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「小川美潮」リマスター記念EPIC3部作アルバム全曲クロスレビュー(1):アルバム「4 to 3」

 新シリーズはクロスレビュー3回目。今回のテーマは今も強烈な存在感を放ち続ける個性派シンガー、小川美潮。彼女の全盛期は何と言ってもEPICソニー時代のアルバム3部作、91年〜93年にかけての「4 to 3」「ウレシイノモト」「檸檬の月」の名盤3連発になるかと思いますが、この3枚は名盤たるが故に幾度も再発を繰り返しております。今回の企画は2013年に「4 to 3」が最新リマスターで再発されたのを皮切りに、2014年に残りの2枚がSONYオーダーメイドファクトリーでリマスター再発されたタイミングで実施されたものです。PINKの際は福岡ユタカ、JADOESの際は角松敏生と、ツッコミがいのあるネタがありおふざけが過ぎた感もあるこのシリーズですが、今回は真面目なファンも多そうな彼女なだけに、少々おとなしく真面目にレビューしていると思われます(?)
 それでは本日はEPICソニーでのソロ第1弾アルバム「4 to 3」のクロスレビューです。今回も相棒のjunnoviさんとの掛け合いコメントと共にお楽しみ下さい。

【追記】
 本レビューをなんとMa*Toさんに読んでいただき、数曲に関してMa*Toさんのfacebook上で解説していただきましたので、抜粋して補足として一部抜粋して転載いたします(近藤達郎さんや美潮さん本人まで登場!)。本レビューでの勘違い(!?)も含めてご参考にしていただければ幸いです(Ma*Toさん、本当に失礼なことばかり口走っていて申し訳ありませんでした!(田口淳之介ばりのダイナミック土下座))。

◆「4 to 3」(1991)

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〜オープニング〜

@tpopsreryo:
それではなぜか恒例?になってしまったリマスター記念全曲レビューシリーズ企画、3rdシーズンを始めたいと思います。テーマは「小川美潮EPIC3部作」ということで、junnoviさんととりとめのない雑談レビューを行ってまいります。それではjunnoviさん、よろしくお願いします!

@junnovi:
ヘーイ。こちらこそどうぞよろしく。てか、センセ(注:しつこいようですが彼は私tpopsreryoのことを「センセ」と呼びます)、ホント勝手な企画だよね、本人達にしてみたらいい迷惑だったり!でもいいの。言いたいことを言わなきゃ気が済まないから!w

@tpopsreryo:
まあそうですよね、いわゆる公共のタイムラインを利用してただ勝手にレビューしてるわけですからねw ただ今回の小川美潮はね、ちょっとやりにくいなあって思ってるんですよ。あの3部作は、もう名盤として語り継がれてしまってますから。

@junnovi:
そうなんや・・・。私の出る幕じゃないかもね。それに今回の3枚いずれもが、いつになく真面目なレビューに終始しそうな真面目な作品やしね。
でもいいの。私の思うことを、私の限られた語彙の中で、表現するのが気持ち良いので。もとい。小川美潮について、こんなに大上段に構えてセンセと話をするのは、実際初めてかも知れないね~。

@tpopsreryo:
真面目に・・というわけではなくて、ただ単純にやりにくいというw ちょっと一般の評価とはずれちゃうかもしれないし、ずれないかもしれないし。ひょっとしたら的外れなこと言い出したとしても大目に見てほしいというかw まあとりあえず始めていきましょうよ。

@junnovi:
センセと違って、いわゆるリスナーの平均的な聴き込みまで至っていない私でも、やっぱりリスナーに違いないわけで。表現者はそういう「族」も含めて向こう側に回って対峙しなきゃいけない場面もあるよね。って自己保身のために、小難しい屁理屈を並べてみました。

@tpopsreryo:
なんというかですね、余り評価の定まっていないもの、評価が一般的に足りないと個人的に思うものは結構やりやすいですよ。ただ、この小川美潮はね・・皆さん聴いてみた方ならわかると思いますが、誰もが評価してしまうから。その定まった高評価の作品を我々が今さらどうしろとw

@junnovi:
そうやねぇ。「聴いてみた方ならわかると思いますが、~」というくだりは、まさにその通りで、それでも自分の言葉を介して言わなきゃ気が済まない、自伝作家のカタルシスにも似たこの溢れるばかりのほとばしる泉が、私自身を突き動かすのですw
要は、このアルバム群が好きだってことですな♪

@tpopsreryo:
そう、その一念は共通認識ですからねw
その一点で、何を言ったとしても突破できると、私は心から信じてますよ!
さて、本日の作品はEPIC第1弾、本人にとっては2ndアルバムの「4 to 3」というわけですが、これはファンの間でも最高傑作というべき高い評価の作品ですが、まずはどうですかjunnnoviさん、学生時代この作品を聴いた時の感想なぞを少しw

@junnovi:
ハイセンセ。私の中でこのEPIC1枚目は、3部作の中で2番目に好きで、結構聴き続けた作品だった。とにかく良く聴いたアルバムの1つだったし、今回のOMF(SONYオーダーメイドファクトリー)の限定販売を機に、今回の全曲レビューをセンセに私から持ちかけたほどだもんね。ありがたい話ですよ、全く。

@tpopsreryo:
ワタシは小川美潮の存在は(EPICでのソロ活動の)少し前から知っていたし、チャクラの自由奔放なヴォーカリストが1stは出していたものの本格的にソロ活動を始める、ということでお金のなかったワタシはレンタルに走ったわけです。で、聴いてみたらあれ?なんか大人しくPOPSに向き合っているぞ!とw

