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「小川美潮」リマスター記念EPIC3部作アルバム全曲クロスレビュー(3・終):アルバム「檸檬の月」

 あっという間に最終回となりました小川美潮EPIC3部作全曲クロスレビュー。90年代前半を彩る素晴らしい3枚の名盤をレビューするということで、これまでになく真面目な内容であると個人的には思っているのですが、この頃の小川美潮作品はリリースするたびにクオリティを上げてくる、絶大なる信頼感というものがあったような気がいたします。POPSとして見事に成立するメロディに抜群の演奏力、凝りまくったアレンジ&サウンドメイク、それでいて他にはない唯一無二の個性を兼ね備えていた、そんな名盤たちに心からリスペクトを送るためのクロスレビューも本日でラスト。EPICソニー在籍時のラストアルバム「檸檬の月」のレビュー、お楽しみください。

【追記】
 本レビューをなんとMa*Toさんに読んでいただき、「Chat Show」に関して、本レビューの勘違い部分を含めてMa*Toさんのfacebook上で解説していただきましたので、抜粋して補足として一部抜粋して転載いたします。lo-curve fxの謎まで解明されました!

◆「檸檬の月」(1993)

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〜オープニング〜

@tpopsreryo:
小川美潮EPIC3部作全曲レビューもいよいよラストデイとなりました。本日は3部作最終作「檸檬の月」です。よろしくお願いします。
さて、前作「ウレシイノモト」は躍動感(何度使ってんだこの単語w)溢れる開放的な作風に絶賛に次ぐ絶賛でしたが、今日取り上げる「檸檬の月」はjunnoviさんも当時から愛聴していた作品だったんじゃないですか? ちなみにワタシも長らく愛聴していました。

@junnovi:
この「檸檬の月」はね、本当に大切なアルバムです。重要なアルバムです。1曲目のエレピの音で包み込まれ、引き込まれ、ポコポコお湯が沸くような2曲目、そしてPOPSの最良のかたちの3曲目へと、素晴らしい幕開けなのです。

@tpopsreryo:
やはり「4 to 3」をEPICから出す際に彼女ながらにポップソングというものを追求していたと思うんです。しかし名曲は産めどもどこか試行錯誤感があって「ウレシイノモト」でスパーク、そして「檸檬の月」は前2作を経た上でのポップソングへの再挑戦といった趣なのです。

@junnovi:
それでも「4 to 3」と同じ轍を「檸檬の月」では踏んでいないよね。何がその違いを生じさせたんだろうね。試行錯誤という過程を経て、何が正解かを見抜いたってことなのかなぁ。

@tpopsreryo:
そこなんだと思います。ここで1度板倉文から離れたことが生きているように思うんですよ。「ウレシイノモト」で自身のPOPS像を俯瞰した上で改めて板倉文と共に至高のPOPSを作り上げる、この過程によって隙のない名曲を本作では連発していると思いますよ。

@junnovi:
うおっ、センセ。まとめちゃいましたw その通りなんだろうと思いますわ。自分のポジションにマッチしたPOPSとは何かということにしっかりピントを合わせて作ったのが「檸檬の月」だと思うよ。

@tpopsreryo:
ありゃ、最後にまとめるつもりがw ではそろそろ各曲にいきたいと思いますが、その前に一応大事なことなので。本作ではプロデュースに板倉文が復帰しました。そしてベースにMECKENが復帰。いつもの美潮バンドに戻っていますね。あとエンジニアが河合十里から大森政人に交代。

@junnovi:
ただ今回の振り返りで「ウレシイノモト」が、PINKの「RED&BLUE」に匹敵するほどの番狂わせで、私の名作の仲間入りを果たしてしまいました。今、口を突いて出て来る曲は「LINK」であり「恋」であり「走れ自転車」なのです。

@tpopsreryo:
遅いよ!w  今回の「檸檬の月」は前2作あっての完成度なんだから、「ウレシイノモト」は改めて重要な作品なんだということを思い知らされるわけですよ。

@junnovi:
遅すぎ?w そうやね、確かにホンマに。あの20年程前に3回も借り直して聴いたのに「アカン、ダメ~」って思ってた自分が恥ずかしい! そんな私が言うのもなんだけど、世間的にこの「ウレシイノモト」っての評判って「4 to 3」ほど高くないんじゃないかって思うけど。

@tpopsreryo:
まあそこらへんは人それぞれだと思いますけどね。「4 to 3」は「窓」があるから、そのインパクトが高評価につながってるだけのような気が、しないでもないw

@junnovi:
え~~~。そうなの??? まぁ確かに人それぞれだろうけど、結構あの曲、紋切り型のパターンだと思うし、それにしては結構長ったらしいんだけど。

@tpopsreryo:
とはいいつつ、あのアルバムから3曲選べってなったら「窓」が入るでしょ?w

@junnovi:
そうw その後の2作が余りに自然体なのに孤高感抜群で素晴らしいから、ついつい要求度が高くなってしまって、厳しい視線を向けてるのかも知れない。でもやっぱり長いわ、あの曲w 今の私は「MARBLE」2回聴く方を選ぶわw

@tpopsreryo:
あはは。スゴいね、そのウレシイノモトブームw ではそろそろ各曲レビューに移りたいと思います。


1.「はじめて」

 作詞:小川美潮 作曲:小川美潮・板倉文 編曲:板倉文

@tpopsreryo:
では各曲レビューに移ります。1曲目「はじめて」。Bメロに入ってからがなんか泣けてくるんですよね。シンプルを装いながらも実は3人がかりでシンセを担当しているのも個人的には楽しいです。相変わらずの盛り上げ方の上手さとサビ終わりからの間奏のフレーズと毎度ながら青山純のドラムが秀逸。

@junnovi:
はじめてはじめて。機嫌の悪い時は流石に「何べん言うねん!」って思うけど、それでもやっぱりいいなぁと思わせるだけの楽曲自体の持つ力と、沢山の仕掛けで、楽しい気持ちに導いていくのです。センセの言うとおりBメロの旋律線はほんのり切なくなり、たまらなくなります。
あと「♪じかん~」って終わってからの、スパーンって切り込んでくる青山純の仕事は、実に素晴らしく、楽曲が前へ前へと動き出す原動力となっているのです。

@tpopsreryo:
メロディ的にはサビに入ってもストレートだと思うんですが、大サビへの入り方が結構意表突かれたり、なんかメロディがアップダウンするでしょ? どこでどうやって落ち着くんだろう、って思わせるメロディラインだから、やってることは結構凝ってると思います。

@junnovi:
そうそう!まさにそこですよ! この曲の力の源はその圧倒的なメロディラインと大サビという曲構成なのです。そこで一気に花開き、解放され、自由な時空へと私たちは飛翔するんだから!もぅ!

