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「小川美潮」リマスター記念EPIC3部作アルバム全曲クロスレビュー(2):アルバム「ウレシイノモト」

 昨日から始まりました小川美潮EPIC3部作のレビューシリーズですが、名盤と言われる「4 to 3」に対して、余り煮え切らない感じのコメントになってしまったと思っています。個人的にはもともと「4 to 3」よりも後の2作品の方が出来が良いと思っていまして、しかしながら作品を出すたびにクオリティを上げて来るアーティストは信用できると言いますか、ただ単純に実力があるアーティストであるという証であると常々思っています。小川美潮はそんな信頼度抜群の魅力を持つアーティストであることには疑いがないということなので、こういった企画で取り上げているということなんですね。
 それでは本日はEPIC3部作の2作目「ウレシイノモト」のクロスレビューです。お楽しみ下さい。

【追記】
 本レビューをなんとMa*Toさんに読んでいただき、Ma*Toさん作曲の楽曲を中心にfacebook上で解説していただきましたので、抜粋して補足として一部抜粋して転載いたします(近藤達郎さんも一部登場!)。

◆「ウレシイノモト」(1992)

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〜オープニング〜

@tpopsreryo:
昨日より始めております小川美潮EPIC3部作全曲レビュー。本日は第2夜ということで「ウレシイノモト」レビューとなります。junnoviさんと上記作品を肴に駄々しゃべりするだけの企画ですが、本日もよろしくお願いします。

@junnovi:
申し訳ございません、センセ。って謝っておきながら今晩も感情最優先で共感の得難いコメントを多発することを目指しますw ヨロシクです。

@tpopsreryo:
さて、前回の「4 to 3」は名曲を数多く残しながらも試行錯誤が故の不安定さも露呈していると共にその後の可能性に期待できる、といったようなまとめ方をしてしまいましたが、その翌年リリースの「ウレシイノモト」、ちょっと雰囲気を変えてきましたよね。

@junnovi:
チョットどころかガラッと趣向を変えてきたと言っても良いくらいじゃないかと思います。私は長年、『檸檬の月』→『4to3』→なし。という序列でしたが、今回の振り返りでそれが大きく覆されました。楽しいね~。

@tpopsreryo:
なぜ「ウレシイノモト」が長年無視された状態だったのかw ワタシは当時からこの作品大好きでして、少なくとも「4 to 3」よりは随分と良い方向に転換したなあと思ったものでした。

@junnovi:
そうやねん完全に無視w それやからアカンねん、私。と心にもない反省をしてみましたが、でも後悔してます。小川美潮のソロは、この世界とはどこか隔絶した感のある別の広がりを持った所での話というイメージが強くあって、それに「ウレシイノモト」はそぐわなかったんよ。

@tpopsreryo:
なるほど。どちらかというとファンタジックな世界観だったもんね。そう考えるとこの「ウレシイノモト」は日常の営みに近づいた感がありますね。サウンドも心無しか肉感的な印象もありますし。

@junnovi:
そうそう。この「ウレシイノモト」のキーワードは間違いなく「肉感的」と「躍動感」やと思う。それを楽しむことこそ、このアルバムの核やと思う。

@tpopsreryo:
「躍動感」言われてしまったw ちょっともったいぶろうと思ってたのに。もうこれをまとめとして良いくらい「躍動感」という言葉が本作を如実に表現していると思いますね。

@junnovi:
おっと。すいませんw 動きのないポップスは面白くないと思うから、躍動感とか肉感的というのは、褒め言葉やんね。

@tpopsreryo:
まずなんといっても板倉文が1曲を除いて参加していないこと。そして代わりのギタリストに成田忍が起用されたこと、そしてベースがMECKENに代わりカシオペアの鳴瀬喜博が起用されたこと、この弦楽器陣の交代が当時は意外だったんですね。

@junnovi:
なるちょだもんね~。意外やん。ブンちゃんがあってのEPIC企画だと思うくらいでもあった私。そういう人、結構たくさんおるんちゃうかなぁ。今以ってしても、そういう面はとても大きいと思うし。

@tpopsreryo:
そうなんですよ。板倉文とMECKENなんて小川美潮ワークスにとって鉄板と言ってもよいほど貢献している2人だから、そこをガラリと変えてくるということは、そりゃあ印象は違ってきて当たり前。そのあたりは共同プロデュースに近藤達郎と青山純が加わったことに起因してるかも。

@junnovi:
今回の振り返りで、近藤達郎っていう人の貢献の仕方をとても注目してる。2013年のQujila「二人のラジオを鳴らそうよ」でも相当な貢献をしている同氏を思ってのことなんですけどね。そしてそこに青山純やもんね。これは全く方向性が変わってくるはずやわ。

@tpopsreryo:
成田忍を引っ張ってきたのは近藤達郎じゃないかなあ。80年代3部作時代の土屋昌巳バンドで一緒だったし。ナルチョはそっち方面にも人脈がある青山純の手引きだったかな、と予想してみたり。どちらもクセのあるプレイヤーだから、影響ありまくりですよ。

@junnovi:
なるほどそうなんやね。それにしても青山純、本当に・・・。リズム隊という言葉が意味することを、ここまで音楽を通じて違いを判らせてくれるって、やっぱり音楽って面白いよなぁって思う。実験的なアプローチもあったみたいだけど、不安定な部分は感じられないよね。

@tpopsreryo:
まあそれはやはりナルチョはMECKENともタイプが違うし、さすがにボトムがしっかりしているのでその安心感というのがあるかもしれないですね。やはりリズム隊の力は楽曲を安定させるので。さあ、そろそろ各曲レビューにまいりましょうか。


1.「ウレシイの素」

 作詞:小川美潮 作曲・編曲:Ma*To

@tpopsreryo:
それでは各曲レビュー1曲目「ウレシイの素」。いきなりのタイトルチューンにしてMa*To曲。前作は名バラード「窓」を書いた彼ですが、今回は軽快なリズムにコラージュを散りばめたキュートなポップソングに仕立て上げました。この曲はなんといっても青山純のドラミングに尽きます。

@junnovi:
オープニングの突然なストリングス系の下降音は、何かの冷却を思わせるんだけど、始まると陽気に弾むようなPOPS全開。そこへ誘導する青山純のドラム。Aメロから小川美潮と一緒に歌いたくなるほどに、カラフルで楽しい旋律が始まる。ホントに一気に引き込むよね。

