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赤い椿

きっと、もう、さよならだ
ざっと300 年の恋でした
また会えるのなら
もう会えないけど
でも、でも、会いたいな
やっぱり愛してるんだ



色褪せてゆくこの世界は
半透明な私まで濁らせて
綺麗なままの心でいられたら
お天道様は迎えに来てくれるのかな
あなたの隣にいるのに求めてしまう苦しさを
今すぐに消してほしい

乾いた空の冷たい風は
一人ぼっちの唇をなぞります
体温はもうないのにね

花火の下で何よりも熱かった私の手
あなたの体温が今もこびりついてさ
湿り縮こまって固まった綿菓子のような
甘くて気持ち悪い恋でした
今でも思い出している未練の中



思い馳せる彼方の世界
確信的な想いまで焦らせて
繋がり消えぬ命と云うのなら
お天道様は巡り合わせてくれるさ
あなたの隣にいるのに視線も合わぬ寂しさを
今すぐに消してほしい

渇いた空の凍える風は
二人ぼっちに悪戯を仕掛けます
感覚はもうないのにね

私の耳に蝉しぐれ追いかけたあなたの手
海馬のシナプスが何故かへばりついてさ
外れ声もあげず跳ねている金魚のような
綺麗で仰々しい恋ですか?
今更求め出している因果の末(すえ)




赤く熟れた私の心臓をあげるから
もう泣かないでほしい
燃え尽きた灰に眩まないで
生きて 生きて 最期まで生き切れば
必ずまた会えるから
他の誰かを内側に置いてあなたの大事を腐らせないで
死んでしまいたいなら私のために生きて



椿は雪に咲き誇り温めた心の目
晴れたオーロラがとても綺麗で
喉に絡まってクセになるチョコレートみたい
甘すぎて胸が焼ける恋だから
今でも愛し出してる実りの様



きっと、もう、さよならだ
きっと来年も思い出す
また会えるかな
もう会えないのかな
それでも、君だけは
やっぱり愛してしまうんだ
落ちて行かないで桐一葉


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