これからソウル旅行をする方への引継ぎ文書②

前回の続きで、2019秋のソウル旅行についての記事です。
それでは行ってみよう!

■メカの絵を描く人に→戦争記念館がおすすめ

正直、東京と通じるところの多い大都会の旅行にはそこまで興奮しなくなってしまったのですが(便利だしらくちんなんだけど、じゃあ東京でよくない?と思っちゃう)、それでも毎回楽しみなのは博物館と美術館めぐり。

今回の旅では、入場無料の「戦争記念館」に行ってみました。

かなり広い博物館です。この日は日曜日でしたが、小学校の社会科見学?みたいなグループもみました。

館内は、高句麗とかの時代のことから展示されていますが(ということでこの船はかなり古いものですね)、メインの展示は朝鮮戦争についてでした。

博物館内のタッチパネルでも、朝鮮戦争に関しては非常に細かい情報が提供されており、どこでどのような戦いが行われたか、国連から派遣された援軍は、どの国から何人がやってきて、何人が犠牲となったか、ということなどを非常に細かく知ることができます。というか、情報が非常に細かすぎて、大局をつかむことができずに終わりました…。

戦争経験者のインタビューなどはつらい内容だったのですが演出はあっさりしていて、出口(平和な時代になったよ、みたいなゾーン)では軍事的なもの含む映像を見せながら壮大な音楽がかかっていたりし(友人「戦争×壮大な音楽はやばい」)、「ここをめぐり終わったときに、戦争反対という気持ちを持つのは難しいような…」という印象を持ちました。兵役もあるし、子供たちがあまりにも国防についてネガティブな印象を持ってしまうと国としてまずいからなのか?

なお前述の船は、メキシコの遺跡に似ていてかわいいので撮影しました。

※参考に、メキシコの遺跡の写真も貼っておきます。

(メキシコシティ国立人類学博物館にある、ケツァルコアトル神殿のレプリカです。あの博物館は、今まで行った博物館の中で一番好きな博物館でした→その理由はこちら。同じくメキシコシティの近くにある、テオティワカン遺跡では色がついていないバージョンの遺跡が観られます。)

さて、戦争記念館の話に戻りまして、こちらはマッカーサーによる電報(ここでマッカーサーの名前を見るとは思わなかった。なんだか、日本史の人物だと勝手に思っていた…)。北朝鮮が漢江を侵犯してきた際の韓国の状況、具体的には、韓国は全然迎え撃つ準備が整っていないぜ、というようなことが書いてある(気がする)。韓国の方が北朝鮮よりそんなに軍事力ないってことあるかね?と友人に話したところ、「支援してた国の経済力の問題なのでは」と友人。

電報の内容に戻りますと、TOP SECRETと書いてあるけど、特に暗号化とかはしないのかな?この時代の電報っていうのはどんな風にやり取りされていたのかな?ということなどが気になりました。

この博物館、軍事的なもの(というあいまいな言葉…)の展示がたくさんされています。用途を思うとげんなりしてしまうのだけれど…見た目はかっこいいですよね。

屋外展示も充実しています。実際のサイズで見ると、迫力が違う。

メカの絵を描くのがお好きな方、近未来ものを描くのがお好きな方は、資料用の写真を撮るのにぴったりの場所ではないでしょうか。

目が笑っていないのが気になる。特に、いるか。


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ソウルにはほかにも面白そうな博物館・美術館がたくさんあったのだけど、一番時間が使えた日が月曜日にあたってしまい、ほとんど閉館日だったので残念でした…。

ソウルから1時間くらいかかるところにあるみたいだけど、珍スポット好きとしてはトイレ博物館に行ってみたかったです…↓ 

■韓屋村「イクソンドン(益善洞)」が、開発中ならではの奇妙なバランスで面白い

ソウル旅行は今回が2回目で、主要な訪問場所(景福宮等)にはもう行ってしまっていたので、違う雰囲気の場所に行ってみようと、韓屋村に行ってみました。

私が今回訪れたイクソンドンは、以下のような場所です。

イクソンドンの韓屋村が造成されたのは、韓国が日本統治時代下にあった1920年代のこと。日本人の入植により家を失った庶民のために、ここに韓国式の団地の建設が始まりました。