@tpopsreryo:
あのフィルインのつんのめった感じが素晴らしい。このプレイは彼の仕事の中でも個人的にはベストに近いと思っています。この曲だけベースは松永孝義なんだよね。彼も亡くなったのよね・・。ハイライトはやはりアウトロのパート入れ替わり立ち替わりのフレーズコラージュ。

@junnovi:
中間奏が2回もあるけど、1回目の導入部分でのストリングスの使い方。そこでも下降音を持ってくるというアイデア! そして2回目では、良く分からない素性不明な音がモゾモゾ出てきてて、不思議で愉快な雰囲気を作り出していて、音楽を作る際の心の余裕を感じずにいられない。そしてセンセも書いている通り、エンディングでの力んでないのに、どこか前へ前へと進むような「躍動感」がやっぱり聴いていて楽しいのです。

@tpopsreryo:
あと、実にCパートのメロディがいいですよね。「どうしても会いたくて、眠れない夜は〜♪」の部分。特に「眠れない」のフレーズで一気に引き込まれていく感じです。この切ない感じが楽曲をピリッと締めている。サウンドギミックだけでなくしっかりメロディも書けているんですよね。

@junnovi:
おっとセンセ。この曲については、本当にたくさんの指摘箇所がありますね!こういう自然ながらもちゃんとした曲を持ってくると、気持ち良く聴き進むことが出来るよね~。ってなんで私、ずっと避けてきたんだろ。。
歌唱法も心底リラックスしていて、のびのびとしているのが嬉しい。
中間奏の後の、「ンフ!」と歌いながら笑っているのが何ともユニークで「4 to 3」にはない可笑しさと動きの良さも、1曲目から気負ってはいないけどシッカリ違いを見せつけてくる上手いやり方。

@tpopsreryo:
「わ!わ!さっきから、ループ♪」のギミックなんかもものすごく自然にリズムがキープされているので違和感が全く感じられない。Ma*Toはこういうコラージュモノを得意としているみたいなんですが、奇をてらってない自然な遊び心がそこにあるから、この楽曲は名曲なんですよね。

@junnovi:
趣向を凝らしているのに全く無理を感じさせない所も素晴らしく、リズム隊のどこか上を向いて演奏している感じも、たまらなくハッピーなのです。
松永氏。この方も・・・。今も、今晩も、杉林恭雄が歌を歌っていることが、私としては嬉しい。過去の歌ではなく、今の歌を歌っていることが。とくに昨年の新譜での近藤達郎の参加は、私にはとてもよく耳になじむのでした。OMF(SONYオーダーメイドファクトリー)のQujilaの「たまご」早く復刻しないかなぁ。(注:後日Qujilaオリジナルアルバム怒涛のリマスター再発により復刻)

@tpopsreryo:
おっと、ではQujilaの「たまご」という単語が出てきたところで次の曲にいってみましょうかw

@junnovi:
ゲラゲラw

◆Ma*To氏facebookより抜粋転載(敬称略)

