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わたしたちがこだわる、靴の「底材」について。

それでは、今回は、わたしたちがこだわる靴の「底材」について、少し深堀りしてお話ししたいと思います。

靴の底材に求められるもの

靴の底材は、地面と直に接するので、足裏の保護、歩きやすさ、耐久性などが求められます。
一般的に、紳士靴の底材は、革が伝統的で、主流でした。現在でも、吸湿性や弾力性があって、歩きやすいともいわれますが、耐久性に劣りますし、雨に弱く、底が平らなので滑りやすく、なにより、高価格となります。
履くと気持ちが上がりますけど(笑)

その後、合成ゴムと合成樹脂を主原料として、多種の合成ゴム底が作られ、様々な製法で用いられるようになり、その底のデザインに凹凸をつけたりして、その短所を克服できるようになりました。ただ、その配合によっては硬さに違いあり、摩耗が早い場合もあります。

発泡ポリウレタンの底材と加水分解

そこで、私たちがこだわっているのは「ダイレクトウレタン製法」で使われる発泡ポリウレタンの底材です。前回も少し触れましたが、これは、耐摩耗性、耐油性にすぐれる、軽量で減りにくい、細かな独立気泡を持ち、クッション性がよいなどの長所がありますが、その性質上、空気中の水分と徐々に反応し、加水分解という経年による劣化が進みやすい短所も併せ持っています。

“ただ、その性質上、空気中の水分と徐々に反応し、加水分解という経年による劣化が進む短所を併せ持っています。”

「わたしたちがこだわる、「靴の製法」について(後編)。」より

 加水分解とはポリウレタンが空気中の湿気を吸湿することによって化学反応した部分が、高温多湿の状態で促進され、ウレタン全体の切断や割れとなって現れる現象のことです。
 特に、高温多湿の条件下で保管された場合には、著しく劣化速度が速くなる場合があります。以前、下駄箱から出してみて、履こうとしたらボロボロになった、歩いていて、底が割れてきたなどの、お声を頂戴しました。
履かれる頻度が少ない場合や、最近では、薬品やカビによって促進されることも報告されています。このように、さまざまな事由が複合的に絡み合い、上記のような問題が発生してきます。

 弊社でもこの問題を克服すべく、原材料の変更など試みましたが、やはり靴底の金型の意匠との相性、アッパーとの結合力の弱さなどの点からもこの底材はベストであり、その特徴からも、靴の底材としては、優れているとの思いで、以降もずっと使っています。

お勧めの保管方法

ですので、この底は減りにくい特徴がありますので、できるだけお履きいただき、保管される場合は、湿気を取り除き、十分に乾かし、通気性の良い状況にて保管されることをお勧めします。

今回は、わたしたちがこだわる靴の「底材」について、お話しました。
靴を選ぶ際のポイントとして、底材のことも考えながら、選ばれることをお勧めします。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次回はデザインについてもお話してみたいと思います。


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