見出し画像

【印刷研究所コラム】 vol.10 紙の取り方(紙取り/ 取り都合)

「紙の取り方」と聞いて「??」と思う方は少なくないかもしれませんが、印刷製本業界周りで紙の取り方は、コストに直結する重要な考え方のひとつです。

今回は、紙の取り方(紙取り)とそれに関連する取り都合についてお話しします。


印刷コストに直結する【紙取り】

印刷コストを考える上で紙代は無視できないポイントです。制作する印刷物の仕様にもよりますが、紙代がコスト全体の半分以上を占める場合もあります。
昨今、世界情勢の変化に伴う燃料価格の高騰や急激な円安の進行などにより紙の値段は更に上がっており、印刷物の制作コストを考える上で悩ましい問題になっています。

用紙価格高騰

通常の印刷では、製品の印刷データを紙に並べるように配置(面付け)して印刷することで紙を無駄なく効率的に使います。このときに、データを何面付けられるかという考えを紙取りなどといいます。

後加工を考慮しつつできるだけ余白が出ないようなサイズの用紙を選ぶことが印刷費の削減に直結するため、多角的な視点で慎重に考える必要があります。逆に言うと、制作物の設計段階で紙取りを考慮しておくことが効率的なコスト削減を可能にするので、案件を進行する印刷会社などに事前に相談することをおすすめします。



取り都合とは

紙の大きさに対し、製品を面付けした部分以外の余白(ロス)が少ない状態を “取り都合が良い” といい、逆に余白(ロス)が多い状態を “取り都合が悪い” といいます。

取り都合が良いということは使用する用紙が少なくて済むため、コスト削減の実現はもちろん、資源を無駄なく使うという環境配慮の観点からも有効です。

取り都合が良い例と悪い例


基本的な紙取り

紙取りでは無駄な余白が出ないように紙を選ぶ必要がありますが、基本的に仕上がりサイズがA列(A判)の場合はA列本判か菊判、仕上がりサイズがB列(B判)の場合はB列本判か四六判を選ぶと取り都合が良くなるようになっています。

ただし、折り加工や製本加工などの後加工が必要な案件では、紙目や余白を考慮して面付けする必要があるため、この限りではありません。

紙取りと紙目
※紙目に関しては、どの用紙にもT目(縦目)/ Y目(横目)のご用意があるわけではなく、片方のみ製造の銘柄もございます。あらかじめご注意ください。詳しくはお問い合わせください。


ひと工夫で白紙ロスを減らす

印刷工程における環境配慮のひとつとして、“白紙ロスを減らす” という考えがあります。
例えば、仕上がりサイズがもう少し小さければ面付け時にもう1面入るという場合、事前に仕上がりサイズを若干縮めた設計にしておくことで、用紙の無駄取りを抑えることができるなど、小さな工夫で大きな成果を上げることも可能になります。 

面付けと白紙ロス

また、パンフレットや冊子の制作時、表紙と本文を同じ用紙にすることでも白紙ロスを減らすことができます。さらに印刷機の稼働を減らしたりヤレ紙を減らすこともできるので、 環境負荷を大きく低減することにつながります。


最後に。

今回は、紙の取り方についてお話ししました。
進行する案件に適している用紙サイズや取り都合の改善案については、弊社
担当営業が案件ごとにご提案いたします。ご不明な点はご相談ください。


● 印刷に関するご相談・資料請求
こちら
● 簡単!印刷見積もり依頼
こちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?