Ma*To:
(「ウレシイの素」のデモテープを聴きながら:Ma*To(藤井将登)氏facebookでご確認ください)Aメロ、Bメロしかありませんな。
例に依って何にも考えずに創った、あまりにも単調なバカ曲(編成会議で美潮に聴かせたら、「マットってホントになんにも考えてないのね!」って云われた程!)なもんですから、やっぱりCメロ入れて場面転換を図るくらいは、レコードとする以上の必然・必要だったんですね~(笑)
小川美潮:
いや、言ってない。(笑)
Ma*To:
(心の中で)思ったことが、そのまま大きな声で出ちゃっただけだろ(笑)
小川美潮:
カハハハw んでそのまま歌の歌詞まで持ってったんだナww
近藤達郎:
それでタイトルチューンになるんだからたいしたもんだ。
Ma*To:
政治と経済のことは、よくワカリマセ~ン!(笑)
イントロ/エンディングのフレーズは最初から在ったのね。てか、そこが鼻歌の始まりだったんだろう。
本チャンでは、Oberheim M1000にて更にバカっぽい音色を創った!
出だしのストリングス上昇・下降音はEμのProteus2。
Oberheim M1000と共に、他の機種では再現不可能な音色!
しかしM1000は、もう今のPCで動くエディターが無い(T_T)
tpopsreryo:
あれはMatrix1000なんですね!確かユニークな1000音色がプリセットされている音源ですよね。確かにエディターが気になります。バカっぽい音色って!大好きな音ですよ。
Ma*To:
Oberheim Matrix6は持ってなかったもんだから、何かしらEditorが必要だったのね。
その頃MIDIシーケンスはPC98上でQUWATEK のTool de Musicというソフトを愛用してたんだけど、同時にMacも同期させてDigital Performerを走らせてConsole機能でエディターを自作して使ってたのを覚えてる。
録ったリズム・トラックなんかの2MixはSMPTEと一緒にPerformerかAKAIのHDレコーダーかに移しといて、他の人が作業している間のコントロール・ルームで独りそれをヘッドフォンで聴きながら上モノのダビングを用意する、ってのが常套手段だったナ。
SamplerはAkaiのS1100がお気に入りだった。個人的に録り貯めたサンプル・ライブラリーがフロッピー300枚以上+一枚40MbのカセットHDストレージで10枚以上と大量に有ったけれど、もう今更それらをDAW上にコンバートして持ってくる気力は無い(T_T)
tpopsreryo:
あのざらついたストリングスのE-muは納得です。M1000と共に時代のサウンドという印象ですね。目から鱗が落ちまくりです。
近藤達郎:
M1000真似して買った。
Ma*To:
エディターどうしてるの?あ、流石にもう使ってないか(笑)
近藤達郎:
今持ってるハードウェアシンセは、Korg Monotron Duoだけ…(笑)
Ma*To:
「窓」同様、ダイちゃん(近藤達郎)が素敵なストリングス・パートを書いてくれてネコカル(斉藤ネコカルテット)で録った。
本当はゴージャスに全編に在ったんだけど、贅沢にもそれをミュート・ボタンでズタズタに切り裂かせてもらった。
結果的に、やはり控えめに入ってるダイちゃんのクラリネットと相まってオシャレになったと思う。
ハーモニカのソロもダイちゃん。
エンディングのコラージュは、ダイちゃんのハーモニカやオルガン、ネコのヴァイオリン、文ちゃんのギター、ホアチョのパーカッション、青ちゃんのドラムなどなど、皆に「思いっきり派手に」と指定してそれぞれにタップリ暴れてもらい、それ等のトラックの on/off をまたミュート・ボタンで演奏させてもらった。
こういう作業は、今どきの波形の切り貼りやオートメーションを書き込むやりかたより、もっとフィジカルな「演奏」として一発でやることに意義があると固く信じてる(笑) てか、そのほうが楽しいし、勢いが絶対に違う。結局は、なんでも最初のテイクがやっぱりイチバン良くって、やり直せばやり直すほどコナレてはくるけど面白くなくなってくるのと同じ。
tpopsreryo:
まさかの人力ボタン演奏!切り貼りじゃないんですね!これは参りました。でもなんだかマットさんらしい・・・w
Ma*To:
私の敬愛する故ホルガー・シューカイが、デジタル時代になってもまだテープの切り貼りで作業していることに対し何故だと訊かれ、「(今まで)しちめんどくさい作業でやれてきたことを、どうして簡易な方法に置き換えにゃならんのだ?!」と訳わからない逆ギレしてたのを思い出しますw
tpopsreryo:
ホルガー・シューカイめちゃくちゃ面白いですねw
再度本チャンを聴き直しているのですが、コラージュがあんなに自然に流れていくのに、人力なんですね。実際のミュートボタン演奏を見てみたかったです。ものすごいことになっていたのでは・・w
Ma*To:
考えすぎたらキリがないし鮮度は落ちるし、「勢い」が全てですね!(笑)文ちゃんが油絵の具を重ねるように音を重ねて「音の壁」を造っていく手法が得意だったのに対して、逆に俺は同時に鳴っている音色数が少なくてむしろ隙間があるのが好きなんです。
その代り、いろんな音が重ならずに次々現れる…これは後に出てくる「Chat Show」で更に顕著になって来る訳なんですが、これ、実は演歌のアレンジ手法が基になっているという(笑)。私のサウンド・コラージュの基本なんです。
tpopsreryo:
勢いでミュートボタンを操るマットさんを想像すると、達人としか思えません。
実は私も音の「隙間」が好きなのです。「隙間」がノリを作っているのではないかと常々思っていますし、その手法に旨味が感じられるタイプの人間ですので嬉しいです。演歌のアレンジ手法!死角を突かれまくって瀕死の状態ですw
Ma*To:
Cメロ後のブリッジ部分、「ザッ、ザッ、ザッ、ザッ」と切り進んでくるところのストリングスだけは指定させてもらった。
この曲、実は本チャンでは俺は全くキーボード弾いてなくって、唯一自分で弾いたのは、そこから解決するピアノのコード4分音符2発だけ(笑)
何を言ってるのかよくわからない謎の声サンプルは、Killing Timeの「Bob~Skip」時に録った、ホアチョや清水クン(清水一登)の声。アムステルダムのFM海賊放送から録ったDJの声とかも入ってる。
Aメロ3番に戻る「ワッ・ワッ」の一拍増やしは、トラックダウン中にテープをいったん止め、少し戻してその続きをやり直してもらった2つのマスターテープを切り繋いだ。
トラックダウン中に更に作業を増やすのはKilling Timeではべつに異例なことではなく、調子こいてトラックダウン中に新たなover dubbing録音が始まってしまったりもよくしたもんだ。
トラックダウン中ではなかったけれど、セーノでリズムを録ったあとに誰かがちょっとやり直しを独りで始めると、俺も俺もと皆が言い出し、終いには青山さんまでが(爆)
そんなのは異例どころか禁じ手なんだが、僕らはそれを「トラック・アップ」と呼んでた。福ちゃん(福岡智彦)、ごめんなさい(笑)

2.「きもちのたまご」

 作詞:工藤順子 作曲:楠均 編曲:近藤達郎

@tpopsreryo:
2曲目「きもちのたまご」。まさかのQujilaのドラマー楠均作曲。今回のリマスターでやけにベースが目立つなあ。スゴく低音が効いているw エフェクティブな成田ギター、Bメロの吸い込まれるようなフェイザーがかったシンセパッドが気持ちよいです。地味ながら味わい深い曲と再認識しました。

@junnovi:
そ。ここでQujilaの楠均ですw 前曲の世界を受け継いで、幾分フラットながらここでもリラックスしたPOPSが展開。Aメロからシューシューと右へ左へ鳴り続けているところや、ギターの緩いペロンペロンやキュルーンとかいう音が気になって仕方ない。

@tpopsreryo:
間奏は小川美潮楽曲らしい不安感を煽る微妙なコード進行ですよねw でもこの楽曲はギターやベースのプレイが少しストレンジなので、これは結構本作の中ではファンタジックな位置づけの楽曲かなあと思うのです。

@junnovi:
1番から2番に入る所までに、中間奏があって、メロディーのどこか頼りなさげなところを、ここでも「躍動感」をつけて動きを上手く色づけしている。それがまたとても効果的。動きの中に不思議なコーラスが絡んで、一緒になって駆け巡る。
そしてさらに不思議な旋律のギターまで登場して。どこかカノンと言うか、フーガのように、それぞれのフレーズが追いかけ合っている。終わり方も、プリンスとか(岡村)靖幸みたいに、冗長で規模をムダに広げることもせず、すんなり終わる所も好感度高しです。

@tpopsreryo:
なんにせよどちらかといえばシンプルな楽曲だからこそ変態的なギターフレーズが目立っていて、成田好きなワタシにとっては美味しい楽曲とも言えます。あと、さりげなくプリンスと靖幸をディスるその姿勢、いいですよw ではサクッと次の曲いきましょう。


3.「LINK」

 作詞:小川美潮 作曲・編曲:近藤達郎

@tpopsreryo:
3曲目「LINK」。近藤達郎楽曲。また風通しのいい曲を持ってきましたね。サビのギターがロックだなあ。こういう音は板倉文では出さない音だと思いますね。サビのあとの駆け上がるフレーズからのダーンッ!のタイミングが好きですねえ。

