外山恒一&藤村修の時事放談2019.12.12「進次郎を総理にしてサミットから追放されよう!」(その5)

 【外山恒一の「note」コンテンツ一覧】

 「その4」から続く〉
 〈全体の構成は「もくじ」参照〉

 かれこれ4年ほど半年おきに続けている、福岡在住の同い年の天皇主義右翼(でもインテリ!)・藤村修氏との〝時事放談〟シリーズである。
 2019年12月12日におこなわれた。
 年末だし〝今年を振り返る〟的な内容だが、過去の対談を今読んでも滅法面白いように、べつに2030年ぐらいになってから読んでも引き続き面白いだろう。

 第5部は原稿用紙17枚分、うち冒頭6枚分は無料でも読める。ただし料金設定(原稿用紙1枚分10円)にはその6枚分も含む。

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 ネトウヨ版の官製芸術展?

外山 実はぼく、一群の〝ポピュリスト〟政治家の中では唯一、河村たかしだけは例外的に好きなんだよね。

藤村 えーっ、そうなの?

外山 「表現の不自由展」の再開に際して、わざわざ〝抗議の坐り込み〟をしてみせたのも、なかなかいいと思った。

藤村 でもたった7分間だけだよ?

外山 だってあれはそもそも単なるパフォーマンスじゃん。本気で再開を阻止できるとは思ってないし、〝市長が抗議の坐り込みをした〟という絵が記録に残ればそれでいいんだから。

藤村 オレは「表現の不自由展」も河村たかしも、どっちも不愉快だったけどなあ。

外山 もちろん河村たかしもダメですよ。くだらん〝ヘサヨ展〟は不愉快だけど、それをちゃんと潰すにはかなりの〝芸〟というか、知性とセンスが必要だし、河村たかしにはそれはない。

藤村 そうでしょ?

外山 河村たかしも含めて、バカウヨの俗情と結託しての〝ヘサヨ展〟批判でしかないからさ。

藤村 あ、でも外山君が絓(秀実)さんの文体パロディで書いてた文章は面白かった(笑)。あの理屈の延長線でなら、河村たかしのパフォーマンスを一定支持するのも分からんではない。つまり、どんな理由からであろうと〝官製芸術展〟をぶっ潰そうとする行動は正しい、ということになりそうだもんね。動機は問わない、と(笑)。
 ……しかし、「あいちトリエンナーレ」をめぐる一連の騒動を承けて、ネトウヨ系の官製芸術展が近々どこかで開催されるらしいんだよ。詳しいことは忘れちゃったけど、荻上チキのラジオで云ってたし、過去の放送も聴けるからそれをもう1回チェックすればいいんだけどさ。

 外山が最初につけた註.おそらく藤村氏の誤解で、「あいちトリエンナーレ」閉幕の約2週間後の10月27日に、愛知県の在特会系の団体が「あいトリ」の「表現の不自由展」に対抗する意図で開催した、「日本人のための芸術祭 あいちトリカエナハーレ2019『表現の自由展』」のことだと思われる。〝官製〟ではなく、会場が県所有の公共施設だったというもの。
 (会話の流れ上、外山の早合点であったこの註も残しておく)
 藤村氏による註.東京オリンピック・パラリンピックを機に2020年に開催される予定の「日本博」のことである。故・津川雅彦氏が座長を務めていた「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」が推進していた事業で、この「日本博」を契機に文化庁は「文化資源活用推進事業」を立ち上げ、補助対象事業を募集していた。「あいちトリエンナーレ」は補助金対象事業のひとつであった。「日本スゴイ!」的な流れに沿ったイベントであることは疑いのないところであるが、「ネトウヨ系の官製芸術展」というのは言い過ぎであるかもしれない。詳しくはコチラを参照。

外山 ん? 〝ネトウヨ展〟があるの?

藤村 そうらしい。

外山 〝官製〟で?

藤村 そうそう。

外山 いやあ……どんどんやってほしいね(笑)。

藤村 そっちは支持するんだ?(笑)

外山 だってますます日本のバカ国家ぶりが進行して、露呈するわけじゃん。


 Fラン行政はどんどんネトウヨの圧力に屈しろ

外山 そもそも「あいトレ」問題の余波で、10月末に、ウィーンで開催されてた日本人アーティストたちのイベントまで潰されてるんだよ。〝潰された〟わけじゃないけど、ウィーンの日本大使館からの支援を切られた。

藤村 へー、それは知らない。

外山 それこそ会田誠とかが出品してた、間違いなく「表現の不自由展」よりずっと〝アート〟王道のイベント(「ジャパン・アンリミテッド」)。
 でまあ、会田誠も安倍ちゃんの扮装をしてワケの分からん演説をする動画とか出品してたというし(笑)、〝体制批判〟、〝政権批判〟的なモチーフが濃い作品が多かったらしい。当たり前だよね。芸術家が反体制的な思想信条や感性を持ってて、それを作品に反映させようとするのは、本来は凡庸なぐらいありきたりの話なんだからさ。
 それをまたバカウヨが〝反日美術展〟とか云ってネットで攻撃し始めたもんだから、後援してた日本大使館がビビったんでしょう。日本国内でやってた「あいトリ」ですら、バカウヨに屈した日本の美術シーンも、バカウヨと結託するような政治家たちも、出品してた外国人アーティストを通じて世界じゅうの笑い者になっただろうけど、関係者や来場者の大半が西欧人であるような、しかも「表現の不自由展」と違って〝アート〟としてもそこそこマトモで、外国人にもそれなりに評価されていたであろうイベントでそれをやるんだから、ますますトンデモな話だよ。
 バカウヨはもっともっと増長してほしいし、Fラン政治家はもっともっとバカウヨに迎合してほしいし、Fラン行政機関はどんどん圧力に屈したらいいと思う。日本が世界じゅうからバカ国家認定されて、もう相手にされなくなるまで、とことん事態を悪化させてもらいたい

藤村 ウィーンでやってるんだから、いくらネトウヨが騒いだって日本国内ではそこまで騒ぎは拡大しないだろうし、放っとけばよかったのにねえ。

外山 当然、その程度の〝政府おちょくりアート〟が後援を途中で打ち切られるとか、ヨーロッパの芸術家たちには意味が分からんわけですよ。

藤村 そうだよな。

外山 年表の、「10月末」のところに載せたやつ。

藤村 オーストリアとの「友好150周年事業認定を取り消し」か……やりますね(笑)。こうなったらもう、〝アート=娯楽〟ってふうに考えることにして、開き直ればいいんじゃない?

外山 うん、官製芸術展では、大多数のアホ国民が喜ぶような、毒にも薬にもならんようなことだけやってればいいんだ。

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