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ミッション・ビジョンのコトバの混乱から

企業が掲げるミッション(Mission)やビジョン(Vision)について見たり、聞いたりしたことがある人は多いと思います。
いやいやウチの会社は企業理念と言っている、ミッションは使わずパーパス(Purpose)だよ、バリュー(Value)もあるよ、クレド(Credo)まで定義しているなど、多くの企業のミッション・ビジョン系コトバを見ていくと、実は多種多様です。

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ミッション・ビジョン系のコトバは、多くのサイトで解説されていますので、情報を得るには難しくはないのですが、コトバの種類だけでなく、解説や用法も幅があるので、大いに混乱します。例えば、ミッションを使命・存在意義として使ったり、目的や行動指針として使っているなどです。

結論から言うと、いくつかの定義の違いや用法の違いを頭に入れた上で、知っている様々な企業のミッション・ビジョンを見てみると、「このコトバをこういう定義で使おう」というように、自分にしっくりくるものが見えてくると思います。

以下に私がいいなあと感じた、いくつかの企業のミッション・ビジョンなどを紹介します。


最初はマネーフォワードです。

Mission
お金を前へ。人生をもっと前へ。
https://corp.moneyforward.com/aboutus/mission/

実はマネーフォワードのミッション、ビジョン、 バリューが私は一番しっくり来ます。
ミッション内容の意味だけでなく、それぞれのコトバの定義も添えてあり、とてもわかりやすく何を伝えたいが丁寧に伝わってきます。
あと、私もtoBサービスに関わってるので、内容も共感しやすいところが多いのかもしれません。


次は、ビジョナリーカンパニーでも取り上げられているSONY

Purpose 存在意義
クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/purpose_and_values/

Purpose を存在意義として掲げています。
プロダクトが "感動する" かということを開発やプロモーションなどの各部署で問いながら、仕事されているのではないかと想像できます。

SONYといえば、「It's a Sony」を思い浮かべる人も多いかと思いますが、こちらはタグラインといって、マーケティングやブランディングのための言葉のようです。2000年まで使われていたそうです。
社内外へアプローチできるとても秀逸な言葉ですよね。ただ、言葉の解釈で違いはでそうですが。

あと、SONYは創業者の一人、井深大さんが昭和21年に起草した設立趣意書も引用しておきます。

会社設立の目的
一、真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設
一、日本再建、文化向上に対する技術面、生産面よりの活発なる活動
一、戦時中、各方面に非常に進歩したる技術の国民生活内への即事応用
一、諸大学、研究所等の研究成果のうち、最も国民生活に応用価値を有する優秀なるものの迅速なる製品、商品化
一、無線通信機類の日常生活への浸透化、並びに家庭電化の促進
一、戦災通信網の復旧作業に対する積極的参加、並びに必要なる技術の提供
一、新時代にふさわしき優秀ラヂオセットの製作・普及、並びにラヂオサービスの徹底化
一、国民科学知識の実際的啓蒙活動https://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.html

売上もままならない時にこのような文章を書き、そしてそれが今も受け継がれているのはすごいと思います。むしろ、これがあり、受け継がれているからこそ今があるんでしょうね。


最後にコンビニのローソンです。

グループ理念
私たちは”みんなと暮らすマチ”を幸せにします。
https://www.lawson.co.jp/company/corporate/data/idea/

グループ理念は、使命を表していますね。このために存在しているとみると存在理由とも取れます。
ビジョンにもマチが入っていて、ローソンのスイーツブランド "マチカフェ"にもマチが入っているので、グループ理念が商品開発の現場まで浸透し、ブランディングも含めて社内への浸透力の素晴らしさを感じました。

以上、3つ紹介しました。
もちろん、好みや感性もあるので、はまらない人もいるでしょう。ただ、企業として大事なことや目指すべきものを言語化して、社員やユーザーに伝えることを試みる行為自体が、プロダクトやサービスに一貫性を持たせたり、質向上に寄与すると容易に想像できると思います。

最後に、ミッションやビジョンは経営層が作ればよくて、現場の人間は関係ないと考えている人がいるかもしれません。
実はそうではなくて、各部署や各チームでも会社に掲げられているミッション・ビジョンをブレイクダウンして、自チームのミッション・ビジョンを掲げる方が、仕事で選択が必要な場合や、この先どうすればいいんだろう?と悩んだ場合に、ブレイクダウンされた自チームのミッション・ビジョンが大きな助けになると思います。

特に「改善が必要なのに、目の前の仕事に忙殺されて、みんなが現状をこなすことで精一杯になっている場合」にもきっとミッション・ビジョンが、現状を改善する助け舟になると考えます。
「確かにこの仕事は大切だ! でもチームのミッションを考えると、コストをかけてでも、スケジュールをずらしてでも、ここでこういう改善を進めるべきだ。みんな協力してくれ」ってね。

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