@junnovi:
始まりのシンセの複雑な和音が、1つの蕾の様で、それが一気に花開くようで、分かりやすいのかも知れないけど、こういう広げ方、私本当に好きです。まさに近藤達郎の仕事っていうことになるのでしょうか、センセ?
Aメロはのっけから高気圧ど真ん中にいるようで、前曲までのとはまた違ったタイプの自由さがある。その間、ずっと後ろで大人し目になり続けているギターが印象的。そしてBメロでますます宙に舞う感じで、音数も少なく、敢えて沢山の隙間を作ってる気がする。
サビは上へ下への往復運動ばかりなのだけど、それを小川美潮はしっかりと歌い上げ、バックもしっかりと常套的なスタイルであるけれどもしっかりと盛り上げて、本当に良い曲だなぁと思わずにいられない。随所にコーラスや和音を効果的にあてがい、軽やかながらゴージャス感もある。メロディラインも十分POPなんだけど、それ以上にシンセの音色に気を取られて、そのフレーズばかりを追いかけてしまう私。
あとベースのフレーズも肉感的で楽しいね~。ムズムズムズムズ・プウゥ〜ンッてやつw あと歌詞にもあるけど「血の通った」っての、まさにこのアルバムのこういうプレイにこそ当てはまる話やね。素晴らしいわ。

@tpopsreryo:
あのベースの「ブゥウ〜ン♪」はもうナルチョノリノリって感じですよねw こういうノリは陽気な性格がにじみ出ていて好きなんですよ。近藤達郎はプロデュースに関わっていることもあって、彼の楽曲は本作の「躍動感」をしっかり表現し切っていると思いますね。
いかにも金属系といったシンセリフですが、サウンド面からすると結構地味に感じてしまうのです。メロディもなんかベタだよなあとも思ってしまうのですが、それを巧みに空間を操ったり少ない音色を逆手に取って隙間で勝負できるところが近藤達郎のサウンドセンスなのでしょう。

@junnovi:
ありゃセンセはイマイチみたいやね~。私は結構好きなんですよ、この曲。確かにありきたりなメロディラインなんだけどさ。

@tpopsreryo:
いや嫌いじゃないですよw 正直言うと近藤楽曲の中では「MARBLE」が好きなんですよ。それはまた後ほどw では次の曲いきましょう。

@junnovi:
そ、それはセンセw!ってコメント返したいけど、私も後に取っとくw それにしてもホントレベル高いこのアルバム。曲の個性が強くても、どこか上手く繋がっていて、違和感がない。「4 to 3」の名刺代わりみたく「こんなこともできます私」ってのがないんだもんwww


4.「恋」

 作詞:工藤順子 作曲:小川美潮 編曲:近藤達郎

@tpopsreryo:
4曲目「恋」。スケール感たっぷりのバラード。虫の声などアンビエント感が素晴らしい。そしてオリエンタルなフレーズに神々しさを兼ね備えた小川美潮の「歌い手としての強さ」をこれでもかと感じさせる歌唱。ゆったりと刻むパーカッションの土着的リズム&シンセストリングスの響き・・質高いです。

@junnovi:
『檸檬の月』の「BLUE」よりも遥かに海や潮の香りを思わせる和風な曲調でしっとりしてしまう。とはいえ曲全体や、特にサビの部分で本領を発揮する南の島の音楽のようなリズム感が見事で、静かながら確かな躍動感がある。本当に良い曲です。

@tpopsreryo:
リリース時期が4月だったように記憶してるのですが、この曲の来る夏に対する期待感の煽り方は凄まじいものがありましたね。特に当時の学生には夏合宿っていうのがありましてね。海へ行った時にこれを聴いたりなんかすると、そりゃあ引き込まれますよ。物凄い包容力。

@junnovi:
嗚呼!そうだろうね!! そういうことって、沢山あると本当に豊かな気持ちになるし、思い出すだけでも追体験できる。私はそういう夏への季節の道すがらに思うのは、高校生の頃からずっと大江千里の「夏渡し」と「塩屋」っていう曲です。

センセみたいな素晴らしい思い出はないけど、『檸檬の月』の「BLUE」よりも遥かに海や潮の香りを思わせる和風な曲調でしっとりしてしまう。とはいえ曲全体や、特にサビの部分で本領を発揮する南の島の音楽のようなリズム感が見事で、静かながらも確かな躍動感がある。
Aメロの繰り返した後に1拍ばかり空白が入ってる所に、またしても余裕のある姿が垣間見れる。稀有で美しく心奪われてしまう。リズム隊の存在感や力強さが屹立としており、凛として素晴らしい。センセの言うとおり中間奏の虫の鳴き声や小鳥のさえずりが聞こえ、森羅万象を捉えて、小川美潮が己がさがを曝け出すかのようなボーカリゼーション。Aメロの小さく回るこぶし、サビに最高音が2回登場するけれど、2回目の力の抜き方が神々しいほど。 私は「窓」よりも、この独特で決然としたこの曲の方が好きやなぁ・・・。

@tpopsreryo:
まあ素晴らしい思い出ではないんですがw ワタシとしてはのっけからのシンセストリングスの滲み方が良くて、あれだけでも余り聴かないバラードでもしっかり聴くことができるというか。小川美潮はこうしたサウンドの向こうのアンビエント感を非常に大事にしているんですよね。

◆Ma*To氏facebookより抜粋転載(敬称略)

Ma*To:
「恋」のストリングスもKorg PS3100じゃない?
近藤達郎:
「恋」は、確かヤマハSY77だったような。サンプルを使ったストリングス音だったと思います。ベース、真ん中、トップと3パートくらいに分けて、音色もちょっとずつ変えて。
Ma*To:
さすが細かいね!
近藤達郎:
Aメロは真ん中だけでいいんだけど、サビでテンションがバッと上がるからね。レンジも広げないと。
Ma*To:
あのシンセストリングス・パートは、ホント素敵!
ちなみに「恋」に沢山入れたSEも後からのダビングや切り貼りじゃなくて、リズム・ベーシックを録るときにセーノで一緒にサンプラーを演奏してる。
近藤達郎:
ありがとうございます。SEもよ。って誉め合ってどうするww

5.「MARBLE」

 作詞:井上妙 作曲・編曲:近藤達郎

@tpopsreryo:
5曲目「MARBLE」。近藤達郎楽曲その2。いきなりの跳ねるベースから始まるトリッキーな楽曲。不思議なメロ&複雑なAパートから躍動感のあるサビ→大サビへの流れが秀逸。AとBの語尾と語頭を合わせた絶妙の切り替わり方など小技も効いています。楽しくて仕方がないといった印象の名曲ですね。

