世界の資源エネルギー情勢を理解できる最高の教科書!『世界資源エネルギー入門』
今回は、早稲田大学の人気講義を書籍化した『世界資源エネルギー入門』をピックアップします。
2022年にロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、各地の戦況や各国の動きなど、関連ニュースを見ない日はありません。先日も、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者、プリゴジン氏の墜落死が大きく話題になりました。
侵攻が始まった当初は、すぐに終結すると言われていたこの戦争。なぜ戦争が始まったのか、他の国にはどのような影響があるのか、ロシアの国民感情はどのように変化しているのかーー。
戦争が始まって1年以上経った今でも、それらの問いに答えられる人は多くないのではないでしょうか。そのヒントを得られるのが、今回お届けする『世界資源エネルギー入門』です。
本書では、 ロシアのウクライナ侵攻をはじめ、世界情勢を理解する上で不可欠な「世界の資源エネルギー情勢」 について、詳しく解説しています。
ロシアとウクライナの関係悪化の原因、「ガスパイプライン戦争」とは?
ロシアは、石油・天然ガスともに産出量が世界有数の国であり、近年ではエネルギー供給を通じて、西側の西欧諸国との結びつきを強めてきました。また、パイプラインを通じて、カスピ海諸国、トルコ、中国とも深い関係にあります。
ここでウクライナとの関係に着目すると、1991年のソ連崩壊前にはロシアとウクライナは1つの国であり、天然ガス事業を共同で実施していました。 ところが、ソ連崩壊により、ロシアが天然ガスの生産・輸出、ウクライナがパイプラインの管理、と事業が分離されることとなりました。
ここから問題が起こります。ロシアの国営会社ガスプロムが、パイプラインの管理権限をウクライナに要求したところ、拒否されたのです。これに腹を立てたロシアは、以下の図のようなウクライナを経由しないバイパスの計画に着手し始めます。
ロシアは、2006年に管理権限を再度要請しますが、ウクライナ政権はそれを拒否します。こうした ロシアとウクライナのパイプラインの管理権限に対するやり取りが、両国間の関係悪化の1つの大きな事件となった のです。
なぜロシア国民はプーチン政権を支持するのか?
資源エネルギーは、ロシアの国民感情にも影響しています。
皆さんは「戦争が起こっているのに、なぜプーチン政権の支持率が高いのか?」「ロシア国民はプーチン政権を本当に支持しているのだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか。
その理由のひとつに、資源エネルギーが関係しているのです。
ここで石油価格と紛争の関係を見てみると、 国際的な紛争があるたびに油価が高騰し、ロシアの収入が増加している ことがわかります。
エネルギー一本足打法のロシア経済において、 石油価格はロシアの1人当たりのGDPに大きく影響します。 実際に、国民1人当たりのGDPは石油価格の上昇とともに成長し、ウクライナ侵攻後、1バレル20ドルの頃から実に5倍となりました。
こうして プーチン政権は、国民生活の安定に成功し、それがプーチン政権の国民的人気の裏付けとなっている のです。
世界情勢を理解するための最高の教科書
このように、資源エネルギーに着目してみると、ロシアのウクライナ侵攻のニュースがもっとわかりやすく見えてきます。
昨今の激動する世界情勢の中、資源エネルギーに関する知識は、国際情勢のニュースやビジネスを理解する上で必要不可欠となっているのです。
本書は、ロシアだけでなく、日本、アメリカ、中国、EUなど、 世界主要各国の資源エネルギー事情やエネルギー戦略について、詳しく解説 しています。本書を読めば、なんとなく見ていた日頃のニュースの背景が、さらによく見えるようになるでしょう。
皆さんも本書を通して、資源エネルギーの知識を身につけ、世界情勢に対する解像度を高めてみませんか。
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『ウォール・ストリート・ジャーナル』ベストセラー
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