見出し画像

超短編小説『ナンセンス劇場』059

【悪夢】

 男は大学の合格発表をネットで検索した。
 もう二浪している男は、今年絶対に落ちるわけにはいかなかった。
 男は恐る恐る自分の番号を探す。
 しかし番号は無かった。
 目の前が真っ暗になる。
 夢にまで見たキャンパスライフ。
 大学に入学したらやりたいことが一杯あったのに。
 全てが水の泡と消える。
(俺の人生はもうお終いだ)
 男は絶望し膝から床に崩れ落ちた・・・
という所で夢から覚めた。
「なんだ、夢かぁ」
 男は安堵しほっと一息つく。
 男が胸をなでおろしていると部屋の外から大きな声が聞こえてきた。
「てめぇらいつまで寝てるんだ! さっさと持ち場につかんかー!
 ぶっ殺すぞー!」
 男はゴザから飛び起きると重い足枷を引きずりながら急いで作業場へ向かった。


【緊張の一瞬】

 どこからかパトカーのサイレンが聞こえてくる。
「おい、お前なんかやらかしたんじゃないのか? ハハハ」
「・・・・・・」
「うん? どうした?」
「銀行強盗・・・」
「え?」
「銀行強盗・・・」
「はぁ? 何言ってんだ?」
「・・・・・・」
「ジョーダンだろ?」
 パトカーが姿を現し、2人の前で停まる。
「マジかよ、お前・・・」
 中から出てきた警察官は2人の前を素通りし、ビルの中へ入って行った。
「ビビった~、変な嘘付くのやめろよ~!」
「俺もビビった~!」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?