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移住して、アイデンティティを手に入れた

こんにちは。
トネガワ フミと申します。
東京から富山に移住して5年目の主婦です。
5歳と8歳の娘2人と、夫との4人で暮らしています。

私は、気の合う人たちとワイワイと集まるのが好きです。
でも、あまりおしゃべりではないですし、自分のことを話すのは得意ではありません。
特に自己紹介が苦手でした。
趣味といえるものもありませんし、変わった経歴も仕事も持ち合わせていません。

そんな私でしたが。

移住したことで、
「東京から富山に移住した人」というアイデンティティを、
思いがけず手に入れることになったのです。

1 『富山』『北陸』といえばフミちゃんがいたっけね

最近はコロナのこともあり、
長距離移動がままなりませんが。

それ以前は、結構沢山のお友だちや知人が、
東京から富山まで遊びに来てくれました。

「テレビで富山特集やっててさ。蟹と白エビ食べるならいつがいいかな?」と連絡くれたり。

「家族で旅行したいんだ。子連れで富山ってどう?」とか。

「来月福井出張があるから、ちょっと会おうよ」とか。

「講演会で富山に行くんだけど、この日空いてる?とか」

たぶん、東京にいた時なら
「ぜひ今度ご一緒しましょう~」といいつつ、なかなか実現できない人とも。
富山に移住したことがきっかけで思い出してもらえて、
富山で会える、ということが増えてきて嬉しいのです。

この4年半で、我が家に泊まってくれた友人知人は20人以上。

ちょっと富山に立ち寄ってくれて、
お酒やお茶をご一緒できた方なら、それ以上です。

数としてはそんなに多い方じゃないかもしれないです。
でも、東京にいた時には、我が家にこんなに沢山の人が泊まりに来てくれることはありえなかった。
私の実力以上の数字です(笑)

高齢の両親も、10回以上は泊りに来ています。
もちろん孫の顔を見に来てくれるのですが、
毎回、黒部の温泉やら世界遺産の五箇山など、行きたいところや食べたいもののリクエストも欠かしません。

これってひとえに、『富山』の魅力なんですよね。

「フミちゃんに会いに行こう」と思ってくれた人もいたかもしれない。
でも、どちらかというと
「そういえば、フミちゃん富山にいたっけな」と
「フミちゃん」+『富山』
で連絡してくれた方が多かったと思います。

富山に行けば、美味しいものが食べられる。
新幹線でビューンと行きさえすれば、
絶景を見ることができる。
そんな富山の魅力がまずあって。

そのうえで「あ、そういえばフミちゃんがいたな」という感じ(笑)
それでも、思い出して会いに来てくれるって、
本当に本当に、嬉しいものです。


2 お客さま用の布団を買いました 

移住した当初は、レンタル布団を使用していました。
電話一本で、季節に合った清潔な布団を持ってきてくれて回収もしてくれます。
これはこれで使い勝手がよかったです。

そもそも、お客さま用の布団を持つなんていうのは、
ホテルのなかった時代の、おばあちゃん家がすることだと思っていました。

ところが、
我が家に泊まりに来てくれる人が次第に増えてきたので、
布団を2組買ってみることにしました。
買った後もみんなが来てくれたので、もとはとれたと思います(笑)。

子どもがいると、せっかく美味しいお店に行っても気を遣うばかりで、
遠路はるばる来てくれた方々とゆっくり話もできないことが多いです。
仕事のついでに来てくれる方の中には、
夜に到着して朝出立される方も多い。

だったら、
うちに泊まってもらった方が、ゆっくりご飯も食べられるし、
ゆっくりおしゃべりもできるし。
子どもたちとも遊んでもらえるなあと。

私は料理も掃除も得意ではないです。
料理は、自分や家族のためにするのは好きですが、
お客さまにお出しすると思うと緊張してしまいます。
掃除は、はっきり言って苦手です。

ですので、東京にいた頃は、
人様に自宅に泊まっていただこうなどとは、まったく考えられませんでした。

ところがです。

富山なら、魚がめちゃくちゃ美味しいから大丈夫!(笑)

朝どれのお魚のお刺身を買ってきて、地元のお酒を用意しておけば、
他はつたない料理でも、充分なおもてなしができます!

美味しいものを食べて、美味しいお酒を飲んで、
子どもとワイワイやっていれば、家が多少汚くても目をつぶってもらえるでしょう。
(と思っているけど、どうでしたかね? 今までいらしてくださった方々(笑))

そんなこんなで、
『富山のお魚とお酒』という心強い味方に背中を押され、
「ぜひぜひ泊まっていって~」と心から言えるようになったのです。


ちなみに、
「富山に行くならいつがいい?」とよく聞かれるので、
私がいつもオススメする季節をメモしておきます。

大人の方でちょっと立ち寄るくらいでしたら、
秋~春先をオススメしています。
なぜなら、お酒とお魚、蟹などが豊富で、ほんとに美味しいから!

