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なにげない日常、すべてが特別。/【移住者インタビュー】北原 更紗さん

こんにちは。Uターン移住ライターのchiharuです。

今回、富山県射水市・新湊内川(しんみなとうちかわ)地区にIターン移住をした北原 更紗さんを取材しました。

「日本のベニス」とも称されている「新湊内川」地区は、竹野内豊さんや西田敏行さんが出演した映画「人生の約束」のロケ地としても有名になりました。

現在、そんな風情あふれる「新湊内川」地区にある古民家カフェ「cafe uchikawa六角堂」で旦那さんと一緒に働いている北原さん。家族も知り合いもいない富山に移住して変わったことや、移住者だからこそ感じる富山の魅力についてざっくばらんに語って頂きました。


北原 更紗さん

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京都府出身。両親の仕事の関係で引っ越しが多く、いくつかの地域での暮らしを経験。旦那さんの転職を機に、富山県射水市にIターン移住。現在は、古民家カフェ「cafe uchikawa六角堂」で働きながら、忙しくも充実した日々を過ごしている。


┃富山に移住したときの印象を教えて下さい。

《北原さん》そもそも富山に移住したのは旦那の転職がきっかけでした。私も旦那も富山には家族も知り合いもおらず、初めて訪れたのが転職の面接を受けたとき。新湊の景色を見た瞬間、なんだか懐かしさを感じるというか、温かい感じがしたのを覚えています。

-----新湊の景色って、とても素敵ですよね。港町らしいぬくもりを感じるというか。

《北原さん》そうなんです。ちょうど夕暮れ時だったせいか、人が誰も歩いていなくて……普通だったら哀愁というか寂しさを感じるじゃないですか?(笑)でもなぜか寂しさより、住んでいる人々の面影を感じるというか、不思議な気持ちになりましたね。船がたくさん停泊していたので、きっと早朝になるとこの船が動き出して、活気付くんだろうなって。

-----なるほど。北原さんにとって新湊という地域は、初めて見たときから何か惹かれるものがあったのですね。

《北原さん》富山県内には、富山市や高岡市など他にも魅力的な場所はたくさんありますが、初めて訪れた富山が新湊じゃなかったら、今とは違う印象を持っていたかもしれません。今思い返すと、初めての富山がこの新湊で本当に良かったなと、心から感じています。

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-----移住されて今年7年目になるとのことですが、実際に住んでみていかがですか?当初とイメージが変わったと感じることはありますか?

《北原さん》ん~、大きくは変わっていないかな?ただやっぱり、移住した当初は方言がきつく聞こえてしまうことが多々ありましたね。特に漁師さんの使う言葉って、ちょっと独特というか……「なにしとんがけ!」って言われて、てっきり怒られているのかと勘違いした経験も。でも実際は全然怒っていなくて、ただ心配してくれているだけだったり(笑)

-----分かります(笑)聞き慣れない独特な方言だと、「え?怒ってる?」ってビックリすることありますよね。

《北原さん》そうなんですよね(笑)でも本当は、新湊の方々はとても親切な方ばかりで、先日の大雪が降ったときも心配して声をかけてくださったり、お店の前の雪かきを手伝ってくださったり。雪が降ったときの助け合い精神、すごいですよね(笑)

-----地域の連携プレーが半端ないやつ!雪国あるあるですね(笑)

《北原さん》いざというとき、いつも助けてくださる情に熱い方ばかりなので、本当にありがたいなと感じますね。今はだいぶ方言も分かるようになって、私自身も普段の会話で富山弁が自然に出ているみたいで。先日も「更紗さんの富山弁、ナチュラルですね~」って言われちゃいました(笑)

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《新湊曳山祭り》


┃富山に住んで、変わったことはありますか?

《北原さん》都会と比べると、やっぱり目に留まる嗜好品が少ないのかなって。都会はあちこちに多くのお店が並んでいるので、ちょっと歩くだけでもウィンドウショッピングができちゃう(笑)「あ、これ欲しい!」って、どうしても物欲が出てしまうんですよね。

-----本当にそうですよね!私も関西に住んでいたときは、通勤路にもたくさんお店があったので、仕事帰りによく衝動買いしてしまったり……つい見ちゃうんですよね(笑)

《北原さん》そういう意味で、富山に移住して、本当に欲しいものかどうかを一度考えてから買い物に行くという行動に変化したかなと感じています。都会のように欲しいものがすぐ手に入らないし、自分でわざわざ出向かないと出会えない。でもそれって、私はある意味良いことだなって感じているんです。「今度、旅行に行った時に買いに行こう」とか、「ネットショッピングで取り寄せよう」とか、すぐに手に入らないからこその楽しみが増えたような気がしています。やっぱりいつでも手に入るより、やっと手に入れたときのほうが断然嬉しいじゃないですか。

-----確かに!すぐ手に入らないほうが、手に入れたときの達成感や期待感って大きいのかなって。都会にはない田舎ならではのメリットかもしれませんね。

《北原さん》そうですよね。私も以前、初めて魚津市を訪れたときに偶然立ち寄ったセレクトショップで、好きなブランドの洋服が置いてあったのを見つけたことがあったんです。なかなか置いてあるお店は珍しいブランドだったので、とても嬉しくてテンション上がっちゃいました(笑)それ以来何度か足を運んでいるのですが、魚津市までは距離もあるので、しょっちゅうは行けないですよね。たまにしか行けないからこそ、今度訪れたときはどんな洋服が置いてあるかなってワクワクしちゃう。訪れたときの楽しみができる、ある意味そんなところも良さですよね。

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┃富山ならではの休日の楽しみ方ってありますか?