@junnovi:
私が聴き始めたきっかけは何だったんだろう。センセに教えて貰ったのかなぁ。何しかこのアルバムで、独特の世界観に心が深く共鳴して、歌を紡ぎ、潔くポップであることの素晴らしさを改めて味わったのでした。ポップさって本当に定義しがたいことだと思うけど。

@tpopsreryo:
この作品の良さは限りなくポップでありながら、サウンドの構造はKilling Timeが担っているからストレンジでしょ? まんじゅう食ったら毒まんじゅうって感覚があるんです。でも劇薬じゃなくて死なない程度の。気持ちよくなる方の。SAY YESって言ってしまう方のw

@junnovi:
ホンマに、相方がおクスリにすり替えられてしまって、気の毒ですけどw 昔はジャッキー・チェンと親戚ちゃうかと思ったほど似てたのにね。昔、聴き終えるには耐えがたい曲ばかりを集めたカセットを自分でも作ってて、そこにSAY YESな「Walk」が入ってたよ~w

@tpopsreryo:
スゴく精神的に強くなれるカセットですねw でもワタシ「モーニング・ムーン」は今でも好きでしてよく聴きますよ。THE ALPHAが好きでしたし、あの曲の間奏もエレドラ乱れ打ちだったしw (またそっち方向に持っていこうとするw)

@junnovi:
ホンマたまらんカセットやったよ!イライラしまくるねんw てか「モーニング・ムーン」はかなりかっちょええで!w そのエレドラ連打の「THE ALPHA」聴かなアカンわwww ちなみに、デリンジャーな新川博と、どっちが節操ない?ゲラゲラ。

@tpopsreryo:
それはもう明らかに新川博w あれは様式美以外の何者でもないからw
話を戻すけど、アートワーク的にも不思議さを残しつつ、癒しとか牧歌的というかそっち方面を狙っているのかなあ、とか、そういう意味ではプロデューサーの福岡智彦の色出てるなあとか思っていました。当時遊佐未森とかも手掛けていたし、太田裕美の旦那さんですしねw

@junnovi:
この福岡氏はちらほら見かける名前だった。あとから思えば、フィクサーみたいな重要な存在だったんだなぁと。私はただただ音楽と向き合い、心地良くなる自分を受け止めていたという感じです。ガビガビなデジタルな音数の多い音楽を聴いている一方でね。

@tpopsreryo:
ワタシは実は小川美潮はニューウェーブ畑の人と思っていたので、そういうデジタルサウンドの延長線上として聴いていたところもあるんですよ。だから卓越した生演奏の間にうっすら入るシーケンスに魅かれるというか・・まあそこは各曲のところで。ではそろそろ1曲目からいきますか。

@junnovi:
そやね、今回聴き直して改めてその仕組まれたシーケンサーに気を何度も取られてしまったわ。これ、どうやって思いつくんやろってw
あと『4to3』のブックレットのデザインも、どこか馴染みやすくて、かと言ってありきたりでもなくて好きです。このアルバムの音世界と響きあって、とても良く考えれられてるなと思った。何としても自分のものにしたいって思ったもん。中々貧乏で買えなかったけど。

◆Ma*To氏facebookより抜粋転載(敬称略)

Ma*To:
(「窓」の資料を見ながら)1993年て、間違ってるね。91年だわ。
近藤達郎:
リリースが91年2月なので、90年では?
Ma*To:
そっかあ!河口湖は雪だったもんね。とにかく、昔し々々!!(笑)
近藤達郎:
あれ、河口湖は夏だったような?そのあと東京でもベーシック録ってるし、ダビングもミックスもやったし。
Ma*To:
じゃあ、雪だったのはKilling Timeの録音のときか…。
東京帰ってベーシックってことは、河口湖はほぼ曲創りだけの合宿状態だったのかしら?←贅沢~!
大サビ創ったピアノブースは河口湖だったと記憶してるんだけど。
近藤達郎:
あ、東京でベーシック録ったのは、「On the Road」「Four to Three」とかの追加曲だね。後者は当初「お部屋のかたづけ」と呼ばれていた。
ついでに、「ほほえみ」の楽譜には「パホパホ」と書いてあって、グーフィーグーフの顔が描いてあった(ハンコか何か?)
Ma*To:
あったあった、パホパホ!
小川美潮:
河口湖で録ったのは「デンキ」と「天国と地獄」だよ。
Ma*To:
そんだけ?
小川美潮:
そんだけ〜(笑)とにかく全ての最初ところだったからね〜 じゅうぶん進んだ感じだったと思ふ。そのあとシングルのおかしな午後をコクーンのレコスタ?だかで録ってる時に工藤さんから上の2曲の歌詞がFaxで届いて、読んで感動したのを覚へています(笑)
Ma*To:
当然それまでは、上記2曲も歌詞なしの仮メロだけだった訳だよな。
「デンキ」に関しては、あんまり覚えてない(笑)
小川美潮:
わはは!
近藤達郎:
「夜店の男」も録った気がしているのだが?
Ma*To:
いくら贅沢なレコーディングだったとは言え、2曲だけってのはね~。
小川美潮:
うんにゃ 2曲でし。
Ma*To:
バブリ~!
近藤達郎:
最初わりと素朴なアレンジだったのが、ブンちゃん(板倉文)とマットで細かい打ち込みを入れてくれて、バナちゃん(BANANA)がアルペジエータのシンセをやってくれて、おお〜できた、と河口湖のコントロールルームで思った、と思ったんだが。
Ma*To:
なんか、対談か座談会みたいになって来ましたナ(笑)
近藤達郎:
偽りの記憶?
Ma*To:
何処のスタジオでの出来事だったのかって、意外と覚えてないもんだな~(俺だけか??)
窓」の大サビは、寒い日に河口湖のピアノブースに這いつくばって譜面書いた記憶が…(笑)
小川美潮:
断片が別の断片とつながったりするばやい(場合)はある!
福岡智彦:
「窓」のデモテープを聴いて、入っている「部品」を並べて、みんなで構成を考えたのは、信濃町スタジオだったと記憶していますが……。
Ma*To:
もう河口湖って云い張りません(泣)