@tpopsreryo:
その大サビも長いこと引っ張ったりせず、適当なところでスッと身を引いたりなんかものすごく空気を呼んだメロディなんですよw それであの間奏なんか初っ端に持ってきても良さそうなものなのに、まず1周回ってから本編!とばかりにあのフレーズを持ってくる。秀逸な構成ですよね。

@junnovi:
本当に美味しい美味しい曲なのです。嗚呼、美味しい。

@tpopsreryo:
では美味しくいただいたところで次いきましょうかw


2.「檸檬の月」

 作詞:工藤順子 作曲・編曲:板倉文

@tpopsreryo:
2曲目「檸檬の月」。タイトルチューン。この曲も美メロ連発ですねえ。サビ前に最初の1フレーズを入れるのが実に良いです。その後のサビが非常に生きてくるので。また板倉ギターサウンドが大活躍ですね。いい音してます。そしてもうわかっちゃいるけどやめられない不穏でストレンジな間奏も楽しい。

@junnovi:
この曲もセンセと全くポイントは同じで「♪ああ風が吹いて 枝があんなに揺れてる」という所があるから活きてくる。そして小さく幻想感のある音像がサビの「♪欠けるのか満ちるのか」で一気に開くのです。ギターもキーをわざと狂わせたりストロークしたり本当にもう!w
あと、タ・タ・タ・タって、サビの所から登場する4回連続で打楽器音が刻むリズムが独特で、それもこの曲の魅力だよね。

@tpopsreryo:
ああ、あのリズムね。確かに連符気味にアクセント効いていますね。しかし「はじめて」にしてもこれにしても6分近くの長尺な曲なのに、飽きさせない。これはひとえにアレンジの力だと思う。こういう曲の多彩なギターを聴けばまだまだギターの音の可能性を探りたくなりますよね。

@junnovi:
そうね。特にこの曲についてはそういう「たわみ」というか「たるみ」がないよね。素晴らしいことです。あと歌詞の「合わせ目がしっくりこない~」ってところは、急に言葉が耳に入ってくる感じで、才能を感じます。

@tpopsreryo:
うん、歌詞に疎いワタシにも歌詞が素晴らしいのはわかりますよ。欠けるのか満ちるのか曖昧で微妙な感じ、丸くない尖らない合わせ目がしっくりこない。書けないですよねなかなか。だからこの曲の間奏の不穏な感じも実はそういうもどかしい感じを上手く表現しているのでしょう。

@junnovi:
そう。悪いけどこの歌詞は小川美潮本人では書けないと思うわ。やっぱりね言葉に対する感度が圧倒的に違うんですよね、リスナーの立場から見ても判るほどに。
小川美潮に限らず、自分で言いたいことのあるミュージシャンは自分の曲に言葉を乗せるんだけど、どこか叙述的で、詩じゃないんだわ。文章になりがちだし、説明っぽいし、長ったらしくなる。それじゃあ聴く側のイメージが広がらない。もっと意図的な隙間がないとダメ。
こんだけピンボケな文章を乱発する私が言ったところで何の説得力もないんだけどねw 「詩」というか「詞」というか、どっちでもこの場合良いのだけど、詩人とか作詞家という人たちの言葉遣いは独特で、多分日常風景でも、私らと見え方が全く違うんやとおもうねん。
だからこういう言葉の世界には、迂闊に手を出さないでファンタジーさを残すくらいの思い切りというか潔さみたいなものを持った方が良いように思うねん。絶対太刀打ちできないから、あの人たちになんか。

@tpopsreryo:
あそこはさすがは工藤順子ってところですかね。
おぉ、(小川美潮の)作詞にダメだしですね。ここらへんは門外漢なのでワタシからどうとは言えないのですが、「詩じゃない」というのはわかる気がするんですよ。でも「詩」が書ける作詞家なんてなかなかいないと思うけどなあ。

@tpopsreryo:
ですよね。ワタシなんか歌詞とか全く浮かばない自信だけはあるからなあw そういう言葉の魔法を持っている作詞家は尊敬に値するのです。あと「詩」を書けるグループといえば、スノーモービルズはまさにそんなグループ。また検索してみてねw

@junnovi:
言葉の意味って、楽曲の色んな側面に入り込んで、まるでマルチな楽器の様に自在に奏でるようなイメージがあって、「詩」が秀逸であるのはそれだけ楽曲の幅が広がることでもあると思うから、素晴らしいことだと思う。「意味の世界に僕らは生きてる」って誰かも言ってたけど。 じゃ、次行きましょ。

@tpopsreryo:
珍しくキューを振られましたんでw、次いきます。


3.「ふたつのドア」

 作詞:工藤順子 作曲・編曲:近藤達郎

@tpopsreryo:
3曲目「ふたつのドア」。近藤達郎曲ですよ。この風通しの良さ。相変わらずのシンセの空間処理が特徴的ですね。サビメロは比較単純ですが、圧倒的なサウンドメイクで飽きさせないです。特に後半の間奏からなだれ込んでからの合いの手コーラスを交えての盛り上げ方はさすがです。

@junnovi:
小川美潮EPIC3部作においては「PINK BOX」みたくベスト10はしないと思うからここで書くけど、最も大切で重要で好きな曲。一切イヤな所がない。飽きもしないし、安直でもないし、狙いすぎてもない。素晴らしい加減でPOPSであることを貫き通してます。テンキュ。

@tpopsreryo:
昔から大好きだもんねこの曲w 実はワタシはああ書いたけどあのサビのメロディがどうもしっくりいってなくてですね。結構構成としてはノーマルだし、真っ当にPOPSに向き合ったなあという印象なんですね。なので実のところワタシは「はじめて」や「檸檬の月」の方が好きw

