富山県産大豆充てんとうふ【今月のピックアップ商品】
富山県産大豆の甘みを感じるこだわりの豆腐
とやま生協プライベートブランド商品「富山県産大豆充てんとうふ」は長年組合員に愛されてきた、食卓に欠かせない商品。毎日変わらないおいしさをお届けするためのこだわりを、㈱富山ホーム食品 取締役会長の菊池 敏紀さんにお聞きしました。
「富山県産大豆充てんとうふ」の製造は午前2時から始まります。富山県産大豆のみを使用しているため、ほかの大豆が混入しないよう一番先に製造されているのです。
旧C O・O Pとやまのオリジナル商品として誕生して以来、とやま生協のプライベートブランド商品となった今も「大豆の味をしっかりと感じられる」と長年愛されてきました。
「おいしくない充てんとうふ」のイメージを変える
「おいしい充てんとうふを作るには、徹底した温度管理が一番大切」と菊池さん。すり潰した大豆を加熱して作った温かい豆乳を、一気に冷却する必要があります。しっかり温度が下がっていないと、凝固剤を入れた途端に豆乳が固まってしまい、均一な豆腐にはなりません。
しかし、開発当時の技術では加熱設備や凝固剤、容器などに問題があり、全国の企業が充てんとうふに挑戦したものの、なかなか均一な豆腐を作ることができませんでした。次第に充てんとうふは「薄い豆乳で作ったおいしくない豆腐」というイメージが広がってしまいました。
多くの企業が充てんとうふから手を引く中、㈱富山ホーム食品は容器の改良や凝固剤の配合など、「おいしくない充てんとうふ」というイメージを払拭するための工夫を凝らしました。そして、にがりのほかにグルコノデルタラクトンという凝固剤を使用することで一時凝固を防ぎ、均一な品質を保つ方法にたどり着きました。結果、にがりだけで作るより大豆の甘みをほどよく引き出し、崩れにくく滑らかな食感を持つ「富山県産大豆充てんとうふ」が完成したのです。
「当時の技術でできることを模索して誕生した商品です。今ではにがり100%の充てんとうふも当たり前になりましたが、だからこそ私たち独自の
豆腐になったと思っています」
組合員の声に応えて富山県産大豆100%使用
「富山県産大豆充てんとうふ」は富山県産のエンレイとシュウレイという2類の大豆のみを100%使用しています。
約30年前に日本で大規模な冷害が発生した際、富山県産大豆も大不作となり、十分な量を仕入れることができなかったそう。高騰する価格を抑えるため、アメリカ産大豆を混ぜて充てんとうふを製造したところ、当時の組合員から大反発を受けたといいます。
「値段が上がったとしても私たちは富山の大豆でできた豆腐が食べたいんだという声が多く、組合員さんがいかにこだわりをもって商品を選んでいるのかがわかりました。それからは何があっても富山の大豆を使うことを徹底しています」
「豆腐業界の生き字引のようなもの」と自称するほど、長年豆腐づくりに携わってこられた菊池さん。
「大豆は生きもの。毎日少しずつ変わるから、豆腐づくりは難しい。それが面白いんですけどね」と楽しそうに語られました。
この記事はとやま生活協同組合の機関誌リアン2024年8月号に掲載した「今月のピックアップ商品」を転載したものです。
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