1.「デンキ」

 作詞:工藤順子 作曲:小川美潮 編曲:板倉文 & the Band

@tpopsreryo:
それでは「4 to 3」1曲目から「デンキ」。いきなりですがこの曲は感想に困りますね。非の打ち所がないので。大人しくも複雑なフレーズが絡み合って。ギターソロの前の盛り上げ方がなんとも秀逸です。ベースも唸るし弦楽器も両サイドで細かく奏でるしで、追っかけるのに一苦労ですw

@junnovi:
柔らかい中にも、清く澄んだ凛とした空気があって、すぐさまに包まれてしまう。千代紙を折るような雅趣溢れるギターとピアノの綾なす旋律の技。良質のポップの予感。開かれていく期待感に1曲目から満ち満ちている。まずはこのあたりでどうでしょw

@tpopsreryo:
リスナーの間ではこの曲の人気も高いみたいですね。それほど1曲目からのこの完成度は衝撃的だったということでしょうけど。ただ個人的にはなんか大人しいなあ、地味だなあということでしっくり来てなかったんです。いい曲だけどなんかどこかで聴いたような旋律だなあって。

@junnovi:
Aメロの終わりの「記憶だと~う~」の「う~」が余分なはずなのに引き算の並びの表現だったり、ギターソロも切なく空白があちこちに散りばめられていたりするところも心が奪われる。また終盤の急に開かれるコード進行とかも。両の手を左右にまっすぐ伸ばして均衡を取りながら歌いたい気分になるんよね。独りで。

@tpopsreryo:
ちなみにこの曲だけギターソロが平沢幸雄というはにわちゃんとかMa*Toも加入してたPoison Popというバンドのギタリストなんですけど、違和感ないですね。音色もでしゃばらない上に訴求力もあるという、良いギターソロだったと思います。
またこの曲は終わり方が突然なのに、計算尽くされたようなフレーズで、しかもこれしかないようなリバーブ付で、こういうところがいわゆるセンスなんだなあと思う次第です。楽曲自体は正直地味な方だと思うんですが、その練り具合が半端ないわけで。

@junnovi:
そこまで仕込まれたバックなのに、あざとい所や、出しゃばった所がなくて、節度を保った自由と規律の共存がある。あとスパーン、スパーンと気持ち良く切り込んでくる青山純のスネアの音が本当に好きです。思わず体が合わせてブンブン動くのです。いやはや。

@tpopsreryo:
うん、確かにスパーン!って感じですね。この作品はWhachoも参加してないので、パーカッションも青山純大活躍なんですよ。節度を保った自由、というのは実は大事で、ある一定の節度の中で斬新な工夫やアイデアが見られるサウンドというのが個人的な好みなので、いいですね。

@junnovi:
この曲がまさにEPIC3部作の入口に位置していることはとても幸いだったと思うよ。誰でも入れる、気の置けない雰囲気たっぷりの入口。間口は自由でかつ秩序も保たれ、整然として見通しが良いと来てるから。イニシエーションとしてもってこいやね。

@tpopsreryo:
そのとおりで、この曲が今までニューウェーブのエキセントリックお嬢さんであった小川美潮の敷居をグッと下げた感はありましたね。つかみはOKというところでしょうか。それではキリがないので次いきましょうかw

@junnovi:
でもねセンセ、こんだけ褒めたものの、私は今迄、小川美潮の中でもこの曲はかなり好きな曲だったのに、今回の企画で10回ほど改めて聴き直して、結構引いた位置で聴いてる自分に気が付きました。それはもうここで言っちゃうけど、この作品全体に言えることだったのです。

@tpopsreryo:
10回か、結構聴きましたねw それはこの「4 to 3」という作品自体に結構冷静になれているということですかね?

@junnovi:
この点を触れない訳に行かないので、ちょっと引っ張っちゃうけど、この曲の私の褒め言葉の殆どは過去のものであり、どこか色褪せてしまった感が付いて回っています。どこか醒めていて、どこか冷たくて、どこか遠い音楽に聞こえるのです。魔法が解けたようなそんな感じ。
聴き飽きたのとは違って、もっと異質のもの。なんだろう。ものすごく狙い澄ました素材をふんだんに使ってみたけど、当の本人達が心底楽しめてないというか、本当にやりたいこととは違う、そういう「ズレ」みたいなものに目が行ってしまった気がします。

@tpopsreryo:
なるほど、あくまで本人達は本気で売れ線POPSを前提として作っていたのかもしれないですよね。当時は完成度の高いサウンドのインパクトから熱に浮かされた感があったけど、実は本人達の意図するところではなかったのではないかと。興味深いですね。

