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スキナキモチ

作:QP Jun on 2018.06.05


ある日、森の奥で、ひとつの「ヒカリ」がうまれました。

キラキラと黄色く光る、ちいさなヒカリ

ちいさな黄色いヒカリは、森のなかに咲いている小さな花をみて、
「きれいだなー」
そう思って、好きになりました。

緑の葉っぱの先に溜まっている朝露をみて、好きになりました。

おひさまの光りを通してゆらゆらしている葉っぱをみて、好きになりました。

こずえを楽しそうに追いかけっこしているリスをみて、好きになりました。

岩から滲み出る湧き水をみて、好きになりました。

ちいさな黄色いヒカリは、まわりに好きなものがたくさんありました。

好きなものに囲まれて、ワクワクニコニコ、いつも楽しくすごしていました。

ちいさな黄色いヒカリの名前は、【スキナキモチ】といいました。

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しばらくした頃、風とたのしそうに戯れている、
好きになった 小さな花をみて、

僕の光でも キラキラたのしそうにしてほしい。
と思いました。

もっと 僕を見てよ。
と思いました。

葉っぱの先の朝露が、
葉っぱの先からピョンとジャンプして、
ポチャンと川に楽しそうに飛び込むのを見ても、
僕とも楽しそうにして。僕を見てよ。

おひさまのヒカリで、
キラキラまぶしそうに笑っている葉っぱを見ても、
僕とも笑って。僕を見てよ。

ふざけあって、おいかけっこしているリスを見ても、
僕ともふざけて。僕を見て。

湧き水が、岩のうえの苔の上をスルスルながれて遊んでいるのを見ても、
僕とも遊んで。僕を見て。

こんなにみんなのこと好きなのに。」
「みんなも僕を好きになってよ。

ちいさな黄色いヒカリは、いつのまにかオレンジから赤く、
メラメラ光る赤いヒカリになっていました。

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メラメラ光る赤いヒカリは、
小さな花を赤く照らして戯れました。

今まで戯れていた風があたらないように、
風の邪魔をして戯れました。

朝露も、葉っぱも、おひさまも、
リスも、湧き水も、苔も、
みんな自分だけのものにしたくて、
みんなの邪魔をしました。

ちいさな赤いヒカリの名前は、【コイスルキモチ】に変わっていました。

みんな、僕を一番すきでいて。
一番にして!!

こんなにみんなが好きなんだから
みんなも僕を好きになって。

しばらくすると、
邪魔をされたみんなは、
メラメラ光る赤いヒカリから、
ちょっとはなれて過ごすようになりました。

メラメラ光る赤いヒカリは、
ひとりにぼっちになりました。

こんなにみんなが好きなのに。
なんで僕を好きになってくれないの。


ある日、ゆらりふらりと、
やさしい風赤いヒカリによりそいました。

風にふかれた赤いヒカリは、
もっとメラメラ光りましたが、
やさしい風がゆらりと語りかけました。

みんな、キラキラ光る君のことが好きなんだよ。

「みんながみんなを好きなんだよ。」
「自分だけ一番じゃなく、みんなそれぞれ一番なんだよ。」
「自分を好きになってくれる相手の気持ちは、自分では決められないよ。」
「自分を好きになってくれるのを、決めるのは相手の気持ちだよ。」

相手に好きになってもらうためには、相手を好きでいるだけ。」
「余計なことは、必要ないんだよ。」


メラメラしていた赤いヒカリは、
風にゆられて、ユラリフラリと光りだしました。

赤いヒカリはだんだんと、
優しく青くゆらゆらと光り始めました。

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相手の気持ちを自分で決めようとしていた、
自分が恥ずかしくなったのです。

自分が一番でいられるように、
まわりの邪魔をしていたことが恥ずかしくなったのです。


それから、ゆらゆら光る青いヒカリは、
相手が楽しくいられるために、
相手の気持ちを考えるようになりました。

相手が幸せでいられるように、
相手を愛おしく思えるようになりました。

ちいさな青いヒカリの名前は、【アイスルキモチ】になりました。


好きになってもらうためには、
相手を好きでいるだけ。
相手を愛おしく思うだけ。

そうして、青いヒカリと森の仲間たちは、
いままで以上に仲良くなったそうです。


アイスルキモチ】で、世界が満たされたからです。

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おしまい

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