サルの天気予報【オリジナルえほん】
むかしむかし、とある森の中に
陽気なサルと動物たちが住んでいました。
森の中はにぎやかで、みんな仲良く暮らしていました。
動物たちには毎日とっておきの楽しみがありました。
それは、明日の天気予報!
毎日、お昼休みになると、池の周りに集まって
カエルの言葉を待ちわびます。
ところがある日、天気予報士のカエルが風邪をひき、
声を出せなくなってしまいました。
仕方なくカエルはお休みです。
困った動物たちは、サルに天気予報をやってほしいとお願いしました。
サルは自信はなかったけれど、
カエルがしていたことを真似すれば
きっと大丈夫だと挑戦することにしました。
翌朝、サルは木の上から天気予報を始めました。
しかし、サルには天気予報の知識がありません。
風の向きや雲の形を見てもさっぱりです。
困り果てたサルは空を見上げながら
明日の天気はわからないと言おうと思いました。
お昼休みに池の周りに行くと、
たくさんの動物たちがサルを期待の目で見つめました。
サルは彼らをがっかりさせてしまうことが怖くなりました。
それだったら、当てずっぽうで天気を言ってしまえ!
「明日は大雨が降るでしょう!」
次の日、サルの予報は全く当たりませんでした。
朝からとっても気持ちの良い晴れだったのです。
きっと動物たちはサルの天気予報に戸惑っているでしょう。
サルは間違ってしまったのですから。
あぁ、なんてことを言ってしまったんだろう。
サルは落ち込んで家に引きこもってしまいました。
お昼休みに池にも行きませんでした。
その夜、池に来なかったサルを心配して
森の動物たちが家に集まってきました。
「天気予報が外れたことなんて大したことないよ。」
みんな、サルを励ますために笑顔を見せました。
「でも、僕のせいでみんなは…」サルはいまにも泣きそうです。
「違うんだ。きみの予報が外れたおかげで、
いつもと違う一日が過ごせたんだ!」フクロウが言いました。
驚いたことに、サルの予報が外れたことで
森の中では面白い出来事が次々と起こっていたのです。
雨が降ると思っていたカタツムリは、
晴れているのに思い切って外に出てみました。
「晴れた日に外に出たから普段なら会うことのない
はなやかなちょうちょとお友達になれたんだよ!」
仕事熱心なノネズミは、雨が降ると思ってお店を閉めたことで、
久しぶりに晴れた森の中をお散歩してリフレッシュできたのでした。
「森の中にこんなに素敵なお花畑があるなんて知らなかったよ。
たまにはお散歩も大事だね。」
森の動物たちは、
普段とは違った一日を過ごすことができたことを
口々に感謝しました。
「昨日はごめんね。そして、みんな、ありがとう。」
サルはそういうとにっこりと笑いました。
サルは失敗を受け入れたのです。
みんなは、サルと一緒に踊ったり、歌ったりして
楽しい時間を過ごしました。
「ところで…」フクロウが口を開きます。
「おサルさん、明日の天気を教えてよ」
「明日の天気はね…」
END
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