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ウィークエンドけそ(第42回/2021.8.8号)

くずざんぽー、けそです!

今週も、勝手にやってるテキストラジオ、『ウィークエンドけそ』のお時間がやってまいりました。久々の更新です!8日の日付で出してますが、がっつり0時を過ぎちゃったんでもう9日(月曜日)…また「ウィークエンド」を逃してしまいました!まあ連休なので、気分はウィークエンドですね(適当)。

私が暮らす東京は、朝も晩も救急車が通る音がひっきりなしで、日々ディストピアの真ん中で生きています。皆さんはお元気でお過ごしでしょうか?

こないだもつぶやきに書いたんですが、最近の私はずっと、無料公開されている『ゴールデンカムイ』を読んでました。

有名な作品ですが一応あらすじを書いておきますと、こんな話です。

明治時代後期。「不死身の杉元」の異名を持つ日露戦争の英雄・杉元佐一は、ある目的のために大金を手に入れるべく北海道にいた。そこにアイヌから奪われた莫大な埋蔵金という、一獲千金のチャンスが舞い込む。埋蔵金は網走監獄に収監中の男によって隠匿され、24人の脱獄囚の身体に刻まれた刺青がその在り処を示す手がかりだという。そんな折、ヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。名をアシリパ(けそ注:作中では「リ」は小さい字で表記)というその少女は、埋蔵金を奪った男に父親を殺されていた。

(『ゴールデンカムイ』アニメ公式サイトINTRODUCTIONより引用)

物語が持つ力っていろいろあると思うんですけど、そのうちの一つ、「自分が経験したことがないことを、まるで経験したことのように人生に加えてくれる」を強烈に感じさせてくれる作品でした。それは、アイヌの人たちの文化だったり大切にしていることだったり、戦場の勢いと悲しみと虚しさだったり。

膨大な下調べの上に紡がれていて緩急がびしばしにつけられているストーリーが文句なしに面白く、キャラクターが皆魅力的。その上、ヒロインのアシリパさんを性的な存在として扱っていないところとか、それぞれの登場人物の光と闇、その人がその人になるまでを丁寧に描いてるところとか、いろんなキャラクターやエピソードを鏡として置いてて誰も「あっち側の人間」って扱いにしてないとことか、作者の野田さんの倫理観が信頼できます。基本的に。(←作品に向き合う時でも直接人と話すときでも、相手が誰であれ、この人のことを100%信じてる!って妄信は危険だと思う。違和感があったときにはちゃんと立ち止まりたい。全部に納得できるわけじゃなく、時々引っ掛かるところもあって、でもそれが考えながら作品を読むってことじゃないだろうか)。

男性の裸体がやたら出てくるのと、結構グロ表現が多いのとで読者をやや選びそうな漫画ではありますが、そこがクリアできる方にはおすすめの作品。家でやること尽きたぜって方はぜひ!無料公開は9/17までです。

さて、この番組では、この1か月前後でけそがビビビと来た、SNSの話題・ラジオで聴いたもの・YouTubeで観たもの等の中から、特に皆さんにお伝えしたいものを紹介していきます。

それでは、今週の最初の部門!

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箱の外のフェミニズム(「女性活躍」という言葉が取りこぼしているものは何か?)

時々ゆるっとしたことも書きたいなーと思うんだけど、毎日この社会の生きづらさを感じるニュースばっかりで。少なくとも今日はこれについて書きたい。立ち止まるための材料を、私の記事を読んでくださる方ともシェアしたい。

もうアーカイブの公開期間も終わっちゃっていて申し訳ないのだけど、「プンクトゥム:乱反射のフェミニズム」という数回の配信から構成されるオンラインイベントの中の、「堅田香緒里×菊地夏野 『ネオリベ回避のアイディアをエア車座になって探ろう!』」で、目から鱗が落ちまくって、ああ、これが知るってことだなあ、と思ったので、その内容を中心に書く。

その前に、そもそもネオリベ(新自由主義)とは何か?

「新自由主義」はシカゴ大学のミルトン・フリードマンやフリードリヒ・ハイエク(いずれもノーベル経済学賞受賞)が提唱した考え方で、「自己責任」を基本に「小さな政府」を推進し、グローバル化、規制緩和による競争促進、均衡財政(プライマリーバランス)、福祉・公共サービスなどの縮小、公営事業の民営化などの経済政策を指す。日本で国鉄(現JR)や電信電話公社(現NTT)、郵政事業(現日本郵政)など3公社5現業が民営化されたのも、「新自由主義」の流れだ。

alternaの記事「菅政権が『最後の新自由主義政権』になる」より引用
(記事の内容でちょっと気になるところ(※)はありつつ、説明がわかりやすいのでここから引きます(※そもそもこの媒体はSDGs賛成派っぽいのだけど、私は今、SDGsに懐疑的だから…日本では資本主義に利用されまくってる感じがするから…女性が全然平等に働けてない会社でもSDGsを掲げてたりするからね…))

イベントの話に戻る。個人的に印象的だったところばっかりに偏ってしまうのだけど、以下のような内容が話されていた。

・フェミニズムにも、ネオリベ的価値観が浸透してきている。
「社会の状況を変えようとするより、自分の考え方を変える方がよっぽど簡単だ」という価値観。「自己投資」という言葉も、ネオリベを擁護する。

