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サイエンス ミクロ視点の塩

皆さんは、汗や涙をなめたことはありますか?
私は偶然口に入ったりとか、涙をなめたことあります。しょっぱいほどではありませんでしたが、塩味を感じました。(はい、おすすめはしておりません。)

度々になりますが、私たちの体内には塩分が含まれています。



ミクロの世界の塩

塩分は体内で結晶化しているというよりは、血液などの体液中でナトリウムイオン(Na⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)に分かれて働いていたり、違う物質に結合したりしています。
体内における塩分の働きをみてみましょう。

細胞の中と外の濃度を一定に保つ

人間の体は、およそ37兆個もの細胞が集まってできているといわれています。
細胞は塩がないと生きていくことができません。細胞膜(細胞をかたちどる膜)にはナトリウム・カリウムポンプが存在しており、細胞中外のイオンの出し入れを行っています。
具体的には、血液とともに流れてきたナトリウムイオン(Na⁺)を細胞内に入れて使ったり、多すぎたナトリウムイオン(Na⁺)をくみ出してカリウムイオン(K⁺)をくみ入れたりしています。【イオン勾配
塩分が多いほど水を引き入れてしまう浸透圧は、細胞の中と外の体液濃度がほぼ一定に保たれるようはたらくので、ナトリウム(Na)やカリウム(K)はイオン勾配や浸透圧の制御を助けているといえるでしょう。

神経に働きかけ刺激や命令を伝える

神経細胞は、温度や痛み、味などの刺激を脳へ伝えたり、脳から手や足を動かすように筋肉へ命令を伝えたりします。そういった神刺激や命令を伝えるときに、ナトリウムイオン(Na⁺)が働いています。イオンだからこそ細胞内に流入したり、膜電位を変化させたりできるのです。

塩化物イオン(Cl⁻)のはたらき

胃酸は胃の中の食べ物の消化を助けます。
胃液のうち胃酸は通常、胃の中に食物があるときに多く分泌されるようになっています。
胃酸の主成分は塩酸で、食べ物と一緒に入ってくる細菌をやっつける働きなどがあります。この塩酸は、体液中の塩化物イオン(Cl⁻)からつくられます。

栄養素の吸収を助ける

炭水化物が分解されると糖に、タンパク質が分解されるとアミノ酸になります。分解され小さい分子となった糖やアミノ酸は、ナトリウムイオン(Na⁺)と結びつくことで小腸で吸収されます。


塩の大きさを生かした調理

食品や料理に塩は欠かせません。
調味に使われる他、保存性の高い加工食品にも使われています。

脱水作用・防腐作用

塩には、食べ物の水分を抜く働きがあります。またその浸透力は高く、鶏ハムなど砂糖を先にすり込まないと味が入っていきません。これは砂糖の分子より食塩の分子が小さいためです。
また、食べ物の中に塩分を入れることで、雑菌が繁殖するのを防ぎます。
梅干しや漬物などは塩分が高いほど、保存性が高いといえます。

発酵・熟成を助ける作用

味噌や醤油などの発酵・熟成を助けます。
発酵自体は微生物により促されますが、塩は雑菌の繁殖を抑制し、塩分を好む麹(こうじ)などの有益な微生物が働きやすい環境をつくることができます。

酸化酵素の働きを止める作用

塩には、酸化酵素の働きを止める作用があります。酸化によって色が変わってしまう食材に塩を加えることで、食材の色を鮮やかに保つことができます。野菜をゆでるときに塩を少し入れるのは、そのためです。
高濃度の塩は加水分解酵素の作用を抑える作用があり、牛皮などはなめし工程の前に塩漬けして保存し、自然分解するのを抑えています。

酵素はたんぱく質からできていますので、たんぱく質を変化させる作用ともいえます。肉や魚に塩をふると、たんぱく質が凝固し身が引きしまってうま味を逃がさない効果があります。すり身・ミンチ肉など、先に塩を入れると粘り気が出て成形しやすくなります。

他にも作用・用途がある

食用以外にも、塩はさまざまな用途で使われています。
長くなりそうなので、続きは次回にさせていただきます!
次回、「塩の産業的役割について」投稿します。

週に1回の記事掲載を3ヶ月ほど続けてみましたが、2000字未満がよさそうですね。ご助言あればぜひコメントよろしくお願いします。

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