@junnovi:
ホントに。とてもスリリングな音とリズムの刻み方であるうえに、独特なベースラインが絡んできて、タイトで緊張感のあるシンセサウンドまで登場して、何とも魅力的な1曲。1番のサビのあとに現れるコーラスワークと、そのあとに控えるピアノのコードワークが美しくて、幾重にも重なったクリスタルをバリーン!と鮮やかに割るような鋭さがあって好きやなぁ。そしてベースが同じ音程でステップを踏むようにリズミカルに迫り来るあたりも肉感的で、動きに満ちたこのアルバムの最大の盛り上がりで登り斜面の一役をになってる。

@tpopsreryo:
2回目の大サビ「最初の最後〜♪」でメロディを変えてくるところなんか盛り上がりますよね。そこから着地点がふらふらしていたメロディがサビに戻って勢いのまま疾走していっていつのまにか曲がまとまっている。最後うっすらアルペジオが響いていて宇宙まで飛んでいった感が楽しいw

@junnovi:
そうそう。もうねアイデアの宝庫と言わんばかりに色んなひらめきを惜しげもなく投入してるよね。そこの音、上げるか?みたいな。センセの言う「♪最初の最後~」の前の所ではピアノの音が和音なのに、分散和音みたいにしてて、何かがハラハラと宙を舞っている感じも好き。

@tpopsreryo:
本作中でも一筋縄ではいかない感ではNo.1ではないかと思います。ラストの宇宙を感じさせるアルペジオなんかも曲の始まりからは想像してなかった展開で、プログレっぽい技の効いた地味系の楽曲と思っていたら、最後は全速力で駆け抜けて飛んでいったという・・w 次いきまーす。

@junnovi:
そうそう、どっかに炭酸ジュースみたいに飛んでっちゃったw スプライト感たっぷり! バリン!ガシャーン!キラキラ。前のめりで挑戦的でスリリング。他の2作品では見られない名曲やね。


6.「走れ自転車」

 作詞:小川美潮 作曲・編曲:板倉文

@tpopsreryo:
6曲目「走れ自転車」。映画「老人Z」主題歌。のアルバムバージョンです。前年のシングルカット曲なので、名残のため板倉文楽曲です。しかしこれが跳ねるリズムがフィーチャーされたファンキーPOPS。ねちっこいシンセフレーズはBANANAですね。ここでも青山純が豪快に叩きまくりです。

@junnovi:
この曲はセンセが書いている通り、ブンちゃんの置き土産みたいな作品になるのだろうけど、それで片づけられないほどに物凄くリッチでファンキーな作品やんね。このアルバムに収録されても何の違和感もない。のっけから尋常じゃないフレーズの目白押しじゃないか!w
そしてそこに意地悪~い音で登場するシンセ、こういういやらし~いのって中々簡単そうで難しいよね。そしてそんなところに複雑に絡んで現れるリズムパターン。本当にここでも青山純の潔いまでのドラミングが!もう!バフン!!
ティン・シンバルが、とんでもない所に2回入れてくるんだけど、そのあたりの発想の豊かさ。自転車のリンリンベルを連想させる独特なパターンやね。そこにゴトゴト・グングンねじ込んでくる力強いベース。すんごく賑やかで楽しくてなりませんわ。
シーケンスもやっぱり入ってるし、えらいことになってますw でAメロはユニゾン。サビのシンセの入り方も小気味良いしさ^^。中間奏で入ってくるギターが控えめで、ギター然としていなくて本当に色々と考えて工夫してて、成功してるなって感心しきりな曲です。

@tpopsreryo:
まさにそれ。ティンシンバルは自転車のベルやね。シングルだし映画主題歌だしで気合い入った結果めちゃくちゃ躍動感ついちゃった。あ、やべーってことで後半はやっぱこういう音楽性なんよ・・って感じでゆったりコーラスで癒される方向へ、という流れなんですかねw
そう、あの全編にわたるシンセベースは地味ながら良い味を出してます。サビの駆け下りるようなレゾナンスの効いた音色の気持ちよさはシンセならでは。そして後半はやっぱり我慢できずに板倉不思議ワールドを小川コーラス添えでお楽しみ下さいってところでしょうか。

@junnovi:
そっか。私はてっきり広い景色の中を、自転車が遠方に少しずつ走り去っていく様を表現してるんだって思ったw これはブンブンの不思議ワールドなんやね。いや~ええ曲やねぇ。

@tpopsreryo:
いや、その解釈でよかったと思うよ。でも後半はやっぱり板倉の手グセだと思うけどねw

◆Ma*To氏facebookより抜粋転載(敬称略)

Ma*To:
「走れ自転車(アルバム・バージョン)」の時も、リズムトラックを録ったあとに俺がシンセベースの音色を少しエディットして もいちど弾き直したいと云ったら、青ちゃんが「それなら俺も一緒に演る!」と言ってくれて、あのテイクになった。
tpopsreryo:
青山さんとのほっこりするエピソードですね。ちょっとジーンとしちゃいました。
Ma*To:
過去、唯一の私主導のバンド「Kidding Time」(当然ドラムは青ちゃん!)で一度だけ演ったライブが思うようにうまく出来なくて、クサってたことがあったのね。
そのとき「必ずまたリベンジしようね!」って青ちゃんが云ってくれたのに、ついに果たせなかった…。
もうこの世に居ない人に対して冷たい私なんですが、なにかの拍子に青山さんの音を聴くたびに、「ああ、もう二度とこの人と一緒に演れることは無いのだなあ」って思って無念さが募るのです。


〜インタールード〜

@tpopsreryo:
ここで簡単なおさらいですけど、なんというかまあ捨て曲がないですよねこのアルバム。ここまで高レベルでまとまっている作品も余りないと思いますが。

@junnovi:
そやね。ブンブンあっての小川美潮EPIC作品という定義にとらわれずに、本人達は結構趣向を凝らして楽しんでいたという感じです。また、それが作品にも投影されていて、実験的なレベルではなく十二分に聴き手を楽しませるだけの内容に仕上げてるのです。スゴイ!