・ネオリベ的なフェミニズムが視野に入れているのは、主にアッパークラスの女性の活躍。「リーダーや起業家に女性を増やそう」。しかし、国にとっての損失や社会にとっての幸せといった、算定根拠があやしげなものも数値化され、女性個人ではなく会社や社会に視点が置かれている。また、政治家やジャーナリストに「女性の数だけ増えればいい」わけではない(例:自民党の女性政治家が国会議員の半分になったとして、目指しているところにたどり着けるだろうか?)よく話題にされる「ジェンダーギャップ指数」も問題を内包している。日本のランキングが上がれば、他の国は切り捨ててもいいのか?移民の女性や、外国籍・在日の女性は切り捨てていいのか?「フェムテック」も資本主義との結びつきが強い。企業は、もうからない反差別には加わらない。

・ネオリベ的フェミニズムは「上に立つことでジェンダー平等を勝ち取ろう」とする。女性が横につながって、そのままの形で社会に働きかける方法(例えばストライキなど)は取り込まれない。

・自称フェミニストで、フェイスブックの最高執行責任者シェリル・サンドバーグの本『リーン・イン』の中で語られていることは、一見先進的に聞こえるけれど「偽装フェミニズム」の部分も。例えば、「周りの人を怒らせてはダメ」「仲間をつくって好感を得なきゃダメ」「上司に待遇のアップを要求してもいいけど、その理由に女性差別を挙げてはダメ」。

・アンダークラスの女性には「自立支援」をするが、それは実際には福祉の縮減になっている。「自立支援」という名前を含む法律はこの20年につくられている。
(就労/日常生活/社会生活を「支援」する様々なメニューを用意するが、それでも自立できなかったら「あなたの責任」と言われる。そして、お金はアンダークラスの人々にではなく、その人たちを「支援」する人、それも対面で支援する人ではなく、支援を管理している企業に流れる)

・今のところ、ネオリベ的論理を完全に回避するのは無理だと思われるが、できるだけ見極めて、ネオリベとは何かを把握することが必要なんじゃないか。

うわー、私に見えていたフェミニズムって、こんなに資本主義とか自己責任論の箱の中だったのか!とびっくりした。「ジェンダーギャップ指数」について、外から眺めて考えてみたことなかったけど、ほんとにね。ここでも、数字で優劣を競っていたんだね…。

結局生きていくためにはお金が必要だから「今のままでいる」を実行し続けることは難しいけど、同時に社会に働きかけていくこともできるんじゃないかな。

つい最近、「怒りっぽいと人生損するぞ~」って記事(↓)がTwitterで話題になっていて、「政治について怒るのもエネルギーの無駄遣い」と書いてる人も見たんだけど、これもすっごくネオリベ的な反応だなと思った。

対話を諦めて相手を攻撃する/支配しようとするだけの「怒り」と、搾取されたり差別されていることから身を守るための「怒り」をまとめちゃうのはかなり危険だと思う。「政治について怒るのはエネルギーの無駄遣いだって感じるのは、一般市民が声をあげて社会が動いたって実例がないからだよ」って感じちゃう人には、Twitterデモの力について書かれている、笛美さんの本『ぜんぶ運命だったんかい』がめちゃくちゃおすすめ!

(全体は、日本版&ノンフィクション版の『82年生まれ、キム・ジヨン 』みたいな内容だった。女性蔑視を内面化しちゃってた女性が広告会社で働きながら体験したことが詳しく綴られていて、読んでて苦しいところもいっぱいあったけど勇気と元気が出るから、もっといろんな人に読まれてほしい~~。ちなみに、本書のAmazonレビューにも自己責任論があふれかえっている)

アイスランドの女性たちによる「労働ボイコット」の話も、ヒントになりそう!(アイスランドでは1975年、女性の労働の価値を知らせるため、女性たちの9割が家事を含む労働をボイコットして、社会のムードが変わっていったんだって)

あと、イベントの中で、「無条件で保障されるベーシックインカム」があればいいのかも…という話が出ていて、私もそうだよなーとぼんやり考えていたのだけど、「ベーシックサービス」というアイデアもあるみたい(↓)。今後は、このあたりについてもっと学んでいきたいな。

アーカイブは閉じちゃったけれど、掲載されている参考文献などもとても興味深いので、もう一度イベントのページへのリンクも貼っておきます!

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続いては

ウィークエンドミュージック


のコーナー。

小田急線でのフェミサイドを受けて、
#幸せそうな私たちには生きる権利がある  な曲を。
(まあ歌詞にはちょっと思うところもあるけれど、最後に幸せそうに踊っている女性たち、そして男性たち、の顔が好きだから)

幸せそうに生きてる人を傷つけても抑圧しても、別に自分が幸せになれるわけじゃないぜ。

シンディ・ローパーで『Girls Just Want To Have Fun』

(Netflixでドラマ『POSE』を観ていることの影響で、最近は70~80年代の洋楽をよく聴いている。POSEめっちゃおすすめです)

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最後の部門!

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すべすべぽってりでかわいい~~!!!
この作品を観て、Blender勉強しよう!!と思っている(が、何もしていない)

(ここから脱線しますが、今の私は、デジタルのアルコールインクブラシの研究に忙しいのです)

アルコールインクの作品ってこういうの↓

以下は最近私が描いて(売って)る絵。(フルデジタルだけど)アルコールインクってめのうっぽい感じにもできるし↓

レトロな写真ぽくもなるし↓

宇宙っぽくも描けて面白い↓

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今週の『ウィークエンドけそ』、いかがでしたでしょうか?

この番組では、皆様からけそへの、褒め言葉・人生相談・質問をお受けしております。

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どんどん新型コロナウイルスへの感染者が増えていますが・・・皆様ご自愛くださいませ😢

それでは、また次回~!


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