T-POPS的80年代アイドルソングベスト100男性編リマスター(8)

 いよいよ佳境に入ってまいりましたこの企画。どうやら個人的な好みがここに来てはっきりしてきたようです。若さに任せて割り切ったアイドルとして振る舞う者、アイドルとしてデビューしながら本格的にアーティストへの道を歩もうとする者、自らの身体能力に任せてアクロバティックなパフォーマンスで聴衆を魅了する者、実力は持ち合わせていながらも図らずもアイドル的な売り出し方をされるバンド、アイドルとしては薹が立ったものの先進的な音楽に挑戦しながら偶像としての役目を果たそうとする者、演技を職業としながらも真剣に音楽に取り組もうとする者・・・どれもがそれぞれの立ち位置で、自分自身のキャラを生かしてくれるバックアッパー達に支えられて、良質な楽曲を次々と生み出していった80年代だからこそ面白いし、こういう企画が成り立つというものなのです。
 そんな楽しい企画も残り30曲となりました。本日は第30位〜第21まで。お楽しみください。



30位:「賽を振れ!」 一世風靡セピア (1985)

 作詞:SEPIA 作曲・編曲:GOTO

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 哀川翔や柳葉敏郎が在籍した路上演芸集団の3枚目。時代錯誤(彼らのフォロワーではありませんw)的パフォーマンスに合わせてサウンドは和風テクノといった趣。ベースの音鳴りが特徴的だと思ったら作編曲にGOTOこと後藤次利の名が。アクセントはシャープなオケヒット、間奏はカオスなボイスコラージュ、アウトロの直線的ベースラインのアトモスフィアが素敵です。




29位:「夢のエリア」 リフラフ (1985)

 作詞:松本一起 作曲:都志見隆 編曲:ZOPPE

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 本当にしつこいようですががTRFのSAM在籍の4人組ラストシングル。85年らしいひんやりした初期デジタルシンセ音とサンプリング音が満載でその音の組み方の間に生まれる音の隙間に独特のキレが生まれています。やたらと登場するシンセノイズによる爆発音に笑っちゃいます。間奏やアウトロのトリッキーな展開といい、とにかくものすごいカキコキ感。


28位:「You Gatta Chance~ダンスで夏を抱きしめて~」吉川晃司(1985)

 作詞:麻生圭子 作曲:NOBODY 編曲:大村雅朗

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 自身主役の映画主題歌となった4枚目。乾き切ったギターと直線的なシンセベース、そしてこの時期の大村雅朗編曲独特のドラム音はあの時代の空気を象徴しています。サビのタイトルコールから始まって秀逸なAメロが始まるまでのスィープシンセパッドを中心としたサウンドデザインが完璧。


27位:「アッパレ!フジヤマ」 シブがき隊 (1984)

 作詞:売野雅勇 作曲:井上大輔 編曲:佐藤準

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 先鋭化し過ぎて明後日の方向へ向かっていた11枚目。タイトルとは裏腹にジャングルビートからの獣の咆哮、大サビのまさかの変拍子、後半の溜めに溜めながらのこれでもかの転調、狂乱のラスト等々、サウンドとアレンジ両面で凝りに凝った若き佐藤準の一世一代の大仕事です。


26位:「ハートブレイク・スクール」 JACブラザーズ (1985)

 作詞:山本伊織 作曲:長沢ヒロ 編曲:矢野誠

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 千葉真一主宰のJAC若手トリオの2枚目ですが、音はロックを基調にイントロには和楽器を導入してからのまさかの他に先駆けてスクラッチを多用、歌詞は学園モノという見た目以上にカオスな展開に。アレンジが和物テクノを得意としていた矢野誠なので納得なのですが、いくらなんでも刺激的でしょう。場面展開にドモリングサンプリングやビートに絡むスクラッチを使用するギミックも楽しいです。


25位:「高速戦隊ターボレンジャー」 佐藤健太 (1989)

 作詞:松本一起 作曲:井上ヨシマサ 編曲:米光亮

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 高校生戦隊と呼ばれた89年戦隊主題歌。特撮ならではの勢いと若さ溢れる一直線な歌唱、つんのめりながら暴れ回るエレドラ、間奏で唸るギター。作曲は今を時めく井上ヨシマサの特撮ソングの見せ場をしっかり意識したメロディセンス&米光亮のめくるめくエレクトロ爆裂アレンジが光ります。


24位:「キャンドルの瞳」 吉川晃司 (1986)

 作詞:安藤秀樹 作曲:原田真二 編曲:後藤次利

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 アイドル路線としては最後と思われる7枚目。デビュー前の安藤秀樹-先鋭化期のミドル80's原田真二-ゴリゴリ後藤次利という豪華メンツが手掛けた曲で、いきなりのマシンガンドラムでまずは度肝を抜かれ、Bメロでは一発目をゲートで切り、二発目は残響音を効かせるフィルインからの間奏の雰囲気抜群のサックスでノスタルジーに浸るという完璧な流れ。とにかく音の芯が太い。


23位:「INTO THE NIGHT」 成田勝 (1986)

 作詞:篠原仁志 作曲:Michael De San Antonio・Michel Nigro Pierre・ Mario Giuseppe Nigro 編曲:幾見雅博

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 80年代ディスコの聖地マハラジャ社長がマイケルフォーチュナティの名曲を日本語にリメイク。自身が広告塔という意味では立派なアイドルか。このバリバリユーロビートをジャズ畑の幾見雅博がイントロで遊びまくる洒落たアレンジに。当時はダサくて仕方なかった日本語詞も今ではすっかりバブル期の郷愁が感じられてまるで熟成のワインの味に。


22位:「べらんめえ! 伊達男(ダンディ)」 シブがき隊 (1984)

 作詞:森雪之丞 作曲・編曲:水谷竜緒

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 前衛路線ここに極まれりな12枚目。とにかくスタートからC-C-B顔負けのシモンズ乱れ打ち! 曲調が複雑になり過ぎてダンスナンバーなのに拍子がとりづらいというヘンテコ曲で、突き詰め過ぎて逆に地味な印象に。全体的にしっちゃかめっちゃかなメロディが渦巻く中、ムーディーなフレーズを間に挟むことでメリハリを生み出すことに成功しています。


21位:「一気!」 とんねるず (1984)

 作詞:秋元康 作曲・編曲:見岳章

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 売り出し中だったお笑いコンビのメジャーデビュー曲。ご存じの通り見岳章作編曲でイントロの打ち込みベースラインがカッコいい。この楽曲はいくつかバージョンがありますが、オリジナルバージョンが格段に良いと思います。全体的に電子音打ち込み満載で楽しいのですが特にサビの2拍目の「キー」音とブーーーン↓という低音電子音にハマります。









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