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墓花。の第三十三首

今日は恩人の命日。
子供の頃にお世話になったお爺さんの命日です。

菊の花束をふたつ携えて墓地へ。
この時期の墓地は雑草が繁っていて、草むしりも作業のひとつです。

お墓まわりの除草と準備を終えたら、お墓にむかって合掌します。

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年齢と共に、私自身の墓参りへの向きあい方も変わってきました。


子供の頃はお盆の習わし。
子供である私にとってイベントのひとつ。
比較的涼しい時間に墓参りを終えると、いつもとは違う雰囲気のなかでの食事や休憩時間が待っていました。

やがて身近な人の死を経て、墓参りは故人との対話の場所になりました。


現在いまは故人との対話以上に、自分自身の内面と向き合う場面になっています。
故人と対話をしつつ、内面の安定や静けさを求める自分を自覚しています。

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今回、店頭に並ぶ花々や花瓶・鉢に活けられた花と比べて、墓前に供えられた花は美しさが違うと感じました。

故人との関係性や花に込められた思いなど、墓参にまつわる背景もさることながら、やはり花の本来の美しさは野にあってこそ。


大地から離れた生命が、六月の陽光に照らされて輝いていました。


第三十三首
雲間からこぼれた光を携えて
花弁を揺らす水無月の風
─── 音無桜花

2023.06.13.
命日に

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