180203-移民-メルマガ

『隠れ移民大国ニッポン』週刊東洋経済eビジネス新書No.250

本書は、『週刊東洋経済』2018年2月3日号をもとにワンテーマで再構成したオリジナルコンテンツです。情報は底本編集当時のものです(標準読了時間 90分)

先進国4位の「移民大国」
いつの間にか隣人は外国人

 最近、外国人がやけに目立つ ── そう感じている人も多いだろう。訪日観光客だけではない。日本に住み、働く外国人が着実に増えているのだ。

 都内のセブン-イレブンでアルバイトに励むマンさんは、ベトナム人留学生。日本に興味を持ったのは「テレビドラマを見て、『ニッポンの女の子、カワイイ!』と思ったから」。服飾関連の専門学校に通いながら、土日に勤務。バイト仲間にはウズベキスタン、バングラデシュなどからの留学生もいる。セブンの都内店舗では、バイトの2割が外国人だ。

 ラーメンチェーン・幸楽苑の都内店舗で働くグエンさんもベトナム人留学生。2018年春に日本語学校を卒業し、首都圏の大学に進学する。バイトの稼ぎは「学費に充てる」。週3日程度、夕方から終電前までの忙しい時間帯にホールに立つ。幸楽苑は2年前から、外国人バイトの採用を積極化している。「日本人の応募がめっきり減ったのがきっかけ」と店舗運営部の森俊勝氏は話す。

事実上の移民が年間40万人流入

 在日外国人数は247万人(法務省の在留外国人統計、2017年6月時点)。名古屋市の人口を超え、京都府に迫る。リーマンショックと東日本大震災で一時減少したが、再び増加に転じた13年以降、2割増えた。特にベトナム、中国、ネパールといった国からの流入が多い。

 総人口に占める外国人比率は1・95%。29%のスイス、28%の豪州(OECD〈経済協力開発機構〉データ、15年時点)などと比べると低く見える。だが第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは「見方によっては日本はすでに移民大国だ」と指摘する。

 日本は移民を解禁していないというのが政府の公式見解だが、国際連合による移民の定義と同じ「1年以上外国に居住している人」を基準とするOECDデータをみると、15年の1年間に日本へ流入した〝実質〟移民の数は約40万人。独米英に続き、先進国では4番目に多い。

 近年の日本で外国人が増える理由は、人手不足を背景に、産業界が外国人の労働力を求めていることだ。在日外国人のうち、就労者は108万人(厚生労働省の外国人雇用状況調査、16年10月時点)。調査を始めた07年以降で最多だ。有効求人倍率の上昇と足並みをそろえるように増えている。

 外国人に特化した求人サービス企業・「WORK JAPAN」(東京・港区)の松崎みさ社長は、外国人を求めているのは流通や外食といった産業にとどまらないと指摘。「温泉掘削やウエディング専門の皿洗いといった、ニッチな業種でも需要が強い」という。

横浜、名古屋で外国人急増 川口にはチャイナタウン

 急増する在日外国人。その実情を探る手掛かりとして、本誌は法務省の統計を使って市区町村別のランキングを作成した。なお、区単位は東京と大阪のみとし、12年末と17年6月末時点のデータを用いている。

続きをみるには

残り 27,056字 / 18画像

¥ 432

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?