@junnovi:
うん。どっか「様子見」みたいな感じが今回とても強く感じました。「お試し」とか「ごあいさつ」みたいな。全くぬかりないのだけど、『ウレシイノモト』の嬉しさの余りに躍動する様や、『檸檬の月』での執念にも似た表現欲求への直截なこだわりが感じられなかったのです。

@tpopsreryo:
まあそこはスタイルを変えて1作目ということもあるから、まだ試行錯誤の段階だったのかもしれないですね。マニアックになり過ぎな部分も含めて、振り切れてない感はあると思います。

@junnovi:
ありがとうセンセ、話に付き合ってくれて。今回この『4to3』という作品は私にとって思ってもみない違和感を抱かせた訳だけど、良かったと思ってる。じゃ次の曲に行きましょうか。お待たせしました。
それはこの『4to3』というアルバムを貫く「統一感」への配慮だったのかもしれない。他2作が余りにカラフルでバラエティ豊かだから。

@tpopsreryo:
なるほどまだまだ雰囲気がヌルいということですね。「統一感」への配慮か・・・実は個人的には結構ばらつきのある作品だと思っていたりするんですけどね。まあそれは追々。すぐ次の曲いきますよ。1曲で1時間半たつなんてw

◆Ma*To氏facebookより抜粋転載(敬称略)

近藤達郎:
4 to 3の頃まで、Korg PS3100をよく使ってた。「デンキ」のイントロもそう。なんてことない太さ(波形の)中くらいの矩形波なんだけど、他の音源だとなかなかあの感じにならない。修理部品がなくなってお別れしました。
Ma*To:
PS3100の音はホントに独特で、強い個性があったね。かなり残念です。


2.「Four to Three」

 作詞:小川美潮 作曲・編曲:板倉文

@tpopsreryo:
2曲目「Four to Three」。実は個人的には本作の中で1、2を争う好きな曲なんです。さすがはタイトルチューン。EPIC小川美潮の全てを堪能できる素晴らしいアレンジだと思います。板倉文は本当にひねくれたPOPS職人だなあと。あえてPOPS職人と呼びますけど。

@junnovi:
より一層マイルドなポップで、普段着にもなりそうな親しみやすい曲。間奏のハーモニカの独奏の終わり方の独特なまとめ方が「エエッ?」という、リスナーを甘やかさない所が憎い。

@tpopsreryo:
Aメロからサビへ入る不穏なブリッジとかネガティブ「をかたして」のコーラスのかぶせ方とか、職人気質だなあと。あと近藤達郎のハーモニカソロ。2回り目Aメロの後にソロが入るという土屋昌巳スタイルw そういうのを全部ひっくるめて「デンキ」とかよりも好みですね。
あとやっぱり青山純のドラムのまとめ方が巧い。こういうマイルドな曲だからこそそのスマートな叩き具合が際立つというか。

@junnovi:
そうそう青山純。カタン!と乾燥度の高い音が心地良いんよね。あとブラス系のどこかソリッド感のある所とか、どうしてここに入って来るんだろって。

@tpopsreryo:
それでアウトロはやっぱり板倉だなあって感じの不穏なコード進行の・・ほんとああいうの好きですよねw 実は本作の中では楽曲としては3曲がぬきんでていると思っていまして、これはそのうちの1曲なんです。小川美潮式POPSの魅力を余すとこなく伝えている。では次いきますか。


3.「夜店の男」

 作詞:工藤順子 作曲:近藤達郎 編曲:近藤達郎 & the Band


@tpopsreryo:

3曲目「夜店の男」。近藤達郎楽曲ですね。この人の曲は風通しの良いサウンドが特徴ですが、なんか遊佐未森が歌っても違和感がないですよねw これもリズムが複雑で土着的。しかし良くこういうタイプのサウンドでPOPSにまとめてくるなあ、と思ったり。

@junnovi:
のっけからスチールウールがシューシュー音立てて燃焼するような音が鳴り続けるところに「♪アセチレン~」なんて登場するからね~w おかげで町工場の通りを歩いてたら、外壁にアルゴン・酸素と来てアセチレンの看板が並んでると、思わず口を突いて出て来る曲なわけです。

@tpopsreryo:
そういう風景描写に長けているアレンジをする印象がありますね、近藤達郎という人は。彼は板倉文と並んで小川美潮作品のサウンドの核となっている重要人物ですね。多彩な楽器をこなすし縁の下の力持ち的な。

@junnovi:
センセの言うとおり、サビのおでんみたいな和風の味付けが好きな所に、「♪帰り道でふりむけばすべて闇の中」の展開が美しく、とりわけ「すべて」の和音の優しい広げ方と言ったら! 遠い遠い昔の雰囲気を音楽を通じて伝えてくれてる。ふと振り返った時に見えるつむじ風とか。
そのようにコーラスワークがどこまでも優しいのに、いささか鋭さと芯の硬さを秘めたドラムスがたまりませんな。祭太鼓の様な囃子の掛け合いの様な、やんややんやが右に左に。どこをどう切っても一緒に声を上げて歌いたくなる主旋律の力。少し寂しくさびれたトーンも見逃せず中々ないんじゃないかなぁと思うんですわ。いやはや感謝でございます。

@tpopsreryo:
恐らくそういう例えを情景としてとらえやすいということは、それだけサウンドの表現力が優れていることの証だと思うんですよ。そこが小川美潮の強みとも言えるのではないかな。「♪帰り道でふりむけば〜」の部分は少し遊佐過ぎるかなって感じもするけどw それでは4曲目いきます。


