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「はがし」という発想

ラストサムライ

新しい商品やサービスが市場に浸透していく際の、人々の反応を早い順に分類しているイノベーター理論というものがあるそうです。
以下がその分類です。

イノベーター(革新者)        2.5%
アーリーアダプター(初期採用層)         13.5%
アーリーマジョリティー(前期追随層)  34.0%
レイトマジョリティー(後期追随層)      34.0%
ラガード(遅滞層)                           16.0%

皆さんはご自分がどの分類に当てはまると思いますか?
私はアーリーアダプターを装ったラガードであると思っています。
アーリーアダプターを装うのは、自分の中に「若いもんには負けられん」というつまらない意地があるからかもしれませんね。

最近AIの話が頻繁に出るようになりました。文章も書いてくれるそうです。
学生の小論文等がAIによるものだと見破るのは難しくなるのでしょうか?
困ったものです。

ケアマネジメントにも影響があるのでしょうか?
介護支援専門員はAIに取って代わられるのか?とか、いやいや共存できるはずだ!とか、AIを導くのは生身の介護支援専門員だ!とか、いろいろな説が飛び交っていますね。

私は、AIに取って代わられるようなケアマネジメントであれば介護支援専門員は無くなってしまってもいいと思っています。皆さんがケアマネジメントのサービスを受ける時のことを想像してみてください。ロボットがやってきてあれこれ話しかけてくれるはずです。体の動き、バイタル等の情報、病気の症状、服薬の状況等々を聴き取り、適切なアドバイスを下してくれるはずです。ま、そのくらいの業務であれば、お任せしてもいいのかなと思います。

ケアマネジメントの情報収集もこのような技術を援用すれば、おすすめケアプランくらいなら、たちどころにアウトプットされる時代が来るでしょう。

しかし皆さんはそういった情報収集やサービス提供で満足されますか?私は否と言いたいです。吉島のおじいちゃんは何を大切に生きてきたのか?今どんなことを考えているのか?それは昨日のそれとは違うのか?午前中のそれとは違うのか?そのようなものも含めたアセスメントはロボットでは不可能であると思っています。

つい最近、9日間ほど入院しました。
病室に最も多く出入りしてくださるのは、看護師さんです。
「おはようございます」「ふう」「あ!ごめんなさい『ふう』と言ってしまいました」そんな看護師さんがいました。
「おはようございます。お熱測りますね。お通じは出ましたか?」と声をかけてくださった看護師さんがいました。
さて、私はどちらの看護師さんと仲良くなったでしょう?

人間は、自身の中に「混沌」を持っておく必要があるのです。
その「混沌」の中には、他者がいるのです。
その他者と対話することができて、はじめて主体性が生まれます。

ここがロボットとの違いだと思うのです。

生身の人間だけが分かるこの「混沌」。これをは、分類と関連づけだけでは、見出せないのです。

「ふう」と言った看護師さんは、明らかに自分の中の他者と話をしておられます。自分の中の他者を抽出するためには、重なった「自分」と「他者」を剥がす必要があるのです。

AIではできない仕事をするために、私はラストサムライ(ラガード)でありたいと強く思っています。

イラスト:なつめりお 様    ありがとうございます。

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