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月明かりの道、風の音、燃える山

今日はこれから飛行機でブエノスアイレスに行きます!ということで、待ち時間に書き溜めていた日記を書くぞー。

あとでまとめページを作って時系列を整えるので、記憶が新しい日のことから書くことをお許しください…。まずは、フィッツロイを見に行ったときのこと(つぶやきにはフィッツロイに登ったと書いたけれど、これは正確ではなかったですね…)。筋肉痛が辛い!

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世界一周、七日目。
アルゼンチン、エルチャルテン。

パタゴニアのマークでお馴染みの山、フィッツロイ。
天気がいい日であれば、日の出の時間に太陽の光を受けて山が赤くなるらしくって、それが見たかったから行ってみることにした。

曇っていると、山が見えなかったり、赤くならなかったりするようなので、天気が大事。ここから先数日の天気を見ると、少し曇りくらいの天気が期待できそうなのはこの日(2/10)のみで、そこから先は雪の予報…。絶対にこの日に登るっきゃない!
(他の方が紹介してくださっていたこちらのサイトで天気を見た↓)

https://www.mountain-forecast.com/peaks/Cerro-Fitzroy/forecasts/3375

燃える山を見るための方法は、他の方のブログなど読むに二つあるらしい。

①前日の夜、ビューポイントから1時間ほど下にあるキャンプサイトでキャンプし、当日1時間ほど山を登って見る

②当日、日の出の4時間前頃から山を登り、見る

②は暗い山道を歩くことになるから危ないかな?と思ってもともと①の方法で行こうと思っていたんだけど、ネットで調べていると女性一人で②の方法を達成している人もいたし、テント用の荷物を持って山登りをすることに自信がなかったので、②の方法で行くことにした。

前日、ツーリストインフォメーションで聞くと、10日の日の出は6時50分くらいらしい。4時間くらいかかるトレッキングコースだけど、私は山登りのど素人だからもっと時間がかかりそう。2時から登ることにしよう。

夕方から仮眠をとって、すっかり暗い時間に宿を出る。この日のために買ったヘッドライトも持った。

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暗いから、カメラでもスマホでもうまく写真が撮れない。どうか燃える山が見られますように!と祈りながら山登りを開始。

ほとんど人がいないなあ、と思いながら歩いていたところ、前方に日本語を話す集団を発見。
こういうときにスッと声をかけられない私は、ちょっと距離を取りながら後ろからストーカーのようについていくことにする(根暗)。

他の方のブログを読んだところ、「スマホの明かりでも登れる」と書いている方もいたけれど、私はヘッドライトを持っていってほんとによかったと思う…。道に迷ったらスマホの地図(maps me)を頼りにルートに戻るしかないから、この電池は大事に使いたいのだ。

ヘッドライトの明かりなら、ある程度先まで照らすこともできる。5000円くらいするから悩んだけど、暗い山道でも使える用のを買ってよかった。

しばらく行くと、前方の日本人の集団が止まっている。

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どうやら、分かれ道らしい。

ここで、ウシュアイアの国立公園でご一緒したTさんに再会!連絡先を交換していて、今日くらいしか天気がよくなさそうだ、という話をしていたところ、Tさんも今日登ることにしたそうだ。Tさんいわく、どちらの道から行っても同じくらいの距離、とのこと。

日本人の集団は右へ、Tさんも右に行くとのこと。
私はキャンプサイトでトイレに行きたかったので、左から行ってみることにした。

「また後で会おう」と、Tさんと別れる。

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分かれ道の先は、暗闇の中にたった一人になる。まるで世界に自分しかいないみたい。

遠くは見えないから、ヘッドライトの明かりをたよりに、その先にゴールがあることを信じて、一歩一歩歩いていくしかない。たまに振り返ると、真っ暗な中に大きな木が立っていて、恐ろしくなる。

木の根っこや石に、度々足をとられる。ちょっとした段差に躓きそうになる。ヘッドライトで照らされた道は真っ白で、でこぼこの具合がよくわからない。 
行くのも帰るのもそれなりの距離があるから、とにかく転ばないように、慎重に歩かねば。頭を斜め下に向けて、足元を睨みつけながら歩く。

話す人がいないから、周りのいろんな音がよく聞こえる。

風が木々の間を通り抜ける、波のような音。虫の声。ちろちろ流れる川と、ごうごう流れる川。

背の高い木がない場所に出ると、驚くほど月が明るい。

真っ黒な山陰が見える場所で空を見上げると、たくさんの星が瞬いている。眼鏡を少し弱めにつくってるから仕方ないのだけど、はっきりと見えないのが悔しい。時々、フィッツロイが白くぼんやりと浮き上がって見えて勇気づけられる(不思議なことに、フィッツロイは夜でも黒く見えなかった)。

ルートでないところに着いてしまって茂みのようなところに出ると、心底不安になった。ヘッドライトが照らす円の外は真っ暗だ。maps meを見て、「こっちだったかな…」と独り言を言いながらまた歩く。

