超短編小説『ナンセンス劇場』014
【男泣き】
「ただいまー。
ねぇ今さ、そこの通りでネコが泣いてるの初めて見ちゃった」
「はぁ、何言ってんの? 頭大丈夫か?
ネコが鳴くなんてあたりまえだろ。
それより早くメシ作って」
「すっごく悔しそうに泣いてたんだよ。
たぶん縄張り争いだと思う」
「いいからメシ!」
【やる気ないじゃん】
「皆さんこんにちは、『3分間で料理作っちゃおー!』の時間です。
先生、今日はどんな料理を教えてくれるんですか?」
「今日は3分間でフランス料理のフルコースを作ろうと思います」
「えっ、フランス料理のフルコースを3分間で!?」
「ええ、ちょっと不安ですけど、まぁなんとか頑張ってやってみたいと思います」
「皆さん楽しみですね~。それでは先生よろしくお願いします」
「はい、ではまず野菜を3時間じっくりと煮込みます」
【いきなりシリアス】
「おじいさん、ここ掘れワンワン」
「ん? どうしたポチ」
「おじいさん、ここ掘れワンワン、お宝いっぱい出てくるワンワン」
「なに~!? そりゃ掘るっきゃないっしょ!」
“ザク、ザク、ザク”
「ポチ~、全然お宝出てこんぞ~」
「もう少し掘ったら出てくるワンワン」
“ザク、ザク、ザク”
「ポチ~、やっぱり何も出てこんぞ~」
「………おじいさん、そこはあんたの墓穴だよ」
「な、なんじゃと…ポチ…ポチ!」
「なんちゃって~、びっくりしたワン?」
「びっくりしたよ~、も~。あ! お宝じゃ~!!」