《北原さん》都会ではマンション暮らしが多かったのですが、今は中庭付きの一軒家に住んでいるので、休日は飼っている犬と一緒に遊んだり、中庭をボーッと眺めていたり……富山ならではの穏やかな過ごし方ができていると思います。

-----素敵!家にいながら、中庭で自然も楽しめるなんて羨ましい!マンション暮らしでは味わえない経験ですよね。

《北原さん》中庭にはもみじの木があるので、「新芽が出てきた」とか「紅葉してきた」とか、季節が変わるたびに発見があるんです。富山に住んで、より四季の移ろいを感じられるようになりましたね。

-----四季の変化を楽しめるところって、富山の大きな魅力でもありますね。海も山も、新湊はさらに川もあって、自然に囲まれた暮らしの中から得られるものも多いのだろうな。

《北原さん》川沿いを散歩したり、海沿いでのんびりコーヒーを飲んだり、都会に住んでいるとなかなかそういう日常って経験できないですもん。港町に住んでいるからこそ味わえる日常ですよね。

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┃北原さんから見た新湊の一番の魅力を教えて下さい。

《北原さん》新湊は景観が良いところも魅力ですが、やっぱり地域の人の温かさだと思います。もちろん都会に比べて住みやすい部分もあれば住みにくい部分もあります。でも私は、この地域に住む方々の温かさがとても落ち着きますし、ただ暮らしているだけで四季の変化を感じられるこの環境も大好きです。

-----もともと住んでいる方から見れば当たり前のように感じることも、実は当たり前じゃないことも多いですよね。

《北原さん》そうなんです。新湊に昔から住んでいる方々は、「こんなところ、どこがいいの?」とよくおっしゃるんですが、私からすれば「いや、すごいところですよ!」って(笑)山もあるし海もある、川もある、おまけに水も美味しいし食べ物も美味しい。これってとても贅沢なんですよって言いたいくらい。新湊で暮らす方々の何気ない日常一つ一つが、実はとても貴重で素晴らしいんだと。新しい施設ができたとか、こんなサービスがあるとかじゃなく、もともとこの地域に根付いている暮らしそのものが、人の心を温めてくれるし、安らぎを与えてくれるのだと思いますね

-----なるほど。移住者だからこそ分かる良さですよね。私もUターン移住者なので一度外に出たからこそ分かることもありますし、ずっと富山に住み続けている人が気付かない魅力をもっと発信していきたいなと思います。何とも思わない日常、それこそが実はすごいことなんだと、ぜひ知ってほしいですね。

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《新湊の獅子舞祭り》


┃移住を検討されている方へのメッセージをお願いします。

《北原さん》富山の方々は、みなさんを快く受け入れてくれるので安心して飛び込んで来てほしいなと思います。「どこから来たの?」とか、初めはいろんな質問をされたりするかもしれませんが、みなさんを受け入れる体制あっての質問なので。住み慣れてくると、きっとそれが心地よく感じてくると思います。

私が初めて新湊の景色を見たときに感じた温かみ、その印象は6年経った今でも変わりません。「こんなところに住めたら幸せだろうな」とか「穏やかに過ごせそうだな」となんとなく感じるのであれば、絶対にその気持ちは廃れることはないと思います。もし移住することに何か引っかかることがあったとしても、その気持ちがあればきっと何でも乗り越えられると思うので。ぜひ自分の直感を信じて飛び込んでみてほしいですね。

-----雪が降るとか、お店が少ないとか、多少不便なところがあったとしても、自分が心地よいと感じる環境があるのであれば、きっと暮らしは豊かで幸せなものになるんだろうな。初めて訪れたときの印象や直感って、とても大切なのかもしれませんね。富山に興味がある方や移住を検討されている方は、ぜひ一度富山の暮らしや環境を五感で感じてみてほしいなと思います。北原さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

【ライタープロフィール】

Chiharu

千春さん写真 (9)

1985年生まれ。富山県出身。18歳で関西に上京し、大阪・京都・奈良にて12年間を過ごす。30歳のときにUターンで富山に移住。現在、小学生の男の子1人を育てるシングルマザー。
北陸の女性を応援するwebメディア「ワタシゴト」のママライターとして、
北陸のよいモノ・コト・ヒトを発信する活動を行っている。


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