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はりねずみのジレンマ

「はりねずみのジレンマ」をご存知でしょうか。

19世紀ドイツの哲学者、アルトゥル・ショーペンハウアーが生み出した寓話で、「やまあらしのジレンマ」とも呼ばれます。

刺々しい針をもちながらも、近づきたい。
でも、近づくと自分の針で相手を傷つけてしまう。
それに、相手の針で自分も傷ついてしまう。

はりねずみのジレンマ

それをテーマに、お絵かきお話しかきました。


はりねずみハリーのジレンマ

作 QP Jun on 2017.2.25

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気の優しい はりねずみの ハリー

彼は 体を 何百本もの針で覆った はりねずみ

針は 自分をまもるもの
相手から自分を守ってくれます

針は 相手を攻めるもの
自分で相手を刺すこともできます

でも 気の優しいハリーは 自分から刺すことはありません

いつも なにかから身を守り
いつも なにかに近寄らず
いつも なにかを遠ざけていました

チクチクの針

自分の中と外を いつも区切っておくための針

自分の中に なにも近づけないように
自分の外を なにも傷つけないように

それは チクチクした ハリーの 心の壁


ある日 ハリーは 同じ針をもつ
はりねずみのサリーに出逢いました

ハリーとサリーは すぐに仲良くなりました

だって おなじチクチクの心の壁をもった
同じ優しさや 悩みををもった
はりねずみの仲間ですから

ある冬の夜

その日は いつにもまして
とても寒い夜でした

ハリーとサリーは寒さにふるえ
暖まろうと おたがい いつもよりも近寄りました

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近寄ったハリーとサリーは
おたがいのチクチクの針がささり
ケガをしてしまいました

つい 近づきすぎて

お互いが 相手を 傷つけてしまいました。


そして1年がたちました


冬になり また寒い夜がきたときです

ハリーとサリーは
お互いを ささないように
そうっと近寄りました

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だけど そんなに離れていては
とても寒い夜には 暖かくなれません

それでも、相手をきずつけてしまう

そんな気持ちが ふたりを近づけませんでした。

ふたりのおもいやりなのに

離れ離れの寒い夜の冬でした



また翌年の 冬の寒い夜

こんどは

あたたかくなれる
ぎりぎりまで

お互いの
針がささらないように

お互いが
相手を気遣って

近寄りました

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その年は

あたたかい冬がすごせました。

お互いが
お互いのための
あたたかい冬



そうやって ハリーとサリーは
それからの冬を
ずっと 暖かく過ごせるようになりました


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おしまい

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