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カラーとモノクロ 6

高齢化が進み、病気や脱退などで会やサークルのメンバーが減りつつある。現在そういう活動をしている人の大半は、団塊の世代、もしくはそれ以上の年齢であることが多い。

それより下の年齢層は、女性が社会で活躍する機会が増えたので、学業を続ける地盤も整って、奨学金を抱えることが増えた。結婚年齢も上がったので、子育てが若いうちに終わらないなど、さまざまな理由から、若い年代は趣味活動に参加している余裕がない。
また、若い人の楽しみ方が変化したと思う。自分なりの楽しみ方を見つけるのが上手になり、誰かの指導を仰がなくても、動画やリモート講座で趣味を深めることもできるようになった。
年齢層が高いサークルにこれから入ろう、という人も少ないと感じる。人間関係を面倒と考えるからかもしれない。

サークルのメンバーが減ったら、展覧会の頻度も減っていって、自然消滅することが多いように感じている。
はっきりと解散を唱えて、スッキリするサークルもある。スッキリすると、まだ余力がある人たちは新しい活動を始めたりする。それはとても素晴らしいと思う。

サークルの運営を続けたいので勧誘をするところもある。会のステータスを守るためにそれなりの人材しか入れない、推薦制というところもある。会友、会員など肩書きがつく大きな会になると、作品の評価が関係するので入ることが難しい。

勧誘する必要は、会の存続、文化意識の向上など、大切な部分もあるが、それだけではない。
会員が少ないと、会場を埋めるために一人あたりの出品数が増える。
費用は人数割りなので、一人あたりの負担額が大きくなる。
「仕事や家庭の事情で搬入、搬出には行けないが絵だけ預ける」 と言われたら、少ない人員で展示を行わなければならない。
会計や事務方をする人が限られてくる。
人数が減るといろいろ困ることが増えて、活動も人材あってのことなのだと感じる。

勧誘の仕方には品位が必要だと感じている。
展覧会の会場で、作品鑑賞をしている客を勧誘するのは良くない。しつこくすると、絵を見るどころか慌てて帰ってしまうだろう。そういう現場に遭遇したことが何度かある。
一般客ではなく、アートをしている人と知っているから勧誘する、それは理解できる。しかし、真剣に鑑賞している人に、相手が迷惑しているのにしつこく勧誘するのは、会場にいる他の一般客にもマイナスイメージだ。
普通「展覧会会場ではお静かにご鑑賞ください」 と言うべき主催者や会場当番などが、見つけたらチャンスとばかりに勧誘するのはいただけない。

特に自分のサークルに自信があると、あなたのためになるのだと言いつつ、実は相手のことなど本気で考えていないのではないかと思われる。相手の作品をきちんと見ないで、自分のサークルに入ればあなたに得になるからと、どうして言えるのだろう。誘う相手を過小評価している証拠ではないか。自分の傘下に入ればあなたのためだよ、などと言うのは自分のサークルが素晴らしいのだと自慢しているようなものだ。

もっとも、若い作家を育てたいという真摯な先生もいるでしょう。
育ててあげたいという気持ちと、育てて欲しいという気持ちが合致すれば文句はない。
そういう出会いなら素敵だと思う。
相手を大切に想う気持ちが先にあるのなら、自分の思いだけぶつけることはしないでいただきたい。

「来てくれてありがとう」
「次の展覧会も見に来てください」
と気持ちよく送り出すのがよいつきあい方だと思っている。
よいつきあいをすれば意識の上に悪い気持ちは残らない。そうすると、サークルのメンバーでなくとも、困っているときは助けたいというような気持ちも生まれてくるかもしれない。

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