4.「野ばら」

 作詞:井上妙 作曲:BA NA NA 編曲:BA NA NA & the Band

@tpopsreryo:
4曲目「野ばら」。大好きなBANANA曲なんですけど、この曲は彼らしくないというか、不思議な曲なんだけど尖ってくれないというか・・。彼にはやり過ぎ感を期待しているのでただ単に物足りないだけなのかもしれないですがw MECKENの弾くベースフレーズにはらしさが残ってますね。

@junnovi:
クロマティックな曲調なのに、流麗さとか、目が回るような色彩過多さとも距離を置いて、ポツンポツンと水玉の様なAメロが特徴やなぁ。「♪何かが~」の展開が急なので「どしたの?」って思うけれど、どうしても全体の曲調がナルシスティックなツンとした青い匂いがする。

@tpopsreryo:
恐らく「♪何かが~」の展開はBANANAの「味」でしょうなあ。ああいうトリッキーな落としどころを求めたいみたいだからw
ただ今回のリマスターで間奏部分のサウンドが良く聴こえるようになったので少しだけ印象はUPしました。ただやはりBANANAは変に考えずに、ストレートにひねくれて欲しいというか。シンセで冒険してほしいというかw

@junnovi:
私は前述のとおりどこか青い匂いが落ち着かなくて、百合の花の様な感じで人を寄せ付けないオーラが漂ってる。

@tpopsreryo:
なるほど、親しみやすい曲が並ぶこの作品の中にあっても一歩引いた印象を受ける楽曲ということですね。だからこそ違和感も残っていると個人的には思いますが。それでは次のインストいきますか。


5.「On the Road」

 作曲・編曲:板倉文

@tpopsreryo:
5曲目「On the Road」。インプロヴィゼーションな演奏をバックにコーラスだけで世界観を持たせられるのは、ヴォーカリストとしての類稀な実力があってこそ。神々しさすら感じさせますね。奇妙な板倉コード進行はもう慣れましたw

@junnovi:
即興演奏の趣の強い曲で、表現本能を見せたような歌唱で、安易に聴き流せない引っ掛かりを多分に散りばめてる。ただ、どこか煮詰め足りない感じがする。こういう曲調は『檸檬の月』の「SHAMBHALINE Ⅱ」へと受け継がれてるんだろうと思うけど、そこで完成する気がしてる。

@tpopsreryo:
アルバムの真ん中ということでインタールード的な役割なんだろうけど、正直小川美潮のインスト(コーラス)曲って地味というか陰気くさいというか・・「SHAMBHALINE Ⅱ」とこれだけかもしれんけどw あんまり得意じゃないんですよね〜。得意じゃないついでに次いっちゃいますw

@junnovi:
ハイ。ついでにハッキリ言うと、曲の後半になると、内容が希薄になること著しくて、ツマラナイのです。

@tpopsreryo:
ああ、確かにそうですね。ただ単純につまらないというw

@junnovi:
うん。こういう所でポップさを出せたら一級品なのになぁって。私にとって退屈な3連チャンの峠がここに在るっていう感じです。「あ~あ~」「お~お~」って流し過ぎやってw

@tpopsreryo:
わははw 流し過ぎってはっきり言っちゃったなあw 3連チャンの峠か、ということは次もそうなんですね。気が合いますねw

@junnovi:
アラそうなんや? ん~なんかね、自分から企画を依頼しておきながら申し訳ないんやけど、今回の聴き直しで本当にこのあたりを通り過ぎるのが辛くって、「らしくない」部分が一貫してるようで、「本当に歌ってて楽しい部分」が一歩下がってるように聞こえたんですわ。はい。


6.「記憶」

 作詞:小川美潮 作曲:MECKEN 編曲:MECKEN & the Band

@tpopsreryo:
6曲目「記憶」。珍しいMECKEN曲。ゆったり変拍子で、これも聴き方によっては地味曲。以前ベーシストって変な曲ばかり書くなあと言ってたけど、これはその最たるもので、乗り切れない上に長いという、なかなかの拷問曲。間奏とかは凝ってますけどPOPSとしてはマニアック過ぎかも。

@junnovi:
5拍という変拍子の曲は、3+2とか2+2+1というパターンが多い所だけど、Aメロについてはそういうものに与しない、徹底的に1+1+1+1+1を貫いて挑戦的な姿勢があるけど、私の耳馴染みが悪いのか、落ち着かないし、慣れそうもない。とかなり辛口w

@tpopsreryo:
ちょっと凝り過ぎちゃった感があるんですよ。こんな難しい曲も歌えますよってところが出過ぎてるような感じがする。そういうのは他の作品でやってほしいというか、POPSとしてのわかりやすさが・・ね。正直本作は余りにも曲の出来不出来に差があると思う。一部の名曲とその他。

@junnovi:
Bメロと言うか、サビと言うか、サビの後半のところも、もうなんか、混とんとしてて、迷路の中を彷徨っているかの様で、当人たちはちゃんとした羅針盤なり、地図を持って演ってるんでしょうけど、それが受け止められるような形で伝わってこなきゃ意味がないよね・・・。

@tpopsreryo:
ここで正直に言いますけど、「4 to 3」はPOP史上に残るという名盤というほどではないと思いますよ。10点中7点くらいの平均より良いというくらい。それはやはりこの中盤3曲の難解さにあるというか、せっかく「デンキ」で標榜したわかりやすさをカオスにしてしまったと。

