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彼岸桜

あなたと出会った氷の日
水のようなあなたの声があまりにも綺麗で
私の痛いだけの荒んだ氷は溶けていった
心の水が涙となって流れ落ちて
それは朝日のようで 温かい風のようで

時の先に咲いた桜の花を
あなたと見つめていたかった

寒い中咲いて 何もない世界を彩って
人は儚い花の如く 音は永久 命のように
遠い遠い愛の世であなたの歌に耳を澄ます
未だ色付かない花の香りをずっと探し続ける


あなたが消えた氷の日
降り積もった悲しい雪が全てを消し去って
私の痛いままの荒んだ心は凍り付いた
あの日の水が涙となって沈んでゆく
それは氷柱のようで 望まない夜の中で

時の果てに咲いた桜の花は
あなたに見向きもされずに
散った

寒い中咲いて 意味のない世界に彩りを
人は尊い花の如く 音は神なり言葉の侭に
遠い遠い愛の世にあなたの歌へ心を寄せて
二度と色付けない雪の香りがそっと痛み教える


冬の果てに咲くであろう桜の花よ
春を呼び込む悲願の桜よ
それはあなたのように美しく
会えない寂しさ惑わせて 舞う
さよならも約束もいらないから
伝えさせて あなたへ 


寒い中咲いて 悴んだ世界に温もりを
人は可愛い花の如く 音は愛しきあなたのために
既に来(きた)る愛の世に巌と歌へ心を込めて
白く咲くだろう花の香りをそっと雪に託した



画像は、フリー画像です。 photoACさんからお借りしました。

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