@junnovi:
フフ。もう年季が入ってるから、客観的に判断できなくなってるw 仕方ないよね。こういうメロディアスでオーソドックスで十全なPOPSって一番の好物だから。先生の言うサビの部分のドタドタした感の拭えない部分は、なぜか私は自分を責めるのですわw 謎w
あと私にとって白眉は3つもあって「♪背中で聞きながら」から直ぐにブリッジに接続する潔さ、ブリッジが終わった途端に青山純が一拍早目の「スターン!」と打ち込む爽快感、「♪逢いたくって逢えなくって・・・」以降の絶品の歌詞です。ため息が出るばかりです。

@tpopsreryo:
でもね、あのしっくりこなさは上下運動激しいメロディラインにあると思うんです。かゆいところに手が届いてくれないもどかしさなんだなw あと歌詞についてはやっぱり工藤順子の物語性のある展開が抜群だとは思います。音としてはAメロの裏で鳴る「キーン」ていう白玉シンセw

@junnovi:
その違和感は、恋路を行ったり戻ったりして逡巡する様を見事に表現しているように思えて、私は胸を締め付けられるという良心的解釈をしてしまいます。フフ。もうアカンわ。自分でもどっかで判ってるねん。でももう冷静じゃないわこの曲に限っては。年季が入り過ぎてんねんw
あと、この呆れるほど歌うのが困難なサビの飛び回るメロディラインは、小川美潮にしか歌い切れないわ。こんな独特に飛び回るんじゃ、音程を正しく取ることすら出来ないもん。そういう意味で寄り付きにくさがあるかも。でもアカンわ。アカン。長いこと好きすぎてw

@tpopsreryo:
あはは、もはやアンセムやらバイブルと化しているわけねw ちなみにここでベスト3言っとくけど、ベスト1は「ウレシイの素」だったりします。2位は「ほほえみ」、3位は「CHAT SHOW」。こういうのには抗えないのw では次は2曲同時にいきましょうか。

@junnovi:
ハハ。そこまで無条件に崇敬する意思はないつもりなんだけど、判んないよね~w じゃ返して私の3曲は、まず1位「ふたつのドア」、2位「夜店の男」、3位「LINK」&「恋」 といったところですね! じゃ、2曲お願いします~。

@tpopsreryo:
この〜近藤達郎大好きっ子め!w

@junnovi:
ホンマにね、浮き彫りになっちゃったね、今回の振り返りで! 自分でもそんなこと気が付かなかったよ~。ビックリ!


4.「SHAMBHALINE I」

 作詞:工藤順子 作曲・編曲:板倉文


5.「SHAMBHALINE II」

 作曲・編曲:板倉文

@tpopsreryo:
2曲セットで。4曲目「SHAMBHALINE I」5曲目「SHAMBHALINE II」。まあこういうのが小川ファミリーの本性なんですけどね。「I」は何かチャクラ時代に戻ったかのようなプログレッシブなコード進行&サウンド&変拍子に目が回ります。「II」は・・うーん、どうなんだろ?

@junnovi:
この2曲をまとめた意図ってどこにあるんだろうね。たしかに本領発揮なんだけど。「Ⅰ」は今回のリマスターでスゴク良く聞こえる。ラーラーっていう小川美潮のコーラスが、いよいよアンドロイドなコーラスでガリガリと削り取ったような鋭い響きで、中々好きですw

@tpopsreryo:
ああ、そうですね。リマスターに合う曲と言えますね。複雑に入り組んだ曲だからこそそれぞれのパートの尖り方が際立っているというか。「II」のWhachoのパーカッションって余り気になってなかったんだけど、今回のリマスターでなんかやたら叩きまくってんなあってw
「II」はまあインタールード扱いと言ってもよいと思うんですが、「I」の奇妙なコード進行をそのままに場面を静謐な夜に移してじっくりねっとりと地面を蠢く感じがなかなかおぞましいというかw 最後に密かにWhachoが大活躍してるのがポイントかな。

@junnovi:
ほんまや!!!w しかも誰か笑ってるしw こわっ!!

@tpopsreryo:
笑ってるのは美潮さんでしょw スキャットも織り交ぜてまあインプロヴィゼーションなんでしょうけど。

@junnovi:
あッ、ホントだ~w 結構「あ~あ~あ~」と大きな声でスロウに歌い通したから、一通り満足したのか、思わず笑ってますなぁ。わたしもそれ以上何も言うことはございませんw
あとセンセの言うとおり、こういう中休みな曲が1つ入って、アルバムの後半戦がまた一層バラエティ豊かに広がっていく楽曲へと、上手く気分転換させてくれてる感じではあるよね。

@tpopsreryo:
ワタシはスキャットが変な音階(?)になってしまって笑ってしまったとばかりw
うん、この中休みは必要なんだと思います。このあたりはCD時代になってもA面B面というのを意識した構成になっていますよね。ワタシはアルバム10曲っていうのが好きなんですよ。A面5曲、B面5曲。そして曲の長さは4分〜4分半ばくらいでw

@junnovi:
わかるわかる。何でもそうだろうけど、行ったら戻ってこな、アカンのよ。そういうもんやと思うで、知らんけどw(エッ?)


〜インタールード〜

@junnovi:
今日はいつになく直截に言い合えていますね~。実は結構満足度高くて、楽しかったりする。

@tpopsreryo:
おお!そうですか。いつもこうありたいですなw 「檸檬の月」はまあ好きな作品ですしね。実は後半の方が言いたいことあるかもねw

@junnovi:
結構後半の方がバラエティ豊かだからね~。論点も多彩だと思うわ。
ボートラは・・・。すぐに終わりそうだねw


6.「Tall Noser」

 作詞:工藤順子 作曲・編曲:板倉文

@tpopsreryo:
6曲目「Tall Noser」。これはかなり異色な曲ですね。良い意味でらしくない。陳腐な言い方ですがスゴく洋楽的というか・・洗練されたイメージですね。なんでかなあって考えたんだけど、コーラス隊ですねこれは。サンディーと福岡ユタカ! この2人存在感強過ぎるw

@junnovi:
何でこの二人なんだろうねw この曲もアルバム「檸檬の月」の後半でとても重要な位置を占める曲で、前曲の箸休めから、新たにぐっと別のフィールドへ持ち込むだけの雰囲気のある曲。この曲では私の思い込みかも知れないけど、小川美潮はちょっと力んでない?
福岡ユタカってコーラスに回ると私はそんなに気にならないのだけど、やっぱりエスニカンなムードは看過できないのかな、プロでもw オセアニックなサンデェ〜もw それよか、この曲のリズム隊は本当に聴いていて気持ち良い絡み方をするよね~!かなり好き。
あ~でもシンセ系も看過できないね~。なんて言うと小川美潮のEPIC3部作の作品の大半が、何もかもが一筋縄では行かないこだわりの楽曲ばかりなんだけど!