子連れなら、断然、夏! です。
荷物も少なくてすむし、海で遊べるからです。
路面電車や絶景の中を走る電車、ドラえもん電車などもあるので、電車好きの子どもも楽しめると思います。

もちろん、歴史や世界遺産、観光スポットを訪れたり、伝統工芸を体験したりするのは、通年で楽しめます。


3 『富山』を贈る楽しみ

富山まで足を運んでいただかない場合でも、
贈り物をするのもとってもラクになりました。
『富山』の美味しいものを、自信を持って送ることができるようになったからです。

以前は贈り物を選ぶのって難しいな…と思っていました。
お菓子だと、中身はもちろん、包装の見栄えやブランドの知名度などを考えますよね。
すると、最終的にコスパを考えたり、妥協したりして選んでしまう自分がいたのです。

お菓子でも、心からのオススメを選べればよかったのでしょうけれど。
有名なお菓子とか、海外ブランドの新店とか、デパ地下の人気商品などに
あまりワクワクしないタチなので、情報が不足気味でした。
(作っている方が素敵だとか、歴史あるお店を若い人が一生懸命継いでいるとか、面白い仕組みで作っているとか、そういう応援したくなるお店は好きなんですけれど。)

そんな私が、富山に来てからは、贈り物に困らなくなりました。
自信を持って、「あの人にこれを送りたい!!」と思えるものに出会えたからです。

〇お酒好きな方なら迷わず「お酒」!
  水とお米の美味しい富山。大抵どれを選んでも喜んでもらえます。
  送る季節も問いません。
  
〇好奇心旺盛な人なら「お魚」。
  私が一番送りたいのはコレ。
富山のお魚をぜひ食べてもらいたい!
ただお魚は、獲れたり獲れなかったりがあるし、受け取り側も、忙しい時に送られても困ると思うから。双方のタイミングを合わせるのが難しい。密な連絡がとれる仲良しな相手、かつ、調理の手間を楽しんでしまえる好奇心旺盛な人限定。
※干物やオイル漬けなどの加工モノも美味しい。それなら送りやすい。
最近は、鮮魚に近い食感を残しながら保存や調理が楽な商品もできて、今年はそれを送ってみようかな、と楽しみにしています。

〇仲良しご家族には「蟹」!
  家族の団らん風景が思い浮かぶような方に送りたいのは「蟹」。
蟹も、私としてはとても送りたい! 
だって、「わ~!蟹だ~!」と感動してもらえると思うから。
でも、蟹と格闘するという苦行を与えることになってしまったら悲しいので…。
面白がって蟹と格闘してくれるような方に送りたい(笑)

〇好みがわからない方なら「梨」!
  富山県外の人にはあまり知られていないけれど「呉羽梨」という、みずみずしくて最高に美味しい梨がある。県の中央にある呉羽山で栽培される梨で、幸水から始まり、豊水、新高と、品種リレーで晩夏から初冬まで楽しめる。
何人かの人に送ってわかったことは、「梨」の隠れファンは結構多いということ。
万が一苦手な場合でも、梨なら人にあげたりもできる。
季節感もあって、呉羽の梨畑風景まで届けられるような気がする。
富山に来て発見したお気に入りの贈りもの。

  
まとめ 

仕事を辞めて子育てしている中で、自分のアイデンティティを喪失していました。
私って、なんなんだ。
語れることが何もないじゃないか、と。
自己紹介で子どもの年齢くらしか言うことがない、自分迷子だった私。

ところが、富山に移住したことで、
『富山』の魅力をまるまるお借りしてしまうという、
荒業を獲得!(笑)。

東京の友人知人からの
「最近どう?」という質問には、
富山のアレコレ自慢がとまりません。

遊びに来てもらえれば、
『富山』全体でおもてなしすることができます。
食べもの、行く場所、何でもござれです。

贈り物をするにしても、『富山』の美味しいものを、自信を持って送れます。

逆に、富山の方々からは「移住者」として、受け入れていただいています。
移住者は「旅の人」と言われます。
見るモノ、食べるものにイチイチ感動してしまうのだから、
やっぱり「旅の人」なのです。
そんな人がいてもいいんじゃない? と気に入っています。
その感動を発信する、このような場も与えていただいています。

『富山』という土地。
その魅力を勝手にお借りして。
勝手に楽しみ、勝手に語らせていただく。
とても満ち満ちた心もち。

移住前には、思いもよらなかった
“富山への移住者”というアイデンティティを手に入れたのでした。



【ライタープロフィール】

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トネガワ フミ
2016年1月に夫の転勤について富山に移住。東京都出身。若い頃は金融機関勤務でまちづくりに従事。(金融機関がまちづくりをしている事例って意外とあります) 今、はまっているのは“子育て”と“富山の魚”。偶然性や未完成なものに惹かれるタイプ。子どもが育つ楽しみや資源をシェアする「子どもと暮らしの企画toyama」主宰。ママのためのお魚さばきサークル「ママ×おさかな」共同代表。
富山県呉西にて、夫と娘2人との4人暮らし。ライター、エッセイスト。

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