ちいさな葉っぱの物語
ちいさな葉っぱは どこにだって
風に乗って 飛んで行く
公園で ころんでしまって
泣いている子のところにも
その子のまわりで くるりとまわって
やさしい風で つつんであげる
ちいさな葉っぱは どこにだって
風に乗って 飛んで行く
元気がなくて ただぼうっと
空を見ている人のところにも
その人の背中に そっと近づいて
ふわりと頭を なぜてあげる
ちいさな葉っぱは どこにだって
風に乗って 飛んで行く
すべり台の 一番高いところで
足がすくんでしまった子のところにも
急いでくるりと まいあがって
ゆっくり背中を 押してあげる
ちいさな葉っぱは どこにだって
風に乗って 飛んで行く
真っ赤な顔をして 大きな声で
頭から湯気を出して 怒っている人のところにも
胸の前で いったん止まって
パタパタあおいで 冷ましてあげる
ちいさな葉っぱは いつだって
その人のために 飛んでいく
ちいさな葉っぱは いつだって
その人のために 風に乗る
ちいさな葉っぱ その名前は
わたくし「言の葉」と申します
相手のための「言の葉」は
相手のこころに 染みわたる
自分のための「言の葉」は
自分のこころに 染み渡る
ふたつの葉っぱの ちがうところ
だれのための 葉っぱなのかな
自分のこころの 勝手さや
自分のこころの さびしさや
そんなののせた ちいさな葉っぱは
相手や自分を つつくだけ
とがった先で つつくだけ
相手に染み入る「言の葉」は
相手のために 風にのせる
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