@tpopsreryo:
それとですね、この曲と後でレビューする「CHAT SHOW」にMECKENがベースのほかに「lo-curve fx」を担当しているんだけど、これって一体なんなんだろう。もう20年くらい気になっているんだけどw スクラッチみたいなもんなのか。誰か詳細教えてほしい。

@junnovi:
な、なんか急に難しい話が出てきたね・・・。ローカーブ・fx? 今だったら投資か何かのサービスかと思うけど、なんだろね。どこかカオスな雰囲気を醸し出すツールなんでしょうか?w

@tpopsreryo:
まあサウンドエフェクトツールの一種のようなものだと思うんですけど、どの部分の音にそれが使われているのか、そのツールを見たことがないだけに特定する自信がない・・w あ、多分間奏から延々鳴っているヒューヒューいってる微妙な音階で推移する音のことか?

@junnovi:
その音、結構地味でビミョーじゃない?w ローカーブだから、そういう感じ?って言ってるうちにセンセが納得されましたんで、この辺でw

@tpopsreryo:
ん、力んでいるというか気合いが乗ってるというか。これまでは何をやってもどこかほんわかな感じを残してるのはEPICのPOPS路線だったんだけど、この曲はゴージャスなんですよ。スゴくカネの匂いがするw でもやっぱり青山純のドラムが気持ちいいっすよね。

@junnovi:
ガハハ、お金のニオイっすか!? ゴージャっすか!? 確かにそうやね。インターナショナール!ゴージャ(しつこい)! それでもやっぱりここでも素晴らしい青山純のドラムスやね。やわらかい鉄~?w シャレだとは言え、あんまし作詞のセンスないよね、この人。

@tpopsreryo:
やわらかい鉄・・みたいに対称的な単語を組み合わせる傾向にはあるよね。個人的には「目覚めてecstacy」がどうも安直やなあとは思いますがw そういうのも含めて好きなんですがね。

@junnovi:
そそ。そこもw で、私も一緒で、やっぱりこの曲好きなんだよね~。でもこのゴージャ感と言うのか、ハイブロウな勢いと言うか、センセの言うとおり、洗練された洋楽っぽいよね。じゃ、次行きますかセンセ?

@tpopsreryo:
うん、ちょっとlo-curve fxに自分なりに結論できたので満足して次いきますw


7.「Dear Mr. Optimist」

 作詞・作曲:小川美潮 編曲:板倉文

@tpopsreryo:
7曲目「Dear Mr. Optimist」。これはひだまりソングというか、優しさが伝わってくるねえ。アコギとハモンドの柔和な音が何とも言えず暖かい。またリマスターで聴こえにくかったWhachoのパーカッションの活躍が堪能できます。さっきも言ったねこれw

@junnovi:
この陽だまり感が心地良いのですが、叙述的な歌詞が今回は奏功してる。ホアチョのカコッ・ガーッ・ポワッ・そういう不思議な音による色付けが更に心地よく楽しくしてるんだろうね。

@tpopsreryo:
そう、リマスターの恩恵を最も受けているのはWhachoだよね。彼はいろんな曲でかなり細かな仕事をしていたんだね。後半ギター一本になるけど、こういう余韻として使われるならいいの。全編ギターだけというのが嫌なだけでw

@junnovi:
「わたくしの恋話をちょっとばかり・・・」と言うにふさわしい締めくくり方だと思いますよ。私はセンセみたく、ピアノ弾き語りとか、ギター弾き語りと言うのは、大丈夫だから!w それにしてもこの曲は6分を超える長い曲なんだね~。分からなかった。気づかなかった。

@tpopsreryo:
すみません、人工甘味料好きでw 昨日も言いましたけど、本作って全体的に1曲が長いじゃないですか。でもその曲の長さを全く感じないの。そしてこの後半は結構板倉文は攻めている方じゃないかと思うんですよ。前曲にしてもこの曲にしてもこれまでとは少し趣を異にしているような。

@junnovi:
うんうん。分かる。黄色いお花でブンブンブーン(注:板倉文のことですw)が、頑張ってくれて今まで何度も聴いても、その都度楽しめたんだもん。感謝してます。と言うことで次行きます?

@tpopsreryo:
そうですね、本作は1曲1曲の完成度がこれまでとは違いますよね。なんか妙に気合いが入っているというかね。では次いきます。

@junnovi:
落穂拾いなことを書いてしまうけど、前曲とこの曲とは全く趣が違うし、次の曲もまた霧で霞んでどこか幽玄さすら感じさせるけど、基底には一貫した心地良さへの「筋」が一本スーッと通ってる。そこが他の2作にはない有機的な展開であり、このアルバムの評価を上げる部分。


8.「MONDAY」

 作詞:工藤順子 作曲:小川美潮 編曲:板倉文

@tpopsreryo:
8曲目「MONDAY」。幻想的。ファンタジック。それでいてノスタルジー。この曲は聴くたびにスルメのような味わいがありますね。BANANA大活躍なんですよね。全編にわたるシンセコーラスが素晴らしい。特にアンビエント音に溶け込んでいく間奏のシンセの響きには泣けてきます。

@junnovi:
前曲の落穂ひろいなコメントに書いたことで「一つの筋」の到達点がこの曲の最高音「♪満ちてゆく~」にある気がします。白く霞みながら、いよいよ透明になって昇天して行く様な気持ち。この深遠さすら感じさせる幽玄さに、聴いてる私も思わず呼吸が深くなる。
間奏のすべてがコロイド状になったような世界がどこまでも広く霞んでいく。あとは冷たい潮風でもひと吹きすれば、すべてが消え去りそうな勢い。けれど、再びサビが戻ってきたら弾んだリズムが入ってきて生気を取り戻す。それはそれで味があって良いと思う。

@tpopsreryo:
この後半のここまでの構成も良いと思います。「Tall Noser」でガツンと来て、日常に戻って幻想の世界へ・・と奥へ奥へ引き込まれるような、世界観がいいですよね。本当は最初は地味だなあって思ってたの。でもシンセコーラスの響きがじわじわ来て、聴くたびに気に入った。