@tpopsreryo:
しかも成田忍と鳴瀬喜博の参加によって妙なグルーヴというか躍動感が加わって、より静と動の緩急が鮮明になっているという印象を受けました。タイトルの「ウレシイノモト」というのが本当にハマっていて、「楽しい」という感覚を聴き手に伝達できている、確かに素晴らしい作品です。

@junnovi:
どういう土台を持ってきても、小川美潮自身が全くぶれずに自身の歌を歌いきっているのも潔くって好感が持てるよね。そして今日も多分何度となく出てくる青山純の切って切って切りまくるドラミングも胸のすく思いがして、欠くことのできない要素やね。

@tpopsreryo:
まあそこが小川美潮のヴォーカリストとしての力量なんでしょう。なんといってもデビュー当時よりチャクラで板倉文の変な曲に鍛えられてますからw それでは各曲レビューに戻りますよ。


7.「Charming」

 作詞:井上妙 作曲・編曲:成田忍

@tpopsreryo:
それでは各曲レビューに戻ります。7曲目「Charming」。成田忍曲ですね。これはなんというか遊佐未森1stな匂いがしますね。派手にブラスセクションを使っていてメロディも明るくキュートなんだけど、しっかりサビが切ないんですよね。でもサビの最後であの音階が不安感を煽るw

@junnovi:
元々行進曲のリズムって好きじゃないから、ラッパ隊を従えたOPでどうなるのかなと思ったら、良質なPOPSでした。Aメロの音型はピアノの練習曲みたいで指馴らしの音階練習っぽく聞こえてしまう。かくパートも特別ややこしいフレーズはないけれど、サビが始まれば、伸びやかな旋律と歌唱で楽しませてくれる。あと曲の初めからベースが堂々とハーモニックスを多用してて引き込まれる。あとセンセの言う不協和音は判るわ~。でももう慣れちゃったから何とも思わない私・・・。とにかくこのアルバムは楽しさがなにより強く感じるのだけど、この曲もまさにその好例。

@tpopsreryo:
あのサビラストの音階ですが、成田忍ってポップな曲を書けるのになんか唐辛子をぶっかけるマネをしちゃうんですよ。どうも素直にいかないというか、URBAN DANCEとかでもそうだったんですが、結構無理矢理感のある構成にしてみたり。あと最後のドラムソロ結構すごいねw

@junnovi:
あぁホンマに。不穏な雲行きは改めて意識すると確かにそう思う。私は鈍感なのか、違和感なかった。そういう手法の曲(次も?)が多い気もするし。青山純の乱れ打ちは、それ受けて次の曲のOPに繋げて行くという構成なんやろか・・・?

@tpopsreryo:
乱れ打ちの中にリズムをキープしたりするマメさも気に入ってますw まあ次の曲もポイントは◯◯◯なんですけどねw では次いきましょうか。


8.「PICNIC」

 作詞:工藤順子 作曲・編曲:BAnaNA-UG

@tpopsreryo:
8曲目「PICNIC」。作曲BAnaNA-UG。この終始不安定なメロディ、というかコード感覚w これは本当にBANANAらしいトリッキーな作風でして、ほのぼのとしたタイトルとは裏腹にミステリアスな雰囲気に誘われます。まあ歌詞もそんなんだけど。始めから終わりまでフワフワ漂う感じ。

@junnovi:
中々シュールで凝ったアレンジ。ベースが良いのはもちろん、ドラムスとギターが。両者とも決して目立とうというスタイルではないのに、深くてポップで確かな味付けをしてくれてる。ここでもやっぱり動的さが楽しいし、前曲の方向性を受け継いで展開させてるのが、曲同士の有機的な繋がりを感じて、楽しさがさらに増す。あと、センセも書いてるシンセ。シンセが随所で登場するけど、みんな音色が違っていて多様な個性が垣間見える。ただ、後半はサビの短いパターンの繰り返しが多くて、食傷気味になる。

@tpopsreryo:
まあ凝ったアレンジというのはBANANA編曲は大体あんなんだからね。まだ大人しい方なんだけど、間奏ではお得意のボイス変調が楽しめます。渋いギタープレイもそうなんですが、この曲もやっぱりドラム。どこかのインタビューで小川自身が「エロいドラム」って言ってたアレ。
後半のサビの繰り返しもモゾモゾグチュグチュしたシンセと色っぽいドラムパターンで個人的には飽きないんですよ。特にポイントはバスドラ。心臓に響くっていうか、ほら女性からすれば子宮に響くっていうアレですわw ほんと青山純って罪だなあって思った次第で。

@junnovi:
なるほど~。センセの言う指摘箇所は殆どがスルーやったw で、改めて聴いてみてたけど、余りピンと来ぃひんなぁ~。まぁ、聴き込みが足りんのやろうね。

@tpopsreryo:
まあそこは個人的な電子音脳なところもあるから、人それぞれだねw 次いきますよ〜。


9.「ひとりごと」

 作詞:小川美潮 作曲:近藤達郎・小川美潮 編曲:近藤達郎

@tpopsreryo:
9曲目「ひとりごと」。近藤&小川の共作。ミステリアスワールドから帰って来てほんわかひだまり、と思いきや後半の畳みかけるドラムからの盛り上げ方が良いですね。相変わらずの広がりのある近藤アレンジで、サビの単純なメロディを飽きさせないようにコーラスと細かいパーカッションがフォロー。

@junnovi:
独り言を呟いているところにフォーカスを当ててる。そのこと自体が面白い。本当に独り言なのだもの。Bメロへの繋ぎや1番から2番への繋ぎに注目してしまう。サビが1つ終わったら急にスピードが増して、またしても「動き出す」。このセッションの展開こそこのアルバムの面白さやろなぁと。そしてもう1回Bメロが入ったなと思ったら、たった1つの音(コード?)だけで、見事に転調する。スゴイ! そして終盤には全てのわだかまりを開放してどーんと自分を押し出している。良い良い。

@tpopsreryo:
そう、独り言みたいな歌詞。というか独り言なんだけど、最後に「でたらめの自分を見よう」で締めているんだよね。スゴい歌詞持ってくるなあって思いましたね。なかなかでたらめの自分って言えないし。それにしても小川楽曲は展開に動きがあって面白い。転調も含めてドラマチック。

@junnovi:
曲の締めくくりに登場するインド亜大陸なハーモニウムのギィーンという音と、タブラでポコポコ。何でもありのごった煮状態やね~w あと曲の前半から、やっぱりベースが良い音出してるなぁって思うんよ。

@tpopsreryo:
あのあたりはMa*To仕事なんだろうけどねw ベースはね、本作ではもう全編にわたって前作までになかった何かを表現している。そりゃMECKENからナルチョだからね、印象も変わるし、またそれだけで楽曲の印象も変わる、というかある種のライブ感が出ているんですよね。

@junnovi:
そうなんやろね。チョット中心となる音楽ジャンルに違いがあったりで、なるちょの演奏をここまで聴くのはなかったんだけど、、、良いもんやね。

@tpopsreryo:
これでカシオペア聴こうか〜って気にならないのがいいんですよね。小川ワールドにちょっと異分子が入ってるという感じが良いわけで。というわけで次へいきます。

