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『2024年から2025年の飲食業界』 〜技術革新と新たな消費者ニーズに対応する7つの動向〜

2024年の飲食業界は、技術革新や消費者ニーズの変化により、新たな動向が見られています。これらの変化は、2025年に向けてさらに加速し、業界全体に大きな影響を与えることが予測されます。以下では、2025年に向けて飲食業界で注目すべき10の動向を詳しく解説し、具体的な実例や店舗の詳細を紹介します。

1. AIとロボティクスの完全導入

AIとロボティクス技術の導入が、飲食業界において新たな動向をもたらしています。2025年には、これらの技術がさらに進化し、レストラン運営が劇的に変化することが期待されます。AIは顧客の注文履歴や嗜好を分析し、パーソナライズされたメニュー提案を行います。また、ロボティクス技術は調理や配膳の自動化を進め、業務効率を大幅に向上させるでしょう。

東京にある「エビノスパゲティー」では、パスタを茹でる工程からソースと麺に火を入れて乳化させる作業を自動で行うロボットが導入されています。熟練の技術を必要とせず、誰でも一貫した品質のパスタを提供できるため、効率化とコスト削減を実現しています。さらに、アメリカの「Spyce」では、ロボティクスとAIを組み合わせ、完全自動化されたレストランを展開しています。注文から調理までがAIによって制御され、顧客に新しい食体験を提供しています。

Spyce(アメリカ)

エビノスパゲティー

丸の内の店舗で2年前に導入された調理ロボットの様子

2. 仮想現実(VR)を活用した飲食体験

仮想現実(VR)技術は、飲食体験を劇的に変える可能性を秘めています。VRを活用することで、顧客は食事中に異国の文化や雰囲気を体験できるようになり、単なる食事の場から「体験」としての価値が加わります。2024年には一部のレストランで導入が進められ、2025年にはこの技術がさらに一般化し、この動向は拍車がかかっていくでしょう。

アメリカの「Inamo」は、テーブルプロジェクションを使用したインタラクティブな食事体験を提供しており、顧客は自分の注文をカスタマイズしたり、ゲームを楽しんだりすることができます。日本では、「TREE by NAKED」がVRやプロジェクションマッピングを使用した仮想空間での飲食体験を提供しています。VR空間内で異世界の景色を楽しみながら、実際の食事を味わうことができるユニークな体験が話題となっています。

• Inamo  ソーホー

日本を代表するVRレストラン

3. 昆虫食の普及と新しい食材の台頭

環境問題への意識が高まる中、昆虫食や培養肉といった新しい食材の開発動向が注目されています。昆虫は、高タンパクで栄養価が高く、少ない資源で大量生産が可能なため、持続可能な食材として期待されています。また、培養肉や植物ベースの代替肉も、伝統的な畜産に代わる選択肢として広がりを見せています。

東京の「Antcicada」では、昆虫を使った料理が提供されており、環境に配慮した食材として注目されています。昆虫を使用した様々な料理が楽しめるこのレストランは、新たな食文化の形成に貢献しています。また、アメリカの「Memphis Meats」は、培養肉の商業化を目指しており、環境負荷の少ない食肉生産の未来を切り開いています。

Memphis Meats(アメリカ)

日本でのパイオニア TAKEO←こちらをクリック

4. ブロックチェーンによる食材トレーサビリティの強化

ブロックチェーン技術は、食品のサプライチェーンを透明化し、消費者に信頼性の高い情報を提供するための強力な手段として活用されています。2025年には、この技術がさらに広がり、食材の生産過程をリアルタイムで追跡することが一般化するでしょう。これにより、食品の安全性や品質管理が強化されます。

日本では「富士通」が、ブロックチェーンを利用した食品トレーサビリティのプロジェクトを推進しており、消費者が食材の生産地や流通過程を確認できる仕組みを提供しています。高級食材やオーガニック食品を扱う店舗では、この技術を利用することで、消費者に対して食材の安全性と透明性を確保しています。一方、アメリカの「IBM Food Trust」も、ブロックチェーン技術を用いて、農場から食卓までの全過程を追跡可能にするサービスを提供しています。

富士通 食品トレーサビリティ(日本)

IBM Food Trust(アメリカ)←こちらをクリック  (英語表記です。翻訳してご覧ください。)

5. 水不足対応型店舗の増加

水不足が世界的な問題となっている中、飲食店でもその影響が広がっています。2025年には、水の使用を最小限に抑える技術やリサイクル水を利用する店舗が増加し、持続可能な運営が可能になると予測されます。これにより、飲食店は経済的な負担を軽減しつつ、環境保護に貢献することができます。

アメリカの「Sweetgreen」は、持続可能な農業技術を用い、少ない水で育てられた作物を使用したサラダを提供しています。店舗全体で水の使用を効率化することで、環境への影響を最小限に抑えつつ、品質の高い料理を提供しています。また、日本国内でも、水資源の効率的な利用やリサイクル水の導入が進んでおり、持続可能な飲食店の運営が注目されています。

さらにこの店舗では、サラダ専門店で自動調理のお店を開業しその動向が注目されてます。

Sweetgreen(アメリカ)←こちらをクリック  (英語表記です。)

6. さらに個別化が進む嗜好

2024年に続き、2025年にはさらに多様な食事形式が普及するでしょう。ビーガンやフレキシタリアンといった新しい食事スタイルが一般的になり、これに応じた個別化されたメニュー開発が求められます。特に、植物ベースの代替肉や、持続可能な食材を用いたメニューの需要が高まると予想されます。

東京にある「AIN SOPH」は、ビーガンメニューを専門に提供しており、植物ベースの食事の普及に大きく貢献しています。このレストランは、ビーガン料理の多様なメニューを提供し、幅広い顧客層に支持されています。また、アメリカの「Beyond Meat」や「Impossible Foods」は、植物ベースの代替肉を提供し、多くの飲食店で採用されています。これにより、環境負荷を軽減しながらも、動物性食品に近い味と食感を提供しています。

AIN SOPH(日本)

Beyond Meat(アメリカ)

Impossible Foods(アメリカ)

7. メタバースとの連携

2025年には、メタバースが飲食業界に与える影響がさらに拡大するでしょう。メタバースは、仮想空間内での新しい形の社会的交流やビジネス活動を可能にするプラットフォームとして注目されています。飲食店は、メタバース内でのバーチャルレストランの運営や、現実の店舗との連携によって、新しい顧客体験を提供することが期待されます。

日本では、「NEO TOKYO PUNKS」がメタバースを活用したイベントを開催しており、仮想空間での飲食体験を提供しています。このイベントでは、仮想通貨での支払いが可能であり、現実世界のレストランと連動したサービスが提供されています。さらに、アメリカの「Decentraland」や「Somnium Space」でも、バーチャル飲食店が登場しており、仮想空間での食事体験が広がっています。

NEO TOKYO PUNKS(日本)

Decentraland(アメリカ)

Somnium Space(アメリカ)

参考サイト

QSR Web - Advancing the restaurant industry with AI innovations

Olive Technologies - Exploring 2024’s Top Restaurant Technology Trends

これらの実例を基に、2025年に向けた飲食業界の動向を理解し、業界がどのように進化するかを見極めることが重要です。技術革新と消費者ニーズの変化に対応するため、飲食店はこれらのトレンドを取り入れ、未来に向けた戦略を立てる必要があります。

飲食業は最高に幸せなしごと。