@junnovi:
3曲みんな個性が違う、そして更に次の曲では「サクレツ」するわけだけど、私が中学生時分に良く聴いてたシンデレラな例の3人組(注:THE ALFEE)が、幾ら同じステージに立ってようと合成で並べたようにしか見えない違和感と共存しえる一体感みたいな。って良く分からない例えですねwん~。何か知らんけど、同じ方向向いていなくても、考えていることがどうも違っていても、まとまることってできるんだってことが言いたかったんです。この「檸檬の月」の後半戦の面白さもここに在る気がするのです。

@tpopsreryo:
本当にわからない例えだなあw でも結果的にあの3人組は今でも続いている。まあなんというか毛利の3本の矢みたいなもんで、後半戦3曲ってやはりあの並びであるからこそ生きてくるというか。あと3曲とも近藤達郎がハモンドでいい味出している。そこも共通部分かも。次いきます。

@junnovi:
やっぱり通じませんでしたかw なんでやろう?w まぁ、あのシンデレラな3人が今以ってまとまってるのは、他に貰い手なかったからだよ多分(オイッ!)。あ。ホントだ、ハモンドも公約数やね。近藤達郎、ありがとう・・・。青山純と共に心から感謝しますです。


9.「CHAT SHOW」

 作詞:小川美潮 作曲・編曲:Ma*To

@tpopsreryo:
9曲目「CHAT SHOW」。もう突っ込みきれないこの音の洪水。サウンドコラージュの嵐ですが、これが小川美潮の本性だと思っているので驚かないぞw キテレツなごった煮サウンドに乗ってプレイヤーも生き生きとしてるのがいいんです。後半のカオスなエディットも楽しい。やはり自分に合ってるw

@junnovi:
ナチュラリストな私でもこの曲は付いて行けますよ。バチコーンとぶっ叩く様な音や、キュンワキュンワいう音や、テンポわざと乱れても違和感ないし、歌詞が分裂気味でも、曲構成が読めなくても、楽しいもんね~。普通ここまで盛り込んだら嫌気がさすんだけど、それがない。
「雨降りだした」の前からの青山純の頑張りが良いね。逆にその後の「オー」とかいうイケズなコーラス音も強烈w ビーンとしたシンセ音(クラビコード?)とかのサイケさも半端ないし、「中途はんぱ ガッカリね」ってわざとゆっくり言ってるしw 何やろねこの曲。

@tpopsreryo:
JADOESほどの下世話感はないけどねw クラビネットは近藤達郎ですね。「中途半端」のところはオケのスピードをいじってるけど、ヴォーカルはオケが完成してから録っているんでしょうね。そこも面白いね。後半の「あ〜ら♪」の素っ頓狂な音のねじ曲げ方は初聴では心臓に悪いw

@junnovi:
そのセンセの言う「心臓に悪い」っていう表現、判るなぁ! 当時、苦手だったもん、この曲。でもねどっかちゃうねんなぁ。そこがセンスなんやろね。今は結構痛快さが楽しくて良く聴くよ~。ということで私はもうイイタイコト書いたけど、センセ、あります?

@tpopsreryo:
板倉のギターがね。ワウを使うのはこのノリとして良いにしても、なんか煮え切らない蚊の鳴くようなフレーズあるでしょ。あれがlo-curve fxですわ、多分w 逆回転かギターシンセかとも思ってたけど、ああいう風にいろいろな楽器を微妙な音階にするエフェクトなのね。

@junnovi:
あるある!クゥワーーーーンっていう感じの音やね。出来の悪い犬のすねた鳴き声みたいなやつ。ってまた変なたとえを出す私。ややこしいねん! センセですら20年越しなんや?! それにしても、オケヒットもおるし、バレーボールのホイッスルもおるねw ワラケル~。

@tpopsreryo:
いや、それだけ結構流し聴きだったんだなあって思ったよ。今回lo-curve fxについて結構意識して聴いてみたんだけど、ようやくその意味に納得いってよかった。リマスターに感謝ですよ。まあもっと早く気づくだろ普通と言われればそれまでですがw

@junnovi:
ふむふむ。で、この命名の意味は何だろね。そこがわかんないと煮え切らない私。でも、もういいやw(どっちやねん!

@tpopsreryo:
ゴメン、一人でlo-curve fxで盛り上がってしまいました。コメント入れ違いだったけど、ドレミファ音階よりもっと微分解するようなエフェクターということでlow curve=lo-curveなんでしょうね。では本編最後の曲いきますよ。

@junnovi:
あ! fxって、そのfxかいな!? f(x)の。 グァーッ!w

@tpopsreryo:
FXはEffectsの略ね。SFXっていうからね。Special Effects。

@junnovi:
も~イヤやw あ~も~w やっぱり知りたくないわwww さいなら~微積分。

@tpopsreryo:
多分ああいう微妙な音階を楽器で出すのはテクニックでは難しいから、そういうエフェクター(自作なのか?)があるんでしょうね。43微分オルガンみたいなもんかな。って小川美潮の作品聴いてそんなことばかり気になっているのもおかしい話ですなw

@junnovi:
わ、わかんないよ43微分オルガン! 調べたけど、微分・積分もやったけど、三角関数の微積も、対数の微積もやったけど、わかんないよ~~~!w

@tpopsreryo:
ゴメンゴメン、このグループ(シジジーズ)が使ってるオルガンで、1オクターブを43音に分割するオルガンなんだと。

@junnovi:
割り切れない数・・・。43ですか。当たり前だろうけど、意味あるんだろうなぁ、43って。知りたくないけどw あ、でもちょっと知りたいかも。

◆Ma*To氏facebookより抜粋転載(敬称略)

