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ようこそ! ちょっと風変わりで、とても短い掌編小説はいかがでしょう。

第4話 スイカ割り(その一)
https://note.com/tozoshort/n/n36efc41245de
第5話 スイカ割り(その二)https://note.com/tozoshort/n/n61d9a322265d

第6話 スイカ割り(その三)

 俺は砂から抜け出し、這う這うの体で浜辺を走った。
「はあ、はあ、はあ……ほんと、彼女の嫉妬心には参るねぇー」と愚痴を言いながら。
 そして、一里は離れたんじゃないだろうかと思える所で、一旦立ち止まる。両手を膝につけた、屈んだ姿勢で息を整えた。
 するとその時、あることに気づく。海岸線の彼方から、何かが空中を漂いながら近づいてきていた。

スイカ割り11

 それは、どう見てもパラグライダーだったが……何故かそれが、こちらに向かって進んできているような気がした。
「何だろう?」そのため、俺は不思議に思って目を凝らした。
 そしたら、やっとその正体を把握する。

スイカ割り12

 何と、彼女だ! その手にスイカを抱え、空からのお出ましだったのだ。
「待てー! これをお見舞いしてやるわ!?」そのうえ、傍若無人な振る舞いを宣言していた。
 俺は、愕然とした! おいおい、俺にスイカをぶつけるために、わざわざパラグライダーで追いかけてきたのかよ、と。しかし、驚いてばかりはいられない。あんな重たい物を当てられたなら、大変な怪我を負うのは間違いないのだから。
 故に、俺は必死に逃げた。だが、足元は軟らかい砂地だ。俊敏に動けなかった。
 そうするうちに、彼女の方は見る見る接近してきた!
 駄目だ。このままでは、本当に直撃を貰うぞ!
 と、その直後……遂に彼女は、「食らえ!!」と言たなら、俺に向かってスイカを投げてきた!
 うわぁー!? 巨大な球体が、俺に迫る。
 まさしく、万事休すか?
 そして、とうとう俺の頭部に、ヒットしたのだったァァー!

スイカ割り13

――ボヨヨ~~ン――

 ただし……えっ? 全然衝撃が来ない。

スイカ割り14

 というより、頭の上で跳ねたよう?
 そう、それは、

スイカ割り15

ただのビーチボールだったのだ!
 何だよ、全く!?……。俺はへなへなと砂浜に膝をついた。本当に人騒がせな話だなあ、と呆れながら。
 その後、「もう十分に遊んだわ。さあ、帰るわよ」という声が、上空から聞こえてきた。
 やれやれ、結局は彼女に手玉を取られ、オモチャにされたという一日でした。
「クソッ!!」


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