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システム思考入門編

「木を見て森を見ず」「群盲象を評す」という言葉が代表するように、全体像を欠いた理解は危険です。対処療法的な問題解決は、別の大きな問題を引き起こすリスクもあります。

これまで全体を俯瞰するための手法として、プロセスマネジメントを紹介してきました。プロセスマップを使えば全体像を可視化することができ、ボトルネック特定が容易になります。

一方で今回紹介するシステム思考は、ボトルネックを見つけた後に有効なフレームワークです。プロセスマネジメントとシステム思考を組み合わせれば、より全体最適のための筋道がたてられると思います。

システム思考とは

良かれと思って実行した施策が、思わぬところで悪影響を与えてしまったという経験はありませんか?これは各プロセスへの影響を考慮しきれなかった際に起こりうる事象です。

ルービックキューブをイメージしてください。目の前の一面だけを揃えることは簡単です。しかし全面を揃えようと考えれば、一気に難易度が高くなります。このように複雑な問題は多面的に考える必要があるのです。

絡み合う要因と関係性を理解することにより、最良の解決をめざす。それがシステム思考のアプローチです。

交通渋滞を解決するためには?

例題として交通渋滞を解決する方法を考えてみます。

渋滞が起こる原因は車のスペックにあるのではなく、坂道や狭い道などつっかえる箇所(ボトルネック)が存在するためです。

「道幅を広げる」「迂回路を用意する」「信号を取っ払う」ことを行えば、渋滞は解決することができるように思えます。

しかし実はこれらは表面的な問題解決に過ぎず、思わぬ方向で事態が悪化させる恐れもあります。

一時的に渋滞が緩和された場合、これまで自動車を使わなかった人々が通勤手段を自動車に切り替えるかもしれません。以前よりも自動車の通行量は増えることになり、よりひどい渋滞に逆戻るということも起こりえます。

一方でシステム思考は、システム全体の構造を明らかにすることにより、問題の根本を解決しようというアプローチです。

システム思考を使って導き出される解決策の例としては「公共交通機関の強化」、あるいは「渋滞税の導入」などがあります。

安易な解決策に飛びつかないこと、短期的視点により過ぎないこと、部分的な対策を避けること。これらは根本的な解決にはつながらず、むしろ状況を悪化させることすらあるというのがシステム思考の考え方です。

システム思考ではループ図と呼ばれる手法を使って、因果関係を図示することを推奨しています。これにより、表面上の問題解決が根本的な問題解決に繋がらないことを示すことができるのです。

システム思考を学ぶための書籍

システム思考を学ぶための書籍はたくさんありますがが、そのなかでも僕がオススメの本を3冊紹介します。

『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?』
枝廣 淳子, 小田 理一郎 著

はじめてシステム思考を勉強する人向け。システム思考の概念と使い方を体丁寧に教えてくれる。この本の内容を元にシステム思考の活用イメージを膨らませたり、実践の合間に読み返す教科書として有効な一冊です。

『The Fifth Discipline』(日本語版:『学習する組織』)

ビジネスの課題をシステム思考を使って解決したいという方へオススメの一冊。ビジネスの現場での事例に対して、システム思考をどのように応用できるかを学ぶことができます。

『Thinking in Systems』(日本語版:『世界はシステムで動く』)
Donella H. Meadows

『世界がもし100人の村だったら』で有名なドネラ氏の著書。複雑化する社会問題に対して、システム思考をつかってどのように対応するかが紹介されています。

これらの3冊については、別途独立した記事を立てて紹介する予定です。

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