Ma*To:
(「Chat Show」のデモテープを聴きながら:Ma*To(藤井将登)氏facebookでご確認ください)この音源を肴に、ウーゾ(アニス系のギリシャの酒)でもチビチビやりながら、レコードとなった本編でのサウンド構築について解説を始めたいと思います。
例によって、イントロ(?)リフとAメロBメロらしき部分しかない、曲創りとしてはかなり初期段階のアイディア・スケッチみたいなもんです。そのわりに、使っているサンプル音はもちろん、通常の曲らしくないヘンな小節数での構成展開であるとか、ドラムのフィルも拍数余計に多く字余りだろ!とか、いろいろツッコミどころ満載かと思います。
がしかし、敢えて既成概念に縛られずに自分なりの気持ちよさと楽しさを優先した結果、そういうヘンなところも殆ど全てそのまま、本チャンまで残っていくのですね。
もっとも、イチバン偉いのは、この状態のデモ・テープを編成会議で聞かされて、それでも面白くなりそうな予感でもしたというのでしょうか、果敢にも「Go」の判断を下したディレクターの福岡さんだったかもしれません(笑)
まずは冒頭、「ちょっと待て、コレ聴いてくれよ」と、ワウ・ギターがチョンワチョンワ弾き始めるのに被って、オランダ語のバカ笑いが入ってますが、これはそのむかし、放浪旅行してたときにアムステルダムの海賊FM放送のDJ達が曲間に騒いでたのを録音したモノなんです。
この、全編を通じて左チャンネルで鳴り続けるワウ・ギターこそが、この曲の全グルーブの屋台骨であり、ツアー・ガイド役であります。
幾つものギター・サンプル音を更に切り刻んで音程や長さを調節したりして、それらを鍵盤に並べたモノを弾いております。
中にはリズム的に重くタメが入ってしまってるフレーズもありますが、「どんなタイミングであれ、ループしてしまえばそれなりのグルーブを生み出す」という持論が有りましてまったく問題ありません(笑)
バナちゃん(BANANA)に貰った40個ほどのブラス・ヒットのサンプル達も、ずらり鍵盤に並べて演奏します。流石にアルバム公開後のコンサートで、ライブでこれを再現するのはタイヘンでしたね(笑)
てか、本チャンの録音時に既に、この時のキー・マップのデータが再現できず、頑張って同じように弾いたつもりなのですが、このデモのほうが断然キレが良いです。
tpopsreryo:
このあたりはほぼ想像通りでした。ブラスヒット(ホントに良い音してますよね!)は福岡ユタカさんのソロアルバム「YEN」の「Carnival」でもバナナさん(大ファンです!)のスタッブがクレジットされていましたので、バナナさんのサンプルっぽいなあと思っていたのです。ただそれを鍵盤に並べて人力で鳴らしているとは、さぞ壮観であったと思います。
Ma*To:
そうそう、スタブって言うんでしたね(笑)
面白いスタブをバナちゃんに貰ってそれで遊んでたのが、この曲の始まりだったと思いますよ。
タイミング的にも、ちょうど「YEN」のレコーディングと重なってるんじゃないかな?
リズム録りの際に当然メンバーの皆さんに演奏して頂いたのですが、その皆さんの音は「ウレシイノモト」の時以上に大幅に勝手に切り刻んで再構築させてもらってます。
ほぼそのまま使っているのはメッケンのベースくらいですね。青山さんのドラムも一音一音バラバラにしてトリガーしちゃってます。
文ちゃんのギターもミュート・ボタンの嵐で、美味しいところ(それがまた沢山有るのだがw)だけ戴いてる。だけど、音そのものはフレーズも音程もタイミングもイジってない筈。板倉さんは、いつでも普通にいつでもこういう美味しいプレイしてますから!(笑)
前にも書きましたが、複数の音色・フレーズを同時に鳴らさずに、いろんな音が目まぐるしく切り替わって行くというコラージュ手法は、実は演歌のアレンジからヒントを得ています。
チャクラ時代、よく文ちゃんの家に入り浸って二人で夜な夜な実験をして遊んでたのですが、いろんな音を録音した1/4テープを切り刻んで放り投げ、落ちて来た断片をデタラメな順番で繋げてリズムを作ったりしてたせいでしょかね。
クレジットにはクラビネットにダイちゃん(近藤達郎)の名前もありますが、どの部分がソレだったか覚えてません。数箇所、クラビもベースも細かいフレーズを私が弾いて挟み込んだりもしちゃってますから。
その辺りはぜひ、自己申告して頂きましょう!(笑)
tpopsreryo:
ここですねw 板倉さんのギター。いじってないんですか!流石です。ギターはフレーズもサウンドも変態であればあるほどニューウェーブと思っているのですが、板倉さんのはそのまんまであの奇妙な音なんですね。ホント我々は失礼なレビューを(汗)
Ma*To:
美潮のコーラス声もヴォコーダーで音程付けて唄わせたり、Drawmerのノイズ・ゲイトで切り刻んだりしちゃった。もう、好き勝手!
「I know you're gonna dig this」の後のシンセ・コーラスはプリンスのパロディw、そこに被って来る文ちゃんのギター(出来の悪い犬の遠吠え?ww)はなんにもイジってない、そのまんま(笑)
「あ~ら、抜け駆け上手」から「クチは我慢」そして「中途ハ・ン・パ、ガッカリね」のとこの一連のエディットですが、実は本唄も録った最後の最後のトラック・ダウン時に、出来上がった2Mix(つまり全ての音)をサンプラーに入れてピッチ・ベンド操作やルーピングの処理をして鍵盤で弾いてます。それをテープに録り直し、元のマスター・テープに挟み込んで貰ってます。
最後の「好きにさせてよ~」に至ってはモジュレーションで揺らしたせいか、左右の位相も狂って来てますね。
これも一種の「トラック・アップ」。録音エンジニアとアシスタントとディレクターの皆様、ごめんなさい(笑)
tpopsreryo:
ここは美潮さんごと強引にピッチベンドですか〜。(最高の賛辞の言葉といたしまして)本当に好き勝手だったんですねw 素晴らしいのはなんだかんだで「鍵盤で弾いている」ところなんだと思います。ものすごく演奏を大事にしているんですね!プレイヤーとしてのセンスに改めて尊敬の念を感じてしまいます。
Ma*To:
実はわたくし、2小節くらいまでだったら結構上手に弾けるんですよ!(爆)
コンピュータをメインの録音&エディット機として使っていると十把一絡げで「打ち込み」と表現されてしまったりするんですけれど、愛用していたTool de Musicというシーケンスソフトは(もちろん数値での「打ち込み」もやり易かったけれど)鍵盤で弾いて入力するのが抜群に効率良く作られてるアプリだったんです。
このソフトに出逢えたのは、私にとって大きな僥倖でした。
同時に、あまりに使い勝手がヨカッタせいで、他のシーケンスソフトに乗り換える気が全く起きなくて、それがために後年、DAW時代に乗り遅れることとなってしまったのですが(笑)

