見出し画像

【エッセイ】「環境」が1番の美味しいスパイスな話

我が家の夫は、土日はよくご飯を作ってくれる。

大変ありがたい話だ。
腕が悪いからか、味の予測がつくからなのか、自分が作るごはんというのはなぜかさほど美味しいと感じないものである。
平日3食そんなご飯を食べていると、土日に他人が作ってくれたものはより美味しく感じる。

ただ、ひとつだけ不満がある。
作るのに時間がかかりすぎる。

1時間から1時間半。長いと2時間弱。
キッチンにこもって、大量の調理器具を広げて、もくもくと鍋から湯気を出し続ける夫。
それで出てくる品は、大体一品か二品。

確かに、私が作るより相当きれいに切られた野菜たちと、しっかり下処理されたお肉や魚。無駄に凝った盛り付け。
味ももちろん美味しい。
でも、料理が出来上がる頃には、長女は腹ペコで集中力が切れているし、もうすぐ出来るだろうと思って1時間前に授乳を終えた次女のご機嫌タイムは終わりが見え始めている。

いつ爆発するか分からない娘ふたりを横目に、ヒヤヒヤしながら食べるご飯は、例え1人数万円のランチであろうが美味しくないのである。
他方、たとえ1杯300円の牛丼でも、ひとりで入る吉野家で誰にも邪魔されず食べるととんでもなく美味しいのである。

子育て中の食事の最大のスパイスは、環境なのだ。

毎週末、ご飯を一生懸命作ってくれる夫に、この事実は大変伝えづらい。
「次何食べたい?」と聞かれたので、
「まあ、さっと作れるものでいいよ…」と濁して伝えるしか今のところできていない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?