スローエデュケーション=学育(ガクイク)」のススメ

スローエデュケーションをわかりやすく説明するとすると、どうなるだろう?そんなことをツラツラと考えていて思いついたのが「学育(ガクイク)」という言葉です。学校も含め、学習環境を提供する機関は一般的に「教育機関」と呼ばれます。生徒を教師が「教え・育てる場所」だからなのでしょう。私自身、英語スクールを開校してから一生懸命に生徒たちに英語を教えてきました。それが生徒のためになる、と信じて疑っていなかったのです。

英語を教えはじめて10年ぐらい経った頃からでしょうか。いくら教えても、英語が身に付く生徒となかなか身につかない生徒の違いはなんだろう。これをなんとか解明したい、という気持ちが起こりました。多くの生徒はテストで良い点を取りたいし、英検にも合格したいし、入試でも結果を出したいと思っています。生徒たちをよく観察し、対話し、保護者ともたくさん話し、気づいたこと。それは、生徒が自分で学びたいと思わない限り、身につかない、という事実でした。

知識が簡単に手に入らなかった時代。知識を持っている人、経験を積んだ人が教師となり、知識の伝授をすることは、社会的な基盤を作り上げるために必要だった、ということに異論を唱える人は少ないでしょう。だから知識が定着しているかどうかを測定するために試験をする必要があったのではないでしょうか。

今の時代も知識は必要です。ただ、この年齢だから、この知識がないとダメだ、ということではないのでしょうか。教師が持っている知識を、年齢やそれまでの知識量によって分けた集団(クラス)に一斉に教える、というスタイル。優れたAI教材も多い今の時代に、一斉教育が一番効率の良い方法なのだろうか。2022年末にChatGPTが登場してから考えはじめました。

一斉教育をして、同じ試験をした場合、その試験ができるかできないかが数値化、または相対化されます。子どもたち、もちろん大人も、一人として同じ人間はいないのに、1つのモノサシで測ることが必要な場面はどんな時なのでしょう。この問いについては、まだ私なりの答えは見つかっていません。

今の私に言えるのは、「学育(ガクイク)のススメ」です。一人ひとりが学び、育つことを一番大切に考えること。ただし、そのためには学習者自身が学びたい、という動機を持つことが必要になります。学びたい、と思える環境づくり。「学育機関」がするべきは、まずこの環境づくりだと考えています。

人が学び、育つための学育環境を作るのに最も大切だと考えているのは次の 点です。
1. 心理的に安心して学べること
 「ねばならない」ではなく、心から学びを楽しむために
2. 失敗を糧にできること
 できるまでは失敗の連続です。失敗の経験をうまく使えること
3. 人と比べないこと
 人から学ぶことと、人と比べることは違うことを知る
4. 成長を楽しめること
 できるようになった自分、仲間の成長にワクワクできる

「学育のススメ」について皆さんはどう思われますか?ご意見をお寄せいただければ嬉しいです。