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企業から伝えることの大切さ 〜消費生活アドバイザーの視点から〜

それでは、前回の最後にも、書いていましたが、「消費生活アドバイザー」について、少しお話ししてみたいと思います。


私は、株式会社トーヨーシューズにて、20年ほどお客様対応など担当しておりまして、それより前には、「消費生活アドバイザー」という資格で仕事もしておりました。

消費生活アドバイザーという資格が生まれた背景

そもそも「消費生活アドバイザー」というのは1980年に創設された資格で、キャッチコピーは「消費者と企業や行政の架け橋」というものでした。その当時は、ちょうど消費者問題にフォーカスがあてられていた時期で、企業と消費者とは、商品知識の格差が圧倒的に大きく、企業からあえて、お客様に商品情報が知らされていないことが多くありました。

例えば、古くは牛缶との表示なのに調べたらクジラだった、という誤表示とか、知らずに食していたもので健康被害が生じたり、いわゆる公害といわれる問題も多く発生していました。

きちんとした情報が与えられておらず、被害者は消費者という図式ができてきました。そこで、1968(昭和43)年消費者保護基本法が制定され、消費者行政が整い始めていきます。

その頃に、経済界の方からの要請もあって、企業・行政と消費者の間隙を埋めるように消費生活アドバイザーという資格ができ、先ほどの掛け声とともに、消費生活センターが各地方自治体に順次でき、また百貨店、スーパーのみならず、各企業など、こぞってお客様相談室、お客様相談センターを誕生させました。

そこに、こうした資格もったアドバイザーが、お客様や、企業の間の仲立ちをするように在籍するようになったのです。
私も、大手通信会社のお客様相談センターに在籍していたこともございます。
お客様向けのチラシ、リーフレットなどのチェックや、市町村のセンターに行って、企業の意向などの説明もしてきました。

ちなみに、他に消費生活専門相談員、消費生活コンサルタントなどの資格もありまして同じような立場で活躍されています。

企業からの情報発信も大きく変化した

高度経済成長期、大量生産、大量消費の時代は、企業情報というのを消費者に向けてアピールするということもない時代でした。
企業のホームページなどもありませんし、何か被害が生じたり、クレームが発生して初めて、情報を出して、説明するといった、どちらかというと、ネガティブな情報というイメージでした。

弊社でも、販売時点での各店の販売員からの説明の徹底、製造物責任法、いわゆるPL法の制定により、業界の指導・指示に従い、靴箱の裏に「安全のためにお守りください」といった取扱の説明の表示をしたり、できない場合は、靴箱の中にチラシを入れたりして、購入されたお客様にお知らせしていました。ただ、量販店などでは、販売員が店頭に不在だったり、レジでは靴に詳しい方がおられないことが多く、知らないままに購入されるケースも多くございました。

もちろん、POP広告といいますが、店頭での小さな看板でのお知らせはしてきました。ただ、目に留めてくださったかどうかは。。。
このような地味な情報開示でしたが、なんとか頑張ってきたつもりです。

それがインターネットの普及とともに、ホームページから様々な情報を取ることもできるようになりましたし、近頃はSNSを使って、ポジティブな商品の使い方やアレンジの仕方などを動画などで、発信しています。
弊社はそこまではできていませんが、本当に、時代の変遷を感じます。

企業から消費者へ伝えることの大切さ

ただ、そこに企業のいいところだけしか発信しない姿勢はいかがなものかと思います。業界では、当たり前と思えることが、消費者にとっては初耳ということが多いです。また検索してみてもちょっと企業にとって都合の悪いことは、小さな文字やなかなか思うような情報にたどり着けなかったりしませんか。

もっと、端的に、しっかりとメリットデメリットを伝えることが大切であると、肝に銘じなければなりません。

いいところも悪い所も、いわゆるメリットもデメリットも正直にお伝えして、お客様に選んでもらえる企業になることこそが肝となると思います。

弊社におきましても、本底に発泡ポリウレタンを使用して靴を作っています。この発泡ポリウレタンの底の加水分解という典型的な事例を、今一度ご紹介しながら次回、伝えることの大切さをお話していきたいと思います。


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