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相互循環の基本

前回は身体の上手な使い方についてお話しました。
今回は「相互循環セッションの基本」について。少し長文です。

相互循環は自分の手で相手の身体に触れ、互いの間を認識していく施術です。その全ての工程の基本にあるのは「自分の手で自分の身体に触れる経験」です。

相互循環にも手順があります。確かにその手順を覚えることが1stステップです。

ひたすら練習しても越えられない壁

しかし、手順を覚えて経験を積んでも、それだけでは相互循環の世界観には結びつかない「壁」があります。1つ目の壁は、「自分と相手の両者にとって、心地よいポジショニングができる」というスキルです。

私たちはあまりにも「ちょっとした我慢」に慣れすぎて、我慢していることさえ気づかなくなっています。

自分を犠牲にする。相手に尽くす。自分のことよりまず相手から。こういった文化は美徳ともされ素晴らしいものですが、自分の我慢は、同様の辛さや硬さを相手にも与えていることもぜひ知って欲しいことです。

自然は我慢をしない

自然が豊かな場所に行くと、相手のために尽くすことも、自分だけが勝ち残ろうともしていないことに気がつきます。全体の一部として自分の存在の役割を全うし、相互に循環する仕組みが自然に働く場所に位置し、全体の流れの中に必要に生き、また必要に死ぬだけです。

こういった環境の中に身を置くと、いつの間にか養われる感覚でもありますが、相互循環やNatural Body Works(NBW)で紹介しているワークでも、全員が実感できる事がこのポジショニングによる影響です。

ポジショニングの大切さ

ここに位置取ると何とも言えない心地よさがあり、それ意外だと、どこかに違和感を感じる。そしてその場所は関係性の中で流動的です。

相互循環ではまず、「自分の身体に余分な力みが入らないこと」にとことん拘ります。その解決策の1つがポジショニングになります。

異次元の感覚

普段気づいていないちょっとした我慢や力みから解放された状態は、言葉にならない美しさと喜びに溢れます。抽象的な表現ですが、快適さや軽さという表現では余りに乏しい、異次元の世界です。体感できたときに、決して大袈裟な表現ではないことを実感されると思います。

その世界観で関係性を育んでいくのが、相互循環。そして繰り返しになりますが、その為に大切なことは、自分が辛さを感じていることに気がつくことです。

そのために、「自分の手で触れ、自分の手に触れられる」こと。
この2つの役割を同時に体感する中で、身体が発している多くの情報に触れ、ポジショニングの大切さに気づいていきます。

ただ触れる、ただ感じることの難しさ

多くの場合「触れて感じる」を飛ばして「何かをしよう、得よう、分かろう」とします。何もしない時間に我慢が出来ない感じです。でも何かをしてしまうと、それ以下のボリュームの情報は聞こえなくなります。

「ただ触れる」これだけで身体は相当に変化し、多くの情報をくれます。
このやりとりを感じられる事はとても大切な要素で、手技を覚えると同時にここを育むことで、アドバイスの意味を体感でき始める時がきます。

今までの人生の中で、別分野であっても、同じ層の経験ある方は共有できる世界観です。でも逆に、ずっと施術の現場にいて多くの経験があったとしても、その情報が見えていなければ、何の事だかわかりません。

見えていないものは自分の世界には存在していないのと同じで、無いものを理解しようとするには、考え、別の情報を組み合わせて空想するしかなく、似てて全く非なる物です。

だからこそ相互循環への向き合い方の1つとして「分からないことをそのまま保存できる」という大切な要素があります。次回はそんなお話です。

豊田玲子(遊びたい、身体大好き)
理学療法士 パーソナルトレーナー
2012 IFBB World Chanpionship Body Fitness 日本代表

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