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種火。の第百六十八首

第百六十八首
肩を打つ雨に凍える人影と
種火を分けあう言の葉燃やして
─── 音無桜花

2024.08.11.


突然に降り出した、視界を遮るほどの雨。
目の前の道さえ判然としないほどの雨。
温もりを奪う降り止まぬ雨。

私には雨を降り止ませることも、
道先に標を立てることも、
せめて傘を差しのべることも、
体を温めて苦痛をぬぐい去ることも出来ません。

三十音と少しの短歌。
言の葉を燃やして生じる、わずかな種火の熱。
その熱が届けばよいな、と思う。

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