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踊る仔馬亭で珍獣屋に行ってきた話

読者諸兄は「珍しいもの」を食べたことがおありだろうか。
昨今、街で目と目が合えば「珍しいものを食べた経験マウントバトル」が勃発し、互いの食に関する経験をぶつけ合い、敗北すれば尊厳をゴミクズのように踏みにじられるといったケースも枚挙に暇がない。
そういった社会的背景もあり、人々はこぞって少しでも珍しい食材・料理を提供する店に押しかけるのである。
(この物語はフィクションです)

というわけで、夏休みに麻雀が打てるメンツが揃わなかったので、「それならばこういうのはどうだい?」と踊る仔馬亭のメンバーで横浜・野毛の「珍獣屋」に行ってきたので軽く記録を残しておこうと思う。

ここがどういう店なのか、説明するよりも下の画像を見てもらった方が早い。

壁に掲示されているメニュー

こういうお店である。というわけで食べたものの写真を撮ってきたので紹介していく。


何かのレバー

頼んでいないけど出てきた何かのレバー。お通し?

いきなり何の肉かの記録がなくて申し訳ない。というのも、これはメニューに載っておらず頼んだ記憶がない。お通しか何かで出てきたっぽい。
味は低温調理された厚めのレバー。うまい。

キジのユッケ

キジのユッケ。卵黄たっぷり。

鶏肉でなめろうを作ったらこんな感じだろうか。トロトロの卵黄と絡めてパクパク食べられる。お酒にも合う。

スミレサワー

映える見た目のスミレサワー。

お酒の話が出たのでこちらも紹介。見た目がキレイなスミレサワー。
上品な香り・甘さでスッキリする。

タツノオトシゴ酒

珍肉を食べに行ったが、せっかくなので珍酒も。

ハブ酒・大ヤモリ酒・サソリ酒と同じ並びでタツノオトシゴ酒。
このあたりの酒はハルさんが一通り注文して飲んでいた。画像はタツノオトシゴ酒。
どれも例えば「うおータツノオトシゴの成分が出てるすげー!」という感じではなく、漬け込むのに使った酒の味に印象がかなり左右される。漬け込む酒には焼酎が使われていたりウイスキーが使われていたり。
しかし、サソリ酒あたりはウイスキーを使って作られていると思うのだが「やっぱり普通のウイスキーじゃないな」と感じさせられる風味がある。

ワニの刺身

ワニ。ついに出た食べたことのない味。

ワニ肉。上で紹介したキジなんかは鶏肉と近く、平たく言ってしまえば想像の域を出ないものではあるのだがコイツは違った。
まず弾力がすごい。噛みごたえのある肉である。
そして脂が乗りに乗っている。ワニってこんなに脂が乗るものなのかとビックリした。
「俺は今!!!! 野生の肉を食ってるぜ!!!!!!!」という気分になれる。ワイルド。
無理やり例えるなら、脂の乗り具合は豚トロに近いかもしれない。でも食感も食味の野生感も豚とは全然違う。そしてうまい。
これはオススメ。

カエルの脚の唐揚げ

楽しみにしていたカエル肉。

珍しいお肉の中では割とポピュラー(?)なカエル肉の唐揚げ。
初めて食べるので楽しみにしていた。

噛むと繊維に沿って簡単にほぐれる。
そして肉汁がサラーッ(ジュワー、というよりはサラーッ)と流れ出てくる。
味は巷で言われているようにやはり鶏肉に近いが、鶏肉より繊維感が弱くて身離れがよい、そんな感じ。
これは完全に個人の好みの話だが、唐揚げにかかっている黒酢ソースがあまり好きじゃなかったのでそれがなければもっと美味しくいただけたかも。

ヒグマの炙り刺し

ヒグマの炙り刺し。サシが入っているの、わかる?

