査報告書」 ・日本の特許出願件数と企業等の研究開発費の推移 参考: 特許出願件数 特許庁ホームページ「年報統計・資料編(統計表一覧・正誤情報)」等 日本企業等の研究開発費 経済産業省ホームページ「我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向 -主要指標と調査データ-」 ・民事事件件数 ・営業秘密侵害の主だった刑
<一般的な情報> 経済産業省 ・営業秘密管理指針(最終改訂:平成31年1月23日) ・秘密情報の保護ハンドブック ・営業秘密 ~営業秘密を守り活用する~ ・産業構造審議会 知的財産分科会 ・不正競争防止法に関するこれまでの報告書一覧 ・産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン ・研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0 日本弁理士会 ・営業秘密に関するコラム 独立行政法人 情報処理推進機構(
特許と営業秘密(技術情報)は何かと対比されます。 特許と営業秘密との違いは多々ありますが、最も大きな違いは、特許は“公開公報”又は“特許公報”としてその技術内容が公にされますが、営業秘密はその技術を公にしないことです。 特許出願をすると特許権という他社にその技術を使用させない独占排他権を取得できる可能性がありますが、特許権を取得できなかった場合には公開された技術を誰もが、他者の特許権を侵害しない範囲で自由に使えることになります。 一方、営業秘密として技術を管理すると、公に
営業秘密とは、一般的には企業等が秘密としている情報を想像するかと思います。しかしながら、営業秘密と似たような文言である、企業秘密、機密情報、秘密情報、ノウハウといった言葉は、法律で定められていない一方で、営業秘密は不正競争防止法で明確に定められています。具体的には、営業秘密の三要件である秘密管理性、有用性、非公知性を全て満たす情報のみが営業秘密とされ、情報を秘匿化するにあたり、営業秘密の三要件を理解することが重要となります。 (2023年9月18日加筆修正) (1)不正競争