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【詩】冬の海

冬の海に会いたくなって 久しぶりに浜へ

雲は薄く伸びて空を隠す

雲に反射した光が 白く泡立つ波を 世界を
ぼんやりと照らす

風が強い 厚着も役には立たない
フードを被り 襟元を押さえる 


こんな日は誰もいない

今なら 心の中を覗けそうな気がした
気づけていない私の気持ちに

めまぐるしい日々 起こる出来事に向き合って
置き去りにした気持ちに

水平線が見えるようには 心の中が見えなくて
水平線より遠く感じる

誰もいないよ 空と 海と 雲と 風 

聞く人はいないから 出ておいで
聞かせて 隠している気持ち

子どものような 震える声が
聞こえた気がした

思い込んでいる
見えないと できないと
今のままなら傷つかないと

思い込んでいる
暴かれたら 夢を見ることもできなくなると 

風が 私の背中を強く押した

飛ばしてしまえ風に 流してしまえ海に
新風が吹き込む隙間を作れ


ああ 離していいのか 闘わなくていいのか
ただ 隙間を作り 新しい日を迎える

今はただ 力を蓄え じっと見る
それ・・が来たとき 掴めるように


いつの間にか雲間から 新しい太陽

黄金の光の矢が 大きくなる
光が広がる 全てを照らす 

今私がここに在ることを 望みを 迷いをも
肯定するように

強く照らす

光が 拡がる








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