だんだん、ルートとそうでないところを見分けるのがうまくなる。基本的に、たくさんの人に踏みしめられたからか、みっしりと安定感がある道がルートだ。私の前を通ってきた、大勢の人たちに思いを馳せる。

足を置くごとにぽいんぽいんと跳ねる橋を二回通った。
丸太を縦に割ってつくられた橋は、真ん中が空洞になっているから足を乗せるのが難しい。

写真に残せなくてすごく残念だったけど、特別な時間だった。ずっとずっと夜が続くみたいな、この世じゃない場所にやってきてしまったみたいな。

キャンプサイトは二つあって、一つ目のキャンプサイトは頂上から随分遠いので、人が少なかった。(暗闇の中にテントを見つけたときは、他の星の基地にたどり着いたみたいな気持ちがした)

二つ目のキャンプサイトの「ポインスノット」は、下から登ってきた者たちにとっても重要な場所だ。

ここまでくればあと少し、という目印になる場所だから。

そして同時に、ここから先がいよいよ大変だぞ、という場所でもある。

他の方のブログを読んでいると、ここから先が本当に大変だったということを書いている人ばかりだったので完全にビビっていたが、

想像の5000000000倍大変だった。

ほとんど平坦な道を来たとはいえ、既にここまでで3時間歩いている。

からの、

急角度の岩の階段。

かなり足を持ち上げないと次の段に進めないので、早くも息が切れてくる。

これ(&もはや階段ではなく岩場)が、

しつこくしつこくしつこく続く。

人間だったら友達になりたくないタイプのしつこさである。

頭の中でエンドレスリピートする「まだ終わらないの??????」という、叫び。

あと1時間って看板に書いてあったけど!!!

ほんとかよ!!!??
ほんとに1時間で着くのかよ!!!!!????

あ、あそこまで登ったらもしかして頂上…?

という期待を何度となく裏切られ、

ついには五歩ごとに休憩をするようになり、

はりきって着てきたノースフェイスのインナーも、額の周りの髪もすっかり汗に濡れ、

なんでみんな好き好んでここに来てるわけ?!みんなマゾなわけ?!?!と、(自分もそうなのに)疑問が渦を巻き、

もう帰りたいけどここまで来たら帰りようもないじゃん、と絶望し、

…ているうちに、空が赤くなってきた

(このときたしか、5時45分とかそれくらい)

こんなに苦労してきたのに、日の出に間に合わなかったら私は…!

最後の力を振り絞って、でもやっぱり何百回と休憩をしながら、冗談のように激しく息を切らせながら登っていくと…

ついに、頂上にたどり着いた!!!

たしかこのとき、6時過ぎくらいだったかな?

山が赤くなったときによい場所で写真が撮れるように、韓国語を話す若者グループ(男女数名で登ってきたみたいで青春感がすごい)の隣の石に座ってみる。

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フィッツロイさんよ、ここまで…まじで長かったぜ…。

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山の反対側は、赤くなってきている。
(色だけで言えば、こっちのほうがきれい。パタゴニアのマークの色合いは、実は山の反対側のほうから取っているのでは、とこのとき思った)

しばらく山の写真を撮ったり、韓国語グループがチョコパイをみんなで食べ合っているのを見たりしていると、右の方にいたらしいTさんが「写真撮ろうか?」と話しかけてくれて、お言葉に甘える。Tさんにはサンドイッチまでもらってしまって、ほんとお世話になりどおし。

ちなみにこのご来光を待っている時間、ものすごく寒い。寒いらしいとはネットで読んで知っていたけど、想像以上の寒さ。あったかいストール持ってきてよかった。でも、まだ寒い(若干震えるほどの寒さ笑)。

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お、山が赤くなってきたぞ!(月が見えるのがまた素敵だ)

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つ、ついに山が燃えた…!

青空とのコントラストがきれいだなあ…!
下に湖があるのがまたよくて、うっとり見る。

曇りの予報だったけど、雲がかからない姿を見ることができて、嬉しい。天気が悪いと、この美しさは楽しめないらしいのだ(この前の日にもここに来た人によると、前日は雨でこのような色では見られなかったらしい)。ピンポイントで狙ってこれが見られたのは、ほんとにラッキー。

この魔法のような時間は10分くらいで終わってしまう。
このたった10分のために世界各地の人々が苦労して山を登っているのかと思うと、そのことこそに心打たれる。

途中、日本人グループの人が話しかけてくれて(予想通りだが、私は日本人だと思われていなかった。笑)、日本人というくくりで集合写真を撮る。初めての経験。

魔法の時間が終わったので、下山することに。

写真を撮りながらお話したJちゃんと、Tさんと、なんとなく一緒に行く流れになる。

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やっぱりあの時間以外のフィッツロイは、赤くないんだな。

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まったく同じ道ではないし、これは緩やかなところで撮った写真なんだけど、岩場っていうのはこんな感じです。