@junnovi:
そうなんだろうね。もったいない感じやね。何曲か本当に素晴らしい作品があるだけに。それもセンセと私とではちょっと違う感じやけどw もとい。なんしか最初の方に書いたけど小川美潮を筆頭に、みんなどっか遠慮というか様子見、お試しで一歩引いてるのが一貫してるんよ。

@tpopsreryo:
多分みんな慣れないことしてるんですよね。MECKENとかMa*Toとかポップな曲書けそうもないもんw そういう意味ではMa*Toなんかは「窓」を書けたことが自信につながって「ウレシイノモト」というシングル曲を書けて、「Chat Show」で弾けちゃうんだけどさw

@junnovi:
わはは! Killing Timeの『IRENE』っていうアルバムも、やっぱり聴きにくかったもん~。それでも20回くらいは聴いたけど、諦めました。この「Chat Show」は結構何でもやれることやってみましたって感はあるけど、ちゃんとポップやと思うで。


7.「ほほえみ」

 作詞:井上妙 作曲:板倉文 編曲:板倉文 & the Band

@tpopsreryo:
7曲目「ほほえみ」。やっと迷路を抜けた感のある瑞々しいポップソング。実はこの曲が本作の中で最も完成度が高いと思っています。なんといってもドラムが良い。小川美潮楽曲の中でも1、2を争うエロいドラム! そしてストリングスとの絡み合いが素晴らしい。全体的に幸福感に溢れているのも実に良い。

@junnovi:
このどこまでも暖かい昼間の空を駆け上っていくストリングスのOPから素晴らしい! ポワポワいうベースの音といい、打楽器のポコポコと弾む音といい、重層的な複合リズムで小さなシャボン玉が弾けたりして、一体全体どうなってるの?というほどポップ!
とにかく、前曲までの延々と続いた混沌とした世界から急にカラフルな現世界に舞い戻った感じで、呼吸するのがこんなに気持ち良いんだって思わせるほどの解放感が好きです。何だか素性のはっきりしない音がいっぱい混ざってるけど、啓蟄の候の如く虫も何でもござれって感じw

@tpopsreryo:
ストリングスと打ち込みの融合的なPOPSって結構今流行の部分もあるんだけど、この曲なんかはそんな潮流の原点になってるかもしれないね。それほど親和性が高くクオリティが高い曲で、ちょっと突き抜けてますね。現在と違うのはやはり青山ドラムの有無ですね。ほんと実に惜しい。

@junnovi:
あうっ、言い忘れてた! 青山純のドラム。ここでもカツン!と打ち込んでくるよね、ホント潔いというか清々しいね、ここまで来たら。ポップさは甘さだけではだめで、こういう風なメリハリがないと単なる安直な異性に媚びただけの様な楽曲になっちゃうもんね。同意します。

@tpopsreryo:
ほんといつも言ってることなんですけど、ドラム、特にスネアの音色とそれを生かすようなパターンって大事なんです。この曲の青山ドラムはそこがカチッカチッ!と当てはまるんですよね。そこでPOPSとしての最高のグルーヴが生まれてくるんです。ほんといい仕事してますよ彼は。

@junnovi:
センセはそれを本当に良く言ってるもんね。確かに、こういう類の音楽を聴くにあたってリズムをどう刻むかというのは、とても重要なファクターやんなぁ。ともすれば、ボーッとしてしまう所にシャキッと引き締めてくれるんやもんね。本当に貴重な人を亡くしてしまいました。


8.「天国と地獄」

 作詞:工藤順子(concept by 小川美潮) 作曲:小川美潮 
 編曲:板倉文 & the Band

@tpopsreryo:
8曲目「天国と地獄」。イントロから震えるようなギターフレーズが味わい深いし、間奏からのコーラスの浮遊感ある入り方など随所で匠の技を聴かせる楽曲です。ただ稀代の名曲に挟まれているので印象が薄まってしまい不遇な曲かもしれませんね。質はもちろん高いし、悪くないんですが。

@junnovi:
昭和のアニメソングやホームドラマのBGMやらOPに使われそうな安穏とした曲。良く聴くと不思議な効果音やらラテン系やアフリカンなパーカッションやらでひねりを加えてる。「♪景色を変える」で階段をポンポンと駆け上がっていく感じも面白い。でもねぇ。。。
やっぱり安穏すぎるんよ。サビのところでの「フ・フ・フ」とか、サビが終わっての「アー」とか低音の「アー」とか、コーラスワークが独特で私の好きな要素があちこちにあるのに、何故だか心に引っ掛からない。今ひとつ心に届かないのです。

@tpopsreryo:
やはり前後にハイライトが控えてるので、箸休めを入れておきたかったんでしょう。と思ってしまうほど息抜き曲になってしまってる。こういうところに本作の詰めの甘さみたいなのがあるような気がしますね。さあ、次の名曲いきますよ。

◆Ma*To氏facebookより抜粋転載(敬称略)

Ma*To:
「天国と地獄」は、リズム・ベーシック(あるいはプリプロ?)のかなり早い段階でタブラ・フレーズを構築できてたと記憶。そこんとこに、青ちゃん(青山純)がぴったり寄り添ってくれた♡
俺、かなり良い仕事したと思ってます(自画自賛)