@junnovi:
そうそう。昔その方面の音楽が好きな友達がいてね、話が余り分からなかった。その方面は、伊東たけしがリリコン吹いてた時しか興味ないの。AKAIのウィンドMIDIになって力強さが増したに反比例して興味減退した私・・・。私にとってリリコンって何だったのだろw


10.「人と星の間」

 作詞:小川美潮 作曲:小川美潮・青山純 編曲:近藤達郎

@tpopsreryo:
10曲目「人と星の間」。なんと小川と青山純の共作。「ひとりごと」が内省的であったのに比べて、これまた壮大なコスモ空間。物凄いドラムの残響音w あと全体を包むキーンッていうシンセの音空間もさすが近藤達郎という感じの風通しの良さで。本作全体にも言えるのですが、力強さを感じます。

@junnovi:
センセの指摘通りで、前曲との対極をなす感じ。前曲のワールドミュージック的な終わり方を引き継いで、本丸登場みたいにも解釈できるよね。なんしか土着的な響きの強い太鼓によって大地のリズムが刻まれ、スケール感のある曲になってる。ドーンとしてる。
この曲でもやっぱり小川美潮は小川美潮で、マイペース&マイワールドを貫いてますw 最後の最後まで。ピアノは和音中心の演奏で、それだけでも結構私の耳には栄養になってます。そしてやっぱり2番に入る直前のドラムかパーカッションかのフィルインが実に力強く、鮮烈で素晴らしい! バスクラリネットの様な暗く滲んだ音に、太鼓隊が雷となって落ちてくるし。あとやっぱりリズムパターンについても、1拍目の直後に鋭い打音を打ち込むでくるのが本当に曲をシャキッ&キリッとさせてて良いです。よいよい。
サビの所はPOPS寄りになるけれど、それも全く違和感なくて、アルバム後半の最大の山場を迎えるに十分な内容です。ワールドミュージックのアプローチを試験的にやってみたというのではなくて、充実度の高い立派な楽曲なのです。エスニックなのにコズミック!

@tpopsreryo:
この曲は本作の象徴といってもよいですね。なんといっても青山純共同プロデュース作品なので、青山が作曲にまで関わる気合いの入れようがわかるような気がします。気持ちよく叩いているもんなあ。締めもダンッ!で終わるしね。プロデュースに青山を起用したのは大正解だったと思う。

@junnovi:
ホントに。素晴らしいです。その潔さに胸のすく思いです。楽曲に凝縮されてる演奏者の集中力が尋常じゃないです。それがひしひしと伝わってくるのだから。スリリングこの上ないです。

@tpopsreryo:
やっぱりこの曲は絶賛だったか〜w 本作のテーマとも言える「躍動感」が凝縮されたこの曲でほぼ本編は終了って感じですね。それではラストの曲にいきますか。

@junnovi:
ウヘヘ。分かりやすいと言えば分りやすい直球な曲なんですけど、ちゃんと受け止めましたよ~って感じですw 私、そんなに変化球受けるの、元々得意じゃないし、そこまで頭回らないしwww


11.「遠い夏」

 作詞:小川美潮 作曲・編曲:Gonzalez三上

@tpopsreryo:
11曲目「遠い夏」。ギター弾き語り。ゴンチチの三上さんを持ってきました。これはまあ前の曲で本編は終わりですから、デザートみたいなもんですね。余韻に浸るというか、楽しい夏休みが終わるというか・・この曲に関しては何も言うことはないですが、またなんでこんな終わり方にw

@junnovi:
アラ? GONTITIはチョット好きなんで、私は結構肯定的に受け止めました。まぁこの曲を置いて他に小川美潮とGONTITIとが真正面から向き合うことってそうはないんじゃないかとも思うし。で、この曲ですが、全くGONTITIサウンド。暑い夏のシエステw
皆考えることは同じで、良く冷えたアイスティーの入ったガラスコップに沢山の水滴がついてるっていう情景ですわw 前曲の激烈な展開を、最後は優しくそっと語るピロートークの様に歌いますねん。日も明るいのに、髪をそっとなぜられてさぁオヤスミと眠りに誘うのです。
こうして素晴らしく肉感的で躍動感に満ちた稀代の名作アルバムは幕を閉じるのでした~。パチパチw

@tpopsreryo:
もう、わかってるでしょ。ワタシ、ギター弾き語りとかピアノ弾き語りっていうのが一番苦手なんですよ。ずっとアコースティック楽器1音色ていうのがダメなんだよね。だから癒しだろうがなんだろうがただ個人的には合わない。ただバーターで参加した三上氏のソロ作品の曲はよかったw

「Gate Of Notion」の「Middle-aged Angel」ね。これは小川ソロ作品にも入っていておかしくない名曲なんだけどね。だからゴンチチが悪いんじゃなくて弾き語りが合わないだけなのね。実はブログで本作は9点なんだけど(http://reryo.blog98.fc2.com/blog-entry-67.html)、-1はこれが原因w

@junnovi:
あら~そこまで評点を下げてしまいますかw シエステやのに、シエステw アイスティーやでアイスティーw 冷たくて、おいしいで~。
こりゃこりゃw ま~私はうわばみをなぞる様に延々書き綴ってきて、ここまで今日も来たので言うことはこれ以上有りませんですw じゃ、次行きましょ、センセ。

@tpopsreryo:
ここまで個人的好みにしてしまいますけど、これがシンセや電子音弾き語りだったら10点w なんてね。さあ次いきましょ〜。

◆Ma*To氏facebookより抜粋転載(敬称略)