続く「晴れでも曇でも…」のCメロパートのコードは、実は板倉さんなんです!!
奥ゆかしくも「ねえマット、ここにコード入れてもイイ?」って書いて来てくれたの。で、ひとことも権利を主張するでもない、この漢らしさ!!!!
流石のこの文ちゃんエッセンスが加わって、このガチャガチャした楽曲が最後にキチンと引き締まったと思います。おかげで、なかなか使い所の見つからなかった「ヤンヤ~」のサンプル音もたっぷり入れられましたし!
tpopsreryo:
そうなんです。レビューで言い足りなかったのはこの独特のコードですよね。板倉さんエッセンスとわかって完全に納得いたしました。腑に落ちました。何だか飲み会の一本締めが始まる時のような騒々しい場を整然とさせるシチュエーションと似たような匂いを感じます(変な例えですみません・・・)。
Ma*To:
ははは、全くヘンな例えですが、同感です(笑)
tpopsreryo:
「Chat Show」のデモバージョン、既にデモの段階でほぼ完成形なのに驚きました! 最初からあんなにサンプルごった煮状態だったのですね。ギミックはデモの後付けとばかり思っていたので、もう最初から勘違いの嵐でしたw 何ともはや・・・。あとやはりどうしてもお聴きしなければならないのが、私が盛大に勘違いをやらかしている「Tall Noser」にも出てくるlo-curve fxのことなんですが、未だにどういう効果なのかがわからないのです。積年の疑問ですので、この貴重な機会に教えていただけますでしょうか?
Ma*To:
ギミック自体は遊びみたいなもんであって、本質的に大事なところでは無いですからね。ただ、音の遊びはとにかく愉快で楽しいんで、作業してるとポンポン思いつくんです(笑)
ただ、こういった、いちおう立派な(!)メジャー・レーベルのレコードでこれだけ自由に遊ばせてもらえたことは、実にとっても有り難いことであったと思っております。
さてモンダイのlo-curve fxなんですが、残念ながらこればかりは本人に尋ねないと確実なところは分からないのですが、当時メッケンが好んで使ってたエレハモ(?)か何かのイフェクターのことを指してたんじゃあないかしらね?
少なくとも、その効果を他の楽器に適用した覚えは、私には無いのです。



(数ヶ月後)
Ma*To:
遅くなりましたが、lo-curve fxについて本人に訊けました。
「どの曲だったか覚えてない」(笑)とのことでしたが、やはりエレハモのベース・シンセのことだったようです。
入力されたベース音にブリブリの低音を付加するオクターバー的な奴。
現行のBass Micro Synthesizerはこれのリメイク版のようですが、筐体の見てくれ以外、内容的にはほぼ一緒のようです。
tpopsreryo:
lo-curve fxについて謎が遂に・・・。
エレクトロ・ハーモニクス社のベースマイクロシンセサイザーを挿していたんですね。そうですね、「Tall Noser」と「Chat Show」のベースは確かにブリブリ低音効いていました。だからlow curve・・・そうか、そうだったのか・・・。
「檸檬の月」のクレジットの記載で、この名前を見て以来、25年間ずっと気にしながら聴いていたのです。まさかこんな形で謎が明らかにできようとは思わず・・・一連のレビュー企画をやった甲斐があったというものです。
マットさん、メッケンさん、本当にありがとうございました!

10.「BLUE」

 作詞・作曲:小川美潮 編曲:小川美潮・板倉文

@tpopsreryo:
10曲目「BLUE」。これまた最後に微妙な曲持ってきたなあ。いや、間違ってないのよ構成的には。乱痴気騒ぎした後には賢者タイムが必要。必要なんだけど、粒ぞろいの曲が連発した本作になって煮え切らないにもほどがあるんです、昔から。こういうの好きな人もいるのもわかって言うんですがねw

@junnovi:
それは私を指してるねw そうです。私はこの「BLUE」嫌いじゃないんです。「♪Blueまだ~」の後の一息入れる所とか、「♪い~か~な~い~でぇ~~~~」のまた最高音で片付けちゃった所とか、好きですねん。Bメロの「♪愛は悲しみ~」の不穏な揺らぎも好きやなぁ。

@tpopsreryo:
その意外性のあるメロディの展開があるのもわかるんですよ。でもやっぱり長いんですよ、7分間がw とにかく淡々と進んでいくから、それはもう修業するかのように。小川自身が弾いてるあのリフがその単調性に拍車をかけている、一種の催眠効果があるんですよ。だから(ブログではhttp://reryo.blog98.fc2.com/blog-entry-233.html)9点なんですw

@junnovi:
わかる。この曲については曲が長いなぁって思うのは事実やもんなぁ。経文を唱えてる感じな訳やね。どうもラストの曲はセンセと相性が悪いね~w アッシは、何度も言うけど、大丈夫やで。
それにしてもやっぱり沈み過ぎなのは否めないよね。トニック効果強すぎやんね。トランキライザー強すぎやんね。

@tpopsreryo:
またアルバムの最後っていうのがアレなんすよ。やっぱりアルバムってストーリーがあるから大団円を期待しちゃうわけだけど、何か最後謎を残して中途半端に打ち切り気味に終わってしまうドラマを思い出しちゃうw え?あんなに楽しかったのにこれで終わり?っていう煮え切らなさが。

@junnovi:
なるほど~。そういうことやね。この曲はね、当時は結構好きな部類だったんだけど、今はどちらかと言うと冗長さが先に来るので、聴かなくなったなぁ。

@tpopsreryo:
半分くらいの長さにしてくれるともう少し気にならなかったかなw それでは本編終了でボーナストラックに行きます。

@junnovi:
了解です、よろしく!