9.「窓」

 作詞:工藤順子 作曲:Ma*To 編曲:Ma*To & the Band

@tpopsreryo:
9曲目「窓」。言わずと知れたリスナーの誰もが名曲として挙げるキラーバラード。結局この曲は構成が抜群に巧いんだと思います。シンプルな前半、ストリングスで徐々に盛り上げて、中盤一気に爆発して後半に勢いを保ったまま大団円へ、という。そしてここでもドラムの存在感が半端じゃない。

@junnovi:
物語風に練り上げた歌詞。戦後生まれの世代の者が、誰彼なしに各々が情景を思い描くことが出来るような綴り方。その訥々と語り始める生い立ちの話と、徐々に熱のこもった語り方でまだ見ぬ開かれゆく未来の世界と、それにしっかり寄り添うメロディとアレンジ。やりました!
ポローン、ピローンと独り言のように、時にはブルースの様に鳴っているギターも、やがてドラムと共に力強さが加わり、堂々の幕引きへ。歌詞の世界でも春を待つ希望に満ちた大団円へ。一直線に力を付けて真っ直ぐ上昇していくさまは、潔く清々しくなる。

@tpopsreryo:
しかし実のところドラムに助けられてるというのも事実で、特にアウトロのギターソロの部分なんかはどうもバランスがよろしくない。そのまま大団円なんだけどどこか物足りなさも残ってしまうのです。もう何十年もかけて聴いてきたので、そういうところに違和感を感じてもおかしくないですよねw

@junnovi:
センセ、マヂ? 私より何か先に反撃始めるし~w、何か「大団円」なんて言葉、私と殆ど同時に出て来るの~?w ホンマどうなってるんよw ビックリするわ!!

@tpopsreryo:
あははw この曲のテーマは大団円で決まりだなw でもその単語がこれほどピタリとハマる曲もないんじゃないかな。そう、サウンド面ではMa*Toってトリッキーな人だから、もっと冒険してくれないと困るんですよねw それが結局「らしくない」ってところにつながってくると。

@junnovi:
何か、私も言わせてもらうと、この曲みたいなバラードやけど劇的に盛り上げる曲って、やっぱりどっか安直で明け透けで見え見えやと思う。ベタやわ。展開が王道で完全に予定調和で、驚きも意外性も今一歩足りないと思う。でも辛口すぎるかも。やっぱり感動するもんね。
結局何が言いたいのか、自分でも良く分からなくなってきたけどw 力のあるメロディで、何度となく心に染み入る思いのするところなんて、やっぱりこの曲が名曲であることを再認識するね。それだけに更にもっと出来るんじゃないかという法外な期待も寄せてしまうんかな。
想像力の翼が広がるのは楽しい限り。男女を問わず、そうだったよなぁと懐かしむのも楽しい限り。という所で自分なりにバランスを取ってみたり。ま、何しか青山純のドラムが、物語も曲も前に前に進む役割を担ってくれてるんよね。本当にありがとう青山純。

@tpopsreryo:
ベタやわってww まあそれくらいしか非の打ち所がないくらい完成された王道バラードということなんですよね。バラード嫌いのワタシでもやはり本作中の3本指に入れざるを得ない。それだけの名曲ということ。だって結局Ma*Toならもっと冒険しろなんて無茶な注文でしかないしw
そうですね、聴けば聴くほどこのドラミングに惚れてしまいますね。ありがとう浜村淳ばりに自然に言えますね、ありがとう青山純。

@junnovi:
ゲラゲラ。どういうツッコミやねんって、ホンマや!!ww 浜村淳や!w
いつまでもゴメンな、センセ。この曲、ええ曲やとは思うけど、何かさ、どっか飽きひん? 私はええ曲って何回も続けて聴き直したくなることあるんやけど、この曲ついては直ぐにリピートして聴き直したい気が全くしないよね。いっぺん聴いたらお腹いっぱい。
なにもそれがアカンという訳やないんやけど、やっぱりベタなんやわ。どっか一点豪華主義なんやわ。もうええけど。

@tpopsreryo:
まあベタだからこそ愛されてるという言い方もできるけどね、我々はそれだけでは飽き足らないというか、もっとできるだろ!って思ってしまうんですなあ。贅沢者ですなあw
まあワタシはバラードはそんなに繰り返し聴かないけどねそもそも。基本ダンサブルビート好きだからさ。飽きるって言うのはその通り。でもそれとこの曲の完成度とはまた次元が違う話かもですね。
歌詞に物語性があるからこそドラマティックな展開を生み出せる、この曲の半分は作詞の工藤順子の功績なんでしょう。この人も福岡プロデューサーの御用達で、小川&遊佐仕事で1つの時代を築いた感がありましたね。ただ先ほども言いましたが、Ma*Toにしてはサウンド的には平凡。

◆Ma*To氏facebookより抜粋転載(敬称略)