一緒に行ったメンバーからの評判がすこぶる良かったのがこのヒグマ肉。
もうただのいい肉。霜降りの牛肉を食べているような感じだった。逆に珍しいもの食べている感はあんまりなかった。
まあこの一皿で3000円弱するのでコスパ的にどうなんだという話はあるが、珍しい食材を食べに来ておいて値段の話をしてはいけない。
いい肉度で言ったらダントツ。

ピラニアの刺身

ピラニアに噛まれた経験はないが、これを食べたのでピラニアを噛んだことはあると言える。

見た目から鯛のような白身魚感を予想したが、生姜醤油でいただいたためか鯵のような青魚感を強く感じた。生姜醤油に騙されているだけか。自分の舌にあまり自信が持てない。
これもヒグマと同様に特別なものを食べている感はないが、白身魚の刺身として普通にうまい。
でもこの一皿で1680円すると考えると……
値段の話をしてはいけない。

ヤモリの一本揚げ

まず見た目が強い。これぞ珍獣。

ここまでに紹介してきたものは、珍しいとは言ってもお肉やお魚の姿をしていた。
しかしこれはインパクトが違う。ファーストインプレッションは大切である。
だが、申し訳ないことに肝心の味をあんまり覚えていない。
まず可食部が少ない。頭部はほぼ頭蓋骨で食べられないし、尻尾や手足といった部分もほぼ骨である。そして胴体部も肉はあるがやっぱり骨っぽく、そしてやたら固い。
最終的な印象としては固さと骨っぽさしか残っていない。
畢竟、第一印象よりも中身が大切なのである。

シカの金玉刺し

食べないわけにはいかないメニュー名のインパクト。金玉刺しである。

金玉だからといって白子っぽさはない。あれは精巣。これは睾丸。
むしろレバーとは違うホルモン感がある。食感は思ったよりも強くなく、割と簡単に噛み切れる。
ホルモン感、脂の乗っている感覚があってこれがお酒に合う。
正直、酒のツマミとしては今回紹介したメニューの中で一番好き。

サソリの唐揚げ

ファーストインプレッションが強烈勢その2。

この企画の決行前からハルさんが「虫は絶対に食べない」と言っていたので虫は避けていたが、まあサソリくらいなら……ということで押し切って注文してみた。
(「昆虫5種盛り」もメニューにあったがそちらは避けた)

まずは爪を齧る。殻が固いのでバリボリ音を立てながら咀嚼することになる。
これもヤモリ同様に可食部が少なく、かすかにカニっぽい風味がする程度だった。
次に胴体。こちらもバリボリ食べる。爪とは違ってほろ苦い風味があり、おそらく内臓の味だろう。
これがかなりカニミソっぽい味で、肉の風味と合わさってカニ感が強まった。

胴体を中心としてカニっぽさは確かにあるものの、ネックは可食部の少なさか。
小さいから食べられる部分が少ないとかそういうことではなく、構造的に食べられる部分が少ないのである。
「俺は今カニっぽい何かを食べている……もう少しで何か掴めそうだ……」というところで可食部が終わる。そんな感じである。

人喰い鮫の唐揚げ

人喰い鮫を食べる。これが食物連鎖か…

最後に食べたのがこれだが、わりかし普通の味だった。
キュッと締まった身質の白身魚の唐揚げといった感じ。
少しだけ身に酸味っぽいものを感じる。意外性はなく普通にうまい。
やはり魚系は珍しいものでもそこまで意外な結果にはなりにくいか。

最後に

というわけで今回食べてきたものは以上である。
見た目のインパクトがあって食べてガッカリなものから見た目は普通でも食べてビックリなものまでいろいろと体験してきた。

個人的にはワニの刺身、シカの金玉あたりが珍しさと美味さのバランスが良くてかなり刺さった。ワニの刺身は常食できるならしたいくらい。

居酒屋としては席も取りにくく、食材の珍しさからかやはり全体的に価格が高いので常に通いたいお店ではないというのが正直なところ。
しかし珍しいものを食べる体験がしたいならオススメ。いつかまたリピートして、今回食べられなかったものを補完したい。

珍獣屋さん、ありがとうございました。
またの機会もよろしくお願いします。

珍獣屋 食べログページ: https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140102/14033402/


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