帰りにもう一度ポインスノットのトイレに寄ったところ、蓄積物が大変な高さまで来ていた。

TさんとJちゃんいわく、「これまでの旅の中で一番すごいトイレだった」とのこと。

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フィッツロイはどこから見ても絵になるから、何回も立ち止まって写真を撮りながら帰った。

帰りは下りだから他の人と話をする余裕もあって、お二人のこれまでの旅の話を聞いたり、好きなお弁当のメニューや食べたい日本食の話をしながら帰った(Tさんが塩鯖のおにぎりの話をしてから、私は塩鯖が食べたくて仕方ない)。穏やかで幸せな時間だった…。

日本人グループを見るとちょっと怖くなってしまう(なんか入りにくくて)ビビリなのだけど、旅先で日本人の友達をつくるのも楽しみの一つだったので、それができて嬉しい。

そして、フィッツロイを見ながら食べるバナナは格別だった!

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日本の春みたいなぽかぽか陽気。
山以外の自然も、広々としていて気持ちがいい。

6時間(!)ほどかけて、ゆっくり山を出た。

普段はアウトドアはしんどいので全然やらないけど、ここは行って本当によかったな〜。
でもあまりにもしんどかったから、もう二度と行かないと思う笑。

その後、一緒に下山してくださったTさん、Jちゃんと、打ち上げ的に一杯飲みに行くことに!

遊んでいる子どもたちとフィッツロイを見ながら、ぽかぽか暖かい店外でビール!うおー最高!!

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私が頼んだのは、フィッツロイデザインのクラフトビール!赤にしてみたら、燃える山っぽいラベルデザインでよかった!160ペソ(約320円)。

このビール、すごーくおいしかった!疲れた体に染み渡る…。

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おつまみにアンチョビのピザを3人でシェア!
600ペソなので一人200ペソ(約400円)。
アンチョビの塩気がまたビールに合って、すごくおいしかった〜。

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続いて、ちょっと気になっていたアイス?ジェラート?屋さんへ。
写真は夜撮ったものなので暗いですが…これがまたよかった…。

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3フレーバーで200ペソ(約400円)。
たぶん20以上フレーバーがあって、わくわく悩みながら注文。  

マスカルポーネ、フラン(プリンぽいの)、バナナなんとかにしてみた。どれも、甘さがちょうどよいさっぱりさでおいしい!

Tさん、Jちゃんにも頼んだのを分けてもらったんだけど、Tさんが頼んでたレモンパイが一番おいしかったな。

ちなみに、180ペソのコーン(見た目ワッフルコーンぽいやつ)はすっごく分厚くて、コーンで頼まれたお二人は完食できていなかったので、頼まれる方はご注意…。

宿でしばらく休んで、夜は、他の方のブログで羊がおいしかったと書いてあったレストランへ(他の方のブログには店名が書いてなかったんだけど、宿の人に内装の写真を見せたらお店の名前を教えてくれた)!

ご飯をシェアしてくれる方を探していたら、Tさんがつきあってくださるとのこと!やった〜!

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ちょっと写真が暗いけれど…La Taperaというお店。

私達が行ったときには満員で、15分?くらい待った。大人気!

写真を撮り忘れちゃったけど、Tさんはクラフトビール、私は赤ワインで乾杯!赤ワインは、一杯220ペソ(約440円)だった。

地味に、今まで飲んだ赤ワインの中で一番おいしかったかも…!

ワインってすぐ酔えるから、日本では今日は正気でいられないやって日に飲んでいたけれど笑、渋み?がちょっと苦手で。その渋みがおいしさになってるよいバランスだったと思う。うおーさすがアルゼンチン!

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ついてくる自家製のパンがまたおいしい。外はパリパリなんだけど、中はふんわり。ソースは、人参ににんにくを合わせてるのかな?

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羊肉とレンズ豆のシチュー。たしか、680ペソ(約1360円)。レンズ豆のスープをトルコで飲んでから、結構レンズ豆が好き。羊肉がほろほろ柔らかくて、レンズ豆とよく合っておいしい。

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羊肉のラビオリ。たしか680ペソ(約1360円)。
これが…めーちゃめちゃおいしかった!!
羊って下手すると重くなっちゃうと思うんだけど、たくさんトマトが入ってるからもたれない。

山登りで消費したカロリー分は、今日の昼と夜の贅沢で確実に摂取したね…なんて話しながら、おいしく食べました。

本当はステーキも頼んでみたかったけど、お腹いっぱいになったので二品に留めておくことにした。頼んでる人たちを見ると、すごい大きさで衝撃的だった…!

Tさん(3年くらい旅をされてる)にいろいろ聞いて、アフリカはかなりピンポイントで行こうかなと思い至る。
怖そうすぎるし、移動があまりにも難しそう。気を張る時間が長いと、旅が楽しめなくなっちゃうなー、と。そもそも、私は長い間気を張り続けることができない。また、Tさんいわく、ゴロゴロのバッグだとアフリカは移動が大変なところが多いそう。

たくさん歩いて、たくさん食べて飲んで、とっても健康的な気持ちでぐっすり眠った。

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