そのため、イクソンドンの韓屋は、窓にガラスが入っていたり、外壁にレンガが使われていたりと、近代的な素材や西洋の様式を採り入れたモダンなスタイルとなっています。

ソウル中心部にありながら、開発から取り残され、寂れていた時期もありましたが、2016年ごろからソウルのおしゃれな若者に注目されるように。韓屋を大胆にリノベーションしたカフェやショップが続々とオープンし、ソウルの流行発信地に進化を遂げました

TABIZINE「ソウルで一番フォトジェニック、ヒップな韓屋村『イクソンドン』の魅力」より引用
https://tabizine.jp/2018/12/05/221752/

↑こんな感じの、内装にプールを入れちゃうようなおしゃれなカフェの向かいが

めちゃめちゃ「作業中」感があったり…。

アートとビールケースとねこちゃんが同じ場所に存在していたり…。

このカフェとか

このパン屋さんとか

デザインが洗練されてるおしゃれなお店がたーくさんあるんですが、全部が整い切っちゃっていない、開発中ならではの不思議なバランスで、私は好きでした。

かわいくて安い服もたくさん売られていて、久々に服をみるのが楽しかったので、「お金持ちになったら…おっきいスーツケース抱えてまたソウルに行くんだ…新鮮なデザイン・色使いの服をたくさん買うんだ…」と新たな野望が生まれました。

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イクソンドンの中心部からはちょっと離れていますが、個人的には「大覚寺」というお寺も大変印象に残りました。

元々、外国の教会やお寺の細かい装飾を観るのが好きなので、たまたま発見したこのお寺の装飾を観ようとぶらり中に入ったのですが、入り口近くの立て看板によれば、このお寺は、日本統治下の時代に独立を願った方が建てたものとのこと(胃が痛くなる…)。

3階のメインホール(←と英語で書かれていた)の装飾は一層細かく美しく、何度も体を投げてお祈りをしている方がいました。

私自身は宗教ってまったく信じないのですが、ひたむきに祈る人の姿の隣でじっと座っていると、やっぱり何かのエネルギーに満たされるような、心がしんと落ち着くような気がしました。

■最後に…ソウルには優しい人がたくさんいます!

ソウル旅行に行くと決めたとき、最初に少し気になったのは日韓関係のことでした。

旅行中、やっぱり時々「おお…」と思うことはありまして。

例えば、空港に向かう途中の急行列車の電光掲示板で、「独島は韓国の領土、証拠だってこんなにそろっているんだよ!」というCMが繰り返し流されていたり。

(私はこの問題について詳しくないから大したことは何も言えないし、もっと勉強しないといけないと思うんだけど、事実がどうであっても、このような場所でわざわざこういうCMを流すところは、ちょっとどうなのかな…と思う)

でも、たくさんの人が本当に優しくしてくれました。

地下鉄で乗り過ごしてしまい、反対方面のプラットフォームに行きたいのにその方法がわからず、電車を待っている若い女の子たちに尋ねると、嫌な顔一つせず「ついてきて」と私たちを先導してくれました(別の路線のホームを通過して、アップダウンのある通路を5分くらい歩かないといけないにも関わらず!)。

問題の駅、ウルチロサムガ。乗り過ごさないように気をつけて…

カンジャンケジャンのお店では、私たちが、蟹のセットにおかずがついてくると知らずおかずセットも注文してしまったところ、重複する部分は調整して料理を提供してくれました。
(※ただし、このエピソードは、お店の人が韓国語で話していた雰囲気と会計時の値段からの推測です。・笑)

「ソウルの人はみんな優しい」と書くとそれもまた乱暴だと思いますが、私は、ソウルであったかい人・フレンドリーな人にたくさん会ったから、それを記録しておきたいと思います。

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(追伸)
以前ソウルを旅したときは全然気づかなかったんですが、今回の旅では、軍服の方をたくさん街で見かけました。以前読んだ漫画のことを思い出して、「どんな気持ちで休日を過ごしているんだろう…」と考えてしまいました。

↑韓国人の漫画家さんによる、兵役の2年間を描いた漫画。

最初は訓練の厳しさをつらい気持ちで読むのですが、そこはまだ序の口だった…。主人公のハンくんが最初の訓練期間を終えた後、配属先の閉鎖的な空間の中で、先輩兵からの暴力がどんどんヒートアップしていき、人間の尊厳がばしばし折られていきます。正義感の強いハンくんがどこまで折れずにいられるかを見守るような…非常に苦しい読書になります。

この作品をただの「フィクション」だと片付けることは、きっとできない気がして…。

たぶんこれを読んだから、ソウルの中の軍服の人たちが気になるようになったのだろうと思います。

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