〈メンバー限定〉共依存という病

2年前に他界した夫はセックス依存症だった。

私は結婚している間、夫の病気を治そうと必死だった。夫さえ治れば、夫さえまともな人間になれば、もしくは夫と離婚して離れられれば、私は幸せになれると、そう本気で信じていた。

そんなふうに依存症の家族に対して自分を犠牲にして献身的に尽くすことを「共依存」というらしい。私は間違いなく夫に共依存していた。

依存症の本を読み漁ったり、病院に連れていこうと血眼になって画策したり、分子栄養学を学んで食事を改善したり、思いつくことはすべてやった。それでも夫は変わらず事態は酷くなっていく一方だった。

夫のことで悩みまくり悲劇のヒロインになって絶望に打ちひしがれているうちに私の身体はどんどんおかしくなっていった。ある日、栄養満点の食事をしているにも関わらず、下痢が止まらなくなった。過敏性腸炎というやつだ。明らかにストレスが原因だった。何がそんなにストレスなのかと自分の内側に問うてみたところ、やはり夫との関係だった。もう限界だ。もう我慢できない。夫を変えるのは無理だ。私は私の道を進もうと、その時改めて決意した。

それから半年ほどして、夫が突然この世を去った。

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