Ma*To:
ここでチョット番外編になりますが、レビューの中で触れられていた、三上さんソロアルバム曲「Middle-aged Angel」のサウンド・アレンジ。
(「Middle-aged Angel」のデモテープを聴きながら:Ma*To(藤井将登)氏facebookでご確認ください)そのデモ・バージョンもこのたび発掘されました。
このドラムの音は青山さんですね。叩いてる(操ってる??)のは俺だけど(笑)
ステレオでハイハットの反対側に定位してるのは、紙を切ったりくしゃくしゃにしたり叩いたりして録ったサンプル。どうでもいいか。
GONTITIのサウンドプロデュースの場合、三上さんからメロディラインとコードと行き方を書いた譜面を貰ったら、まずはこのように好きに音を組み立てたトラックを創って、そのデータをスタジオに持って行く訳です。
(この曲は三上さんのソロ・アルバム用の唄モノの曲でしたので松村さん用の仮のギター・パートは有りませんが。)
大抵は俺の創って来た音と演奏はそのまま採用されて、あとは要望に従ってナニカ音を足したり、仮ギターを生に差し替えたりして完成となります。
一連のGONTITIアルバムに於ける私の黒子としての黒歴史、いや蜜月時代(苦笑)は、このソロアルバム辺りで終わりを迎えるのでした。
tpopsreryo:
これまた貴重な音源をありがとうございます!
おっしゃられる通りほとんど出来上がった感じですね。三上さんのギターがないくらいで。でもサビに入るところのシンセベース、カッコイイですね!本チャンではなかったフレーズですけど、テクノ心をくすぐられましたw
Ma*To:
本チャンでは居ないのか。完成したやつはもうあんまり聴かないから気づかなかったわ(笑)
独りでドラムとベースを弾いて(鍵盤で)録ってるときが、いつもイチバン楽しい瞬間なのです(笑)

ボートラ1曲目「走れ自転車(Single Version)」

 作詞:小川美潮 作曲・編曲:板倉文

@tpopsreryo:
ボートラ1曲目「走れ自転車(Single Version)」。こちらが映画で使われた方ですね。ギターのカッティングが強調されていますねえ。アルバムではねちっこいシンセリフが追加されているので、つかみが全く違うので違いは鮮明です。あとリバーブで全体がもやがかっているのも特徴ですね。

@junnovi:
そうそう、一聴して「あれ?ちゃうでコレ」ってわかる。演奏もどこか控え目でバスドラが良く目立って聞こえる。とはいえこの曲の重要な要素がなくなった訳じゃないから、2番への繋ぎのギタープレイは面白いし、2番のBメロからサビに入る時の比較的ゆっくりとしたフィルインも中々見事で、十分楽しめるよね。アルバムバージョンみたいに唐突感の強い不思議ワールド的度合いをそんなに強く感じないのは、全体が抑え気味でとんがった所がまろやかなふうに変えられているから? ま、そんな感じでございます。

@tpopsreryo:
うん、結果的にアルバムではリバーブを取っ払ってドラムにキレが出ていることを考えると、このバージョンでのドラムへのエフェクトは必要なかったんじゃないかなあと思っています。このあたりもアルバムとしてのトータルプロデュースのおかげかもしれないけどね。では最後いきます。

@junnovi:
シングルバージョンよりも、アルバムバージョンの方が聴き応えも仕上げ具合も良いという好例ですね。同意しますわ。大体この曲は、シングルで体よくまとまるタイプじゃそもそもないと思うし。


ボートラ2曲目「Happy Circle」

 作曲・編曲:板倉文・BA NA NA

@tpopsreryo:
ボートラ2曲目「Happy Circle」。 これは「老人Z」のOPテーマだからサントラに入れればいいだけのことで、小川美潮はスキャットのみの参加だし、追加する必要もなかったんじゃないかというだけの感想ですw それ以外に何も言うことはないですね。

@junnovi:
あ~も~何か先に書かれてしまったけど、私も、悪いけど特に何も言いたいことはありません。おもちゃ箱ひっくり返してやんややんやと皆が好きなように騒いでる感じ。シンセと小川美潮のユニゾンも、ん~、特に言いたいことありませんw
ただ、間奏の部分で目立って聞こえる音が、リアルフィッシュ『tenon』の1曲目を思い出しちゃうのは何でだろ?「ベリーロール」だったっけ?懐かしぃ~。(注:『tenon』の1曲目は「BIT WALK」)

@tpopsreryo:
なぜなんだろう?「Tenon」かあ、そういえばその曲、Youtubeに上がってたけどそれにもワタシの「Tenon」のレビューがリンクされてたわw FLEXって言うバンドに至ってはYahoo知恵袋に引用されてたし、恥ずかしいから何とかしてw ではまとめましょうか!

@junnovi:
ハイセンセ。今日はもう私壊れてますんで、幻聴かも知れないですwww って以前から思ってたから、ってことは今日だけじゃないかw あ~もぅ、焼きが回ってるわ。


〜エンディング〜

@tpopsreryo:
さて、本編は全曲にわたってほぼ絶賛の嵐だった「ウレシイノモト」ですが、やはり「躍動感」に尽きると思うのですが。特にリズム隊の充実ぶりが凄まじくて、そんなスリリングなサウンドにも小川美潮はマイペースに気持ちよく伸び伸びと歌いまくる。そのハッピーな気持ちが伝わってくる名盤ですよこれ。

@junnovi:
そうやねセンセ。良くまとまった仕上げでございます。ここまで良いことばかり書いちゃうと、次の『檸檬の月』がチト心配になったりしますが、ま大丈夫でしょ。もう何年前の作品だと思ってんのさって感じで、ちゃんと落ち着いて、距離を置いて見直してみたいと思います。
ってちっとも「ウレシイノモト」について書いてませんね私w 昨日の導入時の話や、今日の振り返りの時にも書いた通りで、どこか人間の生きたニオイのする、躍動感に満ちた楽曲群で、それがお互いに上手く結びついて総合的なまとまりも良く出来ていて、素晴らしい作品ですね。

@tpopsreryo:
そうですね、この作品は「人間的な匂い」がするんですよね。もちろん「4 to 3」もそこを目指していたと思うんですが、まだファンタジーが残ってたんですよ。そこでリズムをさらに強化して文字通り「血湧き肉踊る」のサウンドに仕上げて。そして近藤&青山の功績がそこにある。

@junnovi:
そう。「人間的なニオイ」をもっと言えば「動物のニオイ」だよね。生きた、生命力のあるニオイ。それがこのアルバム全編に満ち満ちてる。最後のゴンザレスな曲は違うけど。そういう意味では話は戻り「シエステはチョット」というセンセの言う意味、分かる気がするよ。

@tpopsreryo:
もう「遠い夏」の話は勘弁してw ゴメンてw まあ確かに「動物的」「躍動的」「肉感的」そんなフィジカルなキーワードが次々と浮かぶような「動」のアルバムだったというわけですね。板倉から一時離れたことも結果的に良い方向で出たし、みんながハッピーになれた作品でした。

@junnovi:
そうどすなぁ。結構今回の小川美潮EPIC3部作復刻記念の振り返り、この「ウレシイノモト」が特に良かったので、楽しかったです。

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