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棒銀退治の決定版!~振り飛車の呼吸 参の型「三間飛車」~

『鬼滅の刃』を用いて、平手(ハンデなし)における「三間飛車」の組み方と棒銀への対抗策を解説します。
三間飛車のキホンとなる形については下記をご参照ください。


将棋は序盤・中盤・終盤と3つの段階に別れています。
今回は、三間飛車の序盤~中盤の途中までを解説します。

なお指し手の内容は、4/21更新のcakes連載とほぼ一緒です。
『鬼滅の刃』はわからない、という方はこちらの連載をご覧ください。



組み上がりまで

では、【振り飛車の呼吸 参ノ型「三間飛車」】の立ち姿を完成させるまでをみていきます。

前回の記事を引用します。

三間飛車を組むにあたり、優先度があります。
大きくわけると
優先度1:飛車と角と銀を適切なポジションにつける
優先度2:玉を囲う
ただし、相手が攻めてきたら、それに対応するのが最優先となります。

先手は三間飛車、後手は居飛車の呼吸「棒銀戦法」を使います。
まずは「優先度1:飛車と角と銀を適切なポジションにつける」です。

▲7六歩△8四歩

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まだ双方の角がぶつかっておらず、相手の飛車の前の歩も1つ進んだだけ。
なので、飛車を動かします(▲7八飛)。
飛車を左から3番目に持ってきて「三間飛車」の原型ができました。

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相手が△8五歩ときました。

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居飛車の呼吸はすぐに斬りかかってきます。
仮に▲4八玉だと△8六歩とされると、

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▲同歩と取っても△同飛と斬りつけられて失敗です。

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△8七飛成と「成る」手を受けることが難しい格好です。
▲7七飛と受けると△8七歩とされて角を取られて「駒損」です。



そこで、相手の飛車の前の歩が2つ進んだら角を動かします(▲7七角)。

新規棋譜5手

これで△8六歩ときても、▲同歩と取って

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△同飛なら角で飛車を取ることができます。

戻って、△8六歩とはせずに相手は角の道を開けてきました(△3四歩)。

新規棋譜6手

これも次に角を交換して斬りつけようとしています。
すぐに攻撃してきて、居飛車の呼吸は厄介ですね。
角を交換されないように角の道を止めます(▲6六歩)。

新規棋譜7手

いきなり斬りつけられる手はなくなり、これで一安心です。

棒銀

相手は棒銀戦法できます。
この棒銀を三間飛車で打ち破れれば、初段へ向けて一歩前進です。

棒銀は、飛車側の銀がまっすぐ突き進んでくる戦法で、伊之助のようだと記事で書きました。



まずは守りを固めましょう。
左の銀を角の横に持っていきます
△7二銀▲6八銀

新規棋譜9手

△8三銀▲6七銀

新規棋譜11手

これで三間飛車の左側は完成です。

△8四銀

新規棋譜12手

銀が突き進んできましたが、これ以上前進しても、右なら歩で、左なら角で取れます。
よって相手の攻めはまだこないので、玉を囲います。
玉は禰豆子です。


禰豆子


箱(囲い)に入れてしっかり守りましょう。

▲4八玉△7四歩▲3八玉

新規棋譜15手

一目散に玉を右に運びます。


伊之助の突進

さて、ここで△7五歩と相手が攻めてきたとします。
伊之助の突進です。



舐めてかかると獣の呼吸にやられます。しっかり対処しましょう。


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この場合は、歩を取って(▲7五同歩)、相手が銀を前進した(△同銀)ときに、

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▲9五角が好手!

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(角で)王手でかつ(飛車で)銀取り
見事な技が決まりました。



こうして技が決まったのは、相手が禰豆子(玉)を箱(囲い)に入れなかったからです。
ちゃんと箱に入れないと、禰豆子もこんな表情になります。


禰豆子2



なお、歩と歩をぶつけて銀の前進を試みるのを、「合わせの歩の手筋」といいます。
私の本にもよく出てくる手筋です。


美濃囲い

攻めを諦めて棒銀側も囲いを作ります(△4二玉)。

三間飛車も「優先度2:玉を囲う」にうつります。

棋譜16手

玉を飛車の元いた位置に移動させます(▲2八玉)。
後手も玉を動かして(△3二玉)、

棋譜18手

さぁ、あと2手で美濃囲いの完成です!

▲3八銀△5二金右▲5八金左

棋譜21手

美濃囲いが完成しました。
箱に入れて禰豆子も一安心。三間飛車の理想図になりました。

△5四歩▲5六歩

棋譜23手

5筋の歩も突いておくと後で生きてきます。


満を持しての突進

相手も囲いが完成したので、満を持して突進を試みます。
手始めは「合わせの歩の手筋」(△7五歩)。

棋譜24手

歩を取ると伊之助が突っ込んでくるので、歩を取らないのがコツです。
角を引いて(▲6八角)対応します。


棋譜25手

△7六歩に▲4六角と飛車取りに角を出てみましょう。

棋譜27手

△7二飛と逃げるのは▲9一角成と香を取りながら角を成って成功です。
よって△7三銀と受けますが、▲7六飛と歩を取りながら飛車を使います。

棋譜29手

相手の銀を下がらせて、こちらは飛車を使えました。
伊之助の突進をかわしての反撃です。

前回の記事を引用します。

居飛車の呼吸による攻撃を避けながら斬りつける、三間飛車のイメージにとても近いので、三間飛車は「流流舞い」をイメージして指しましょう。



流流舞い」は、揺らめく流水のように移動しながら斬りつける、回避と攻撃を合わせた技です。
そのイメージ通りに進んでいます。

全集中

相手が△4四歩と突いてきました。

棋譜30手

ここで2つの手段があります。
一つは▲7七桂と桂を使う手。

棋譜31手

この飛車と角と桂の配置は理想的です。
必ず役に立つので覚えておきましょう。

もう一つは、▲7三角成といきなり角で銀を取ってしまう手です。
こちらを本線で進めていきます。

棋譜31手

相手も△同桂と取りますが、▲同飛成と取り返します。

棋譜33手

この時の駒のやり取りは、
・角を取られて
・銀と桂を取る
互角のやり取り
です。

飛車を「成る」ことができたのは大きな戦果

ということで、三間飛車側が有利なやり取りです。

少し戻って、この図

棋譜30手

飛車と角が両方とも7三の地点にきいているのがおわかりでしょうか。
このように、複数の駒が一つの地点にきいている、いわゆる「全集中」状態のときはチャンスです。その地点に攻め込む手を考えてみましょう。

おわりに

今回は三間飛車の序盤~中盤の途中までを解説しました。
次の記事で中盤の終わり~終盤を解説します。


『鬼滅の刃』で炭次郎は、相手の「隙の糸」を見つけて鬼の首を斬ります。


将棋では、相手の玉を詰ませば勝ち。
つまり、相手の玉の「隙の糸」を見つけるのです。

「隙の糸」の見つけ方は、次の記事で解説していますので、ご参考ください!


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