ボートラ1曲目「言えない I LOVE YOU」

 作詞:小川美潮 作曲:小川美潮・大川俊司 編曲:久米大作

@tpopsreryo:
ボートラ1曲目「言えない I LOVE YOU」。これは「檸檬の月」リリース後に出たEPIC時代ラストシングルですね。これなんか質感が違うと思ったらキリングタイム勢が一掃されてたのね。全体的に柔らかい。渡辺香津美&渡辺等のW渡辺の弦楽器陣が正統派的に巧いから、その上品加減が音に出てる。

@junnovi:
上手くまとめたコメントです。この曲を聴くと、センセとその昔、この曲の素性をまだ知らなくて、たまたま入ったカラオケボックスで何故か入ってて、歌いもしないのに音楽だけ流して、フンフンって解釈してたのを思い出さずにいられないのですw 不思議なことしてたよねw

@tpopsreryo:
ああっ!やったね、それwww いい歳こいたオッサン2人がカラオケで何やってんだってw 歌ってないしw 当時はあのシングルを聴き逃していて、しかも中古には流通しないし、でも気になるしで。その結果がこの所業というw いや、あれもいい思い出ですよ。

@junnovi:
センセも覚えてたんや~w そういう期待感もあって今回のボートラへの思いはちょっと高まったんだけど、チト当てが外れた感じ。全然悪い曲ってわけじゃいんだけど。本編が本当に良く練り上げて作った曲ばかりだからさ。

@tpopsreryo:
そうそう、あと共作曲の大川俊司は小川美潮の旦那さんだったんですよ。でも2013年に亡くなってしまって。青山純と大川俊司という盟友が次々と失ってしまってその心中を考えると、ねえ。この曲も嫌いじゃないし、これもやはり小川美潮の仕事だと思っています。

@junnovi:
あと曲そのものについては、本当に上品な和菓子を食べるような後口の良さに似てる。ただ如何せん、私が彼女の音楽に求めるのはそういうものではなく、他の誰も真似しないようなこだわりと孤高の世界を見せてくれるあたり。そういう意味では付加ではないけど、優良でもない。

@tpopsreryo:
アレンジをはにわちゃんの同僚であった久米大作が担当で、間奏の展開とかは小川美潮の世界観を踏襲していたと思うんですが、いかんせん普通だったかな。やはり3部作でやりきった感があったんでしょうね。あと木管グループが主導する心地良さはあったと思う。では次ラストいきます。


ボートラ2曲目「FOUR TO THREE (REMIX)」

 作詞:小川美潮 作曲・編曲:板倉文

@tpopsreryo:
ボートラ2曲目「FOUR TO THREE (REMIX)」。今さらの感はあるけど、ギターフィーチャーなミックスですね。しかしそれ以外何も言うことがない・・。

@junnovi:
うんうん。リバーブがかかったようなギターやね。私もセンセと一緒でそれ以外コメントないです。


ボートラ3曲目「言えない I LOVE YOU(BACKING TRACK)」

 作曲:小川美潮・大川俊司 編曲:久米大作

@tpopsreryo:
ボートラ3曲目「言えない I LOVE YOU(BACKING TRACK)」。これもインストなんで特にコメントはありませんが、インストだけでも聴けますね。サントラとして良い曲になったかもしれません。ヴォーカルがない方がよいかも。コメントは以上です。すぐまとめに移りますw

@junnovi:
うん、上品で聞くに堪えうるインスト。私も特に何も言うことないです。じゃ総括をお願いします。


〜エンディング〜

@tpopsreryo:
各曲レビューが終わりましたのでまとめに入りますが、やはりこの「檸檬の月」は、前2作の試行錯誤があってこその完成度というか、経験を生かしてるなあと思いました。プレイヤーもそうですが、板倉文のポップセンスの磨かれ方も半端ないですし、もちろん生来のプログレッシブな側面も残して。

@junnovi:
全く同感。この「檸檬の月」をもって得た音楽的到達点は相当の高みにあり、己の歌に合う音楽とは何かという探求は一旦終わりを告げるのだと思います。「ウレシイノモト」とは異なる質の多彩さでも聴く者の飽きがなかった。このアルバムは私にとって名盤に他ならないです。

@tpopsreryo:
あと、青山純やMa*TO、近藤達郎といった常連は期待通り、それ以上の仕事ぶりでしたが、前回参加できなかったMECKENも頑張ってました。特にlo-curve fx(略  あとリマスターで生き返ったWhachoのプレイ。こういうことがあるからリマスターはいいんですよね。

@junnovi:
確かにホアチョのポコン・プカッ・ビイィーン・ケーン・ゴーッ・カーンという音の輪郭がはっきりと聞き取れ、多彩な音世界だったんだなぁって思わずにいられなかった。あとバックの演奏者もかなりレベルの高い水準を保ち、本当に飽きない素晴らしいアルバム。

@tpopsreryo:
うん、レベルが高いんですよね。あとやっぱり板倉の楽曲が総じて良かった。「4 to 3」も良かったんだけど、それ以上のものを持ってきたなあと思いました。間違いなく3部作最高の作品だと思います。好みとしては「ウレシイノモト」も匹敵しますけど。

@junnovi:
本当に・・・。当時からこのアルバムを聴くことが出来た幸せを思います。
「ウレシイノモト」は本当に体が自然と動きたくなる「動」のアルバムだったけど、「檸檬の月」はそれとは異なり、聞いていて幸福感の高まるようなアルバムとなったのでした。

@tpopsreryo:
そして3部作全体としては、「4 to 3」でこれまでのやんちゃな自分を変えてポップシンガーとして実力を見せようとしたけども、何曲か光る曲はあるもののまだ試行錯誤で未完成の部分も見せてしまったという点で、過渡期作品であったと。
そして「ウレシイノモト」では板倉文から離れてみて新しい血を入れることで開放的になって本来の自分を取り戻しながら自身が持つ本来のポップ精神を磨きながら、躍動感溢れる作品に仕上げていった。
で、「檸檬の月」では先ほどの繰り返しとなりますが、前2作を踏まえた上で改めて板倉文を起用して小川流ポップソングを高い完成度に導いていった結果、バラエティに富みながらも捨て曲なし(1曲を除いてw)の作品に仕上げて遂に小川美潮POPSを確立したと言ったところでしょうか。

@junnovi:
そう。そしてそれが間違いなく正解と出た。それを経たEPIC3部作のポップとしての広がりは多種多様で、スバラシイ!という感じですね。「檸檬の月」は前半後半が明確に分かれていて、潔い素晴らしさを思うのです。

@tpopsreryo:
という感じでまとまったところで、そろそろエンディングとしたいと思いますが、まだ何か言いたいことあります?

@junnovi:
ないよ~。今日も楽しかったですね! ホントお疲れ様でした。ありがとうございました。

@tpopsreryo:
いやいやこちらこそありがとうございました。今回もなんとかやり切ることができました。次は遂に松BOWの出番ですかねw

@junnovi:
「♪ひ・と・が~(ンギャ!)勇気と愛と真実、をお!」って感じですかねw

@tpopsreryo:
まさにそんな感じですねw お疲れさまでした!

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