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#5 ゆめちゃん、山へ還る

少しずつ慣れてきた様子のゆめちゃん。
私がごはん当番の時も、側できちんとお座りをして待ってくれるようになったし、一緒に寝る日もゴロゴロ言いながら側に来てくれるようになりました。

遊ぶ時は本棚の陰に隠れたりしてこちらの隙をうかがい、素早く猫じゃらしに飛びついて押さえたりパンチを繰り出したり。
その姿はハンターと呼ぶに相応しく、ジャンプも高くしなやかで美しさについ見惚れてしまいます。
もう嬉しくて嬉しくて筋肉痛などおかまいなしで猫じゃらしを振る毎日 ♪


・・・でも心配事は残っています。

室内飼いに慣れてくれるかな? という事です。

なんと言っても、叔父の家で、野山を駆け巡っていたですから。
いきなり家から出してもらえなくなるとストレスが溜まるのでは?

私が購入した本では、完全室内飼育を推奨されていました。
伝染病や寄生虫、交通事故・・・ etc. 
我が家の周りには野山はありません。それどころか交通量の多い住宅街です。万が一・・・なんてことは想像すらしたくない! 
お迎えする前の家族会議で、即、完全室内飼育を決定しました。

ならどうするか? 本には、猫は上下運動が大切、ジャンプできるように高さの違う家具を並べるだけでもいい運動になる、とありました。
今ある物で工夫できると知って随分気が楽になりました。
張り切ってタンスや本棚の配置を変えてお迎えです。

でも実際には、すぐにタンスや本棚を使って運動ができたわけではありません。
ゆめちゃんは部屋の隅々まで念入りにチェックしましたが、それは床面だけのことで、棚の上は未確認。
抱っこしてタンスの上に座らせても居心地悪そうで、『ニャー!』とすぐ飛び降りました。まるで、

ここはあんぜんかどうか まだしらべてない!

と言っているようでした。

だから上下運動もできるように、猫じゃらしを振る時は腕を高く振り上げてジャンプもさせるように意識していたのですが・・・


ここからは、全ての生きものに大事な話ではありますが、お食事中などには読まない事をお勧めします。

そんなある日、外出中の私に弟から電話が。

「ゆめの様子がおかしい」
平静を装いつつも不安が隠せない弟の声・・・

ドクン! と私の中で大きな音がしました。

落ち着け、落ち着け私・・・!
「・・・おかしいって、どんな風に?」

「猫じゃらし振っても反応しないし、突っ伏して寝てた。眠いのかと思ってたら、少し前から震えてる・・・!」

ドキドキが大きく激しくなりました。どうしよう・・・とにかく病院へ! 
しまった今日は休日! 開いてる所を探さないと・・・

ふと、ある考えがよぎりました。

「ねえ、昨日トイレ掃除した時ウンチ出てた?」

「え・・・」

トイレ掃除も当番制です。排泄の確認をするのも大事なこと。大きさや状態などを報告し合っていました。 

「私が一昨日見た時も、すごく小さいのが何個かあっただけ」

「俺も何かのカケラみたいに小さいのを見た。今まではうさぎの糞みたいなコロコロしたヤツが、それでも2~3個はあったのに。」

「・・・もしかして、便秘?」
便秘と考えると、思い当たることはいくつかありました。

猫はあまり水を飲まないそうですが、ゆめちゃんはとても少ないように感じていました。

それに山の中を走り回っていたから、運動量がかなり少なくなっているのでは? 
もし山に生えてる草を食べていたのなら、植物繊維だってタップリ摂れていたのでは・・・?

ちょうどネコ草が切れていて、ついつい『まあまだ大丈夫かな』と買い足すのが遅れてしまっていました。
後悔と猛省でドキドキが激しさを増していきました・・・ゆめちゃんごめん!!


とにかく今は病院をなんとかしなきゃ・・・

「山に連れて行く」
叔父に連絡して、山に連れて行ってみると弟が言いました。

丁度、弟は休みを取っていました。
決めたら素早い弟は、即叔父に連絡し出かけました。
夜にゆめちゃんの様子を電話で尋ねると、抱っこして山に連れて行くとすぐに飛び降りて草むらに消えたということでした。

以前にも、一晩戻らないことはよくあったから今回も多分、そうなると思うと。
私はとにかく猪に遭遇しないことだけを祈っていました。

翌朝、帰ってきて少し出た、と弟が写真を送ってくれました。マッチを横に置いて大きさがわかるようにして。(ここには載せません)

とにかく出た! でもまだ沢山出た訳じゃないから、もう少し叔父の家で様子を見ることに。
寂しいけど、元気になって戻ってくるのを待ってるからね。

弟が写真やメールで様子を教えてくれました。

まだ少し辛そう・・・


ようやく私も休みになったので叔父の家へ。
お土産(?)はペットベッドとネコ草です。

私を見て「ニャー!」と駆け寄ってくれました。
下の写真はお土産のベッドを見てすぐに入ったところです。
あれ? 安全確認は・・・?

値札もまだ取ってないのですが(汗)


数日で元気になって本当に良かった。
それに、私のことを覚えていてくれてすっごく嬉しかったです。

今度は私が連れて帰ります。

帰りに考えていました。
この出来事は忘れない。
私たちにどんな工夫ができるだろう?
ゆめちゃんが快適に暮らせる工夫。

カリカリ(ドライフード)は毛玉ケア性能の高いものを探さないと。
何種類か試した方がいいかな?
お水ももっと飲ませて運動も。
タンスの上にも上がっていいんだと教えてあげなくちゃ。
弟のジャージとか置いたら安心するかな?

着く頃には、多分弟も戻っている。

さあ、帰ろう。おウチへ。



【後日談】
山には猫が食べてはいけない植物もあると知ったのは、この数ヶ月後の事です(恐)・・・何事もなくて本当に良かった! (汗)


ここまで読んで頂き、ありがとうございます。


参考書籍:イラスト図解 室内ねこ くらす&育てる  日東書院
監修 松原ペットクリニック院長 岩富俊樹   著者 たまき みけ
(敬称略)




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