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超短編小説『ナンセンス劇場』068

【酔っ払い運転】

「金持ちで頭が良く運動神経も抜群。それになんといってもこの美貌」

男は車を運転中にバックミラーで自分の顔を眺め、前方不注意により電信柱に激突した。
近所の人の通報ですぐに警察がやって来た。
警察が男の呼気を調べると基準値の10倍を上回るナルシスト濃度が検出され、男は自分酔い運転により現行犯逮捕された。


修学旅行最終日】

「え~、次に田原先生からお知らせがあります」

「昨日泊まった旅館で忘れ物をしたやつがいるぞ。
誰だこのパンツを忘れたやつは。
どうした、誰もいないのか?
この黄色く染みのついたパンツだぞ。
このヨレヨレで相当使い古されたパンツだぞ。
自分のだったらすぐに分かるはずだろ。
なぜ出て来ない。
出て来るまでみんな家に帰れないぞ」

「あの、パンツに薄くマジックで田原先生の名前が書いてありますよ」

「よ~し、そっちがその気なら、このパンツ燃やしちまうからな」

「いや、だから先生の名前が・・・」

「ほ~ら、燃えろ燃えろ! ハッハー!」

「田原先生、一体どうしたんですか!?」


【一見さんお断り】

“ガラガラガラ”

「へい、いらっしゃ・・・あぁ、すいませんねぇ、うち一見さんお断りなんですよ」

「そうですか・・・」

男は肩を落として店を出ていった。

「おい、誰か塩まいとけ!」

男の名は一見善幸。
悪魔の生まれ変わりとして忌み嫌われる一見家の末裔の一人だ。
ひどい差別を受け、どの店からも入店を断られる日々を送っていた。
だが、家の蔵で見つけたある1冊の古文書をきっかけに一見善幸の未来が大きく変わり始める。



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