Ma*To:
(「窓」のデモテープを聴きながら:Ma*To(藤井将登)氏facebookでご確認ください)編成会議でまず皆に聴かせたのは、このバージョンだったな。
まだAメロとBメロの要素がごっちゃになっててギュッと詰まってる(笑)河口湖スタジオでの本チャン録音までのプリプロでAメロとBメロは整理して形にしたとは思うけれど、大サビ部分は他の曲の録音作業をしてる最中にピアノ・ブースで書いた覚えがある。
何度も言うてますが、(デモテープの)曲名の「Aunt Remus」は、Zappa/George Dukeの「Uncle Remus」へのオマージュとして創ったからなのです。
この他に、「Aunt Remus 2」や「Cousin Remus」 なんて曲のデモ音源も同時に出て来ました(笑)
tpopsreryo:
貴重な音源ですね!ふんわりとしたシンセのストリングスが気持ち良いです。確かに最後はノリノリでゴスペルっぽくなっているのに笑ってしまいました。「要素がごっちゃになってギュッと詰まってる」という表現以外何者でもないですね。これがあの名曲に整理されるんですね・・・。
Ma*To:
確かに、ちょうどあの頃の自分を思い出す上で貴重な音源ですね!(笑)
近藤達郎:
「窓」のピアノは、Ma*Toに「ビル・エヴァンスみたいに弾いて」って言われて、「できるか!」って思って弾いた(笑)
でもそのディレクションはあらぬ方向に生きてる気がします。弾くたびに思い出します。
Ma*To:
勝手なこと云ってスミマセンでした(笑)でも、おかげ様で素敵な演奏を頂けた。
ところでダイちゃんと美潮のデュオの動画、あれは何かテレビの収録だったのかな?あのピアノが実に更に素晴らしく良かったです。アレ、特に好き!
近藤達郎:
あ、その時点では「窓」じゃなくて「Aunt Remus」。
で、そのあと、「工藤さんがお婆さんの話の詞を書いてる」と言われ、「お婆さんの歌」ということになってた。
Ma*To:
そうだったんだ~。
福岡智彦:
お婆さんの詞はやだー、とあーちゃんが初め文句言ってたけど、でも子供も出てくるからいいかっ、てことでご納得いただいた。
Ma*To:
(笑)なんだ、ソレ?
近藤達郎:
「窓」の弦アレンジはブンちゃんじゃないかな。ぼくがシンセ弦で弾いたフレーズが使われてたけどw
今クレジット見たら、録音とミックスで使ったスタジオ13ヶ所!すげー。大半はもうない…
Ma*To:
ダイちゃんのフレーズはどっちだったかな?ファ~から始まるやつ?
近藤達郎:
「おわりが〜ないことを〜」のあたりのと、エンディング直前のブルーノートっぽいフレーズ、と思います。
前者はライブでもほぼ必ずやるようにしてる。
Ma*To:
前者、効いてますね!ありがとう♡♡
ウ~ム、後者はどれのことだろう??
近藤達郎:
ファ〜 ラ♭ソファレファ〜 みたいなやつ。
Ma*To:
だね!!
対抗する勢力(笑)の「ドレラファ~」が俺だ。ELOの影響だと思う(笑)

10.「おかしな午後」

 作詞:小川美潮 作曲・編曲:板倉文

@tpopsreryo:
10曲目「おかしな午後」。1stアルバム収録のシングルのリメイク。それほど印象は変わってないのですが、やはり曲として歌い方としてもチャクラが残ってますね。Aメロの優しさ、Bメロの可愛さ、そしてサビのど根性。展開も申し分ないしさすがはシングル曲。終わりとしても良いでしょう。

@junnovi:
実はこの曲結構好きで、「♪一体全体ど~したの、おかしいな~」って良くため息代わりに歌ってみたりしてました。歌うとホントに気持ち良い。昼過ぎのお気楽で安穏な退屈な時間の1コマを描写するところ、女ってこんなもんなんかぁと思ってみたり。
そんなことを考えて歌って楽しむ感じ。ただ、音楽的な展開や広がりといった点については、何というものは特にないのだけれどね。あと、やっぱり「窓」という「大団円」wのあと、すたこらさっさと「ほな、さいなら」と早足で退場する感じも良いなぁとw

@tpopsreryo:
そうですね。このあっさり感がデザートとしてちょうどよいというか。サビのすっとこどっこいなコミカルな感じも結構好きですよ。ほんとに終わり方としては良いので、まあいろいろあったけど良い作品だよねって許しちゃうくらいで。というわけでまとめいきましょうか。


〜エンディング〜

@tpopsreryo:
というわけでこの「4 to 3」なんですが、テクニカルでストレンジながらもあくまでPOPSを目指した結果、名曲は数多く残しながらもいまだ試行錯誤は否めない不安定さも介在している、まだまだ可能性を秘めた作品であったと言えるのではないでしょうか。どうでしょう?

@junnovi:
そうやねセンセ。どこか未完・未醸成の雰囲気を残してて、期待感での幕開けに満ちた作品だったと思う。発売から10年間は、良く聴いたし歌ったアルバムだったけど、今回の振り返りでまた違った見方をするようになった。良かったと思うよ。応じてくれたセンセに感謝です。
このアルバムで残された課題は、『ウレシイノモト』を経て、等身大で自分の心底楽しめる音楽を見つけ、改めて『檸檬の月』で世に問うた気がしています。

@tpopsreryo:
名盤の誉れ高いこの作品ですけど、まだまだ成長の余地がある未完成感が漂う作品だったわけですね。しかしそのポテンシャルは「ほほえみ」や「窓」に反映されていると。こうして世の中に提示した新しい美潮流POPSスタイルを以降の2作で異なるアプローチで醸成していくと。
というようなまとめで良いですかね?

@junnovi:
そう。アリガトセンセw まとめはセンセが上手いよ。私はケチ付けて何ぼやからさw^^ 

@tpopsreryo:
とりあえず第一夜はこれにてお開きということで。ではまた明日「ウレシイノモト」でお会いしましょう。お疲れさま!

@junnovi:
ありがとうございました!

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