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tomekantyou1
「バトルモンキーズ」
(早く! 早く距離を取るんだユイ!)
頭の中に相棒の声が響く。分かっているし、実行している。
失態だ。一件目の鎮圧が手早く済んだから、緊急案件の一件くらい無補給でやれると慢心した。その結果がこのザマだ。
被疑者を得意の〈縛鎖〉で拘束し、〈意識断〉で速やかに無力化したつもりが、既にネガ・ダウンが始まっていた。
被疑者である二十代半ばの男性は不気味な流動体を纏い、三本の触手が生えた怪物――ネガ・ビーストとなり、暴れ狂い出した。
至近距離で触手を滅茶苦茶に振り回されてしまい、咄嗟に〈魔力壁〉を展開したが、魔力が足りず、破られた。触手の一撃をモロに受け、思い切り吹き飛ばされた。
痛い。足がガクつく。息が苦しい。頭がグラグラする。視界が霞む。ネガ・ビーストが迫る。沈む夕日が六つに見える。
「…………え?」
……いや、違う。うち五つはハゲ頭だ。
五色の僧衣を纏った僧侶が五人、夕日を背に並んでいる。
【続く】
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