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ちょっとニッチな番組紹介 その1

 1本目の記事からだいぶ間が空いてしまいました。「目指せ週1本」と宣言しつつ、「書き始めたら本当に始まっちゃうんだよな……」と、この期に及んで決心しきれませんでした。ごめんなさい。紹介したい番組はあるんですけどね。

ラジオの中の会社『Skyrocket Company』(TOKYO FM)

 そんなわけで私がnoteで初めてオススメする番組は、TOKYO FM『Skyrocket Company』です!
 ……分かっているんです。こういうときは誰も知らない番組か、全国ネットの深夜放送なんかを取り上げた方がいいことは。でもね、1回目でマニアックな番組に行く勇気は出なかったし、例えばYouTuberとの舌戦がネット記事やSNSで切り抜かれている芸人さんの番組に行くのも、ねぇ。他の媒体でも触れられていますし、わざわざ私が触れなくてもと思ってしまうんです。東京タワーから出る10kW(及び各中継所)の電波を受信できるエリア+ノーマルradikoならば関東で聴けるぐらいが、初回を飾るのにふさわしく、かつ私が取り上げることを許される最大範囲のような気がします。
 それはさておき、『Skyrocket Company(以下、スカロケ)』とはTOKYO FMで月~木曜の17:00~20:00に放送されている番組で、パーソナリティはマンボウやしろさんと浜崎美保さん。「ラジオの中の会社」という設定で、やしろさんが本部長、浜崎さんが秘書を名乗っています。2013年4月1日開始なので、2024年で12年目。長寿番組ですね。
 余談ですが、個人的にやしろさんがラジオ界でもっと評価されていいと思うんですよね。聴いている人を傷つけないように言葉ひとつひとつを選んでしゃべっているのが伝わってきますし、それでいて面白いし、ラジオを大事にしているし。ただ、何年か前にラジオ業界の第一線で活躍しているフリープロデューサーさんに「関東を代表するしゃべり手はマンボウやしろさんだと思うんですよ」といったら、「何で?」って顔をされました。私の意見なんてそんなもんです。

「日常に寄り添った非日常」が面白さの秘訣

 また話が逸れました。元に戻して『スカロケ』の面白さについて述べさせてもらうと、「日常に寄り添った非日常感」だと思うんです。「会社」なのでリスナーは共通のイメージを持てますが、「ラジオの中」なので実生活とは違うと割り切れます。だから、番組サイトやスマートフォンアプリの「社員掲示板」にネタや自分の考え、もっといえば悩みや弱音を素直に書き込める。本音に近い気持ちだからこそ、その書き込みを読んだやしろさんも真摯に答える。真剣な言葉だからこそ、リスナー社員も一緒に考えたり笑ったりできる。そういった良い広がりが生まれているわけです。いうなれば、TOKYO FMが制作する全国ネット番組『SCHOOL OF LOCK!(以下、SOL)』(月~木曜22:00~23:55)で、「ラジオの中の学校」である番組と生徒(リスナー)との間で起きているのと同じ現象ですよね。
『SOL』といえば、やしろさんは初代教頭。実は私、『スカロケ』が始まった2013年4月初旬に、やしろさんのインタビューをさせてもらったことがあります。そのとき、「『SOL』で10代の子と向き合っていたら、感性が引っぱられてズルいことや悪いことを許せなくなっていた。番組を降りた後、同世代と感覚がズレていることに気がついた(要約)」とおっしゃっていたのが今でも印象に残っています。つまり、自分の価値感が変わるぐらいラジオに真剣に取り組む人ということ。『スカロケ』でもその真面目さが遺憾なく発揮されているというわけです。

エチュードコントなフリートークも魅力

 そして、フリートーク中にやしろさんと浜崎さんの間で突然始まるコントチックなやり取りも魅力のひとつ。番組中にやしろさんが引っかかった言葉や出来事をきっかけに、前触れなくやしろさんが仕掛け、浜崎さんが感じ取って受け、スタッフが流れにピッタリな音を出すなんてことがしょっちゅうあります。これはスタジオにいるみんなが集中して放送に取り組んでいなければ起こり得ないこと。12年前に私が上梓した『ラジオのすごい人たち~今こそ聴きたい34人のパーソナリティ』の中で、「スイング」と表現した現象です。こういったやり取りを聴けたとき、「得した」と感じるのは私だけでしょうか? 表現は違っても、こういったハプニングがうれしいのは共通なはず。「今日も何かがあるんじゃないか」と思わせてくれるところが、リスナーを引きつけるわけですね。
 それと、また話が逸れますが、ここ数年ローカル局を中心にワンマンスタイルへの移行が進んでいます。番組構成もメッセージ選びも音出しも、すべてしゃべり手が行うというものです。このワンマンでは、エチュード(即興劇)的な面白さはなかなか生まれません。しゃべりながらメッセージを選んで紹介しつつ、ボケた上で場面に合った音も選んでタイミング良く出す必要があるからです(書いているだけで頭がパンクします)。制作費を削減しなければならない現状は理解しているつもりですが、続け得る限り必要な人員を確保した番組を作ってほしいなぁという思いも込め、『スカロケ』を紹介させてもらいました。


『Skyrocket Company』の情報は番組サイトで


関東地方なら無料のradikoで聴取可能


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