メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん―古典から東洋医学を学ぶ―』第177号 新企画 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 5 「艾葉」(雜病篇・婦人・単方)他

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 ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆


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  第177号

    ○  新企画 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 5
       「艾葉」(雜病篇・婦人・単方)他

           ◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説 
      ◆ 編集後記

           

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 こんにちは。「よもぎ」のテーマ読みの続きです。
 文がさほど長くないですが、次の項目の都合で今号はひとつだけ読みます。


 ◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)


 (「艾葉」 p630 上段・雜病篇 婦人)

 艾葉

   使婦人有胎又能安胎止腹痛○胎漏生艾汁
   二盞阿膠白蜜各二兩煎至半服之又治胎動
  不安或腰痛下血不止艾葉
  半兩以酒煮服醋煮亦良本草

    
 ▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)


 艾葉

  使婦人有胎、又能安胎止腹痛。

  胎漏、生艾汁二盞。阿膠、白蜜各二兩。

  煎至半、服之。又治胎動不安、或腰痛下血不止。

  艾葉半兩、以酒煮服、醋煮亦良。『本草』


 ●語法・語(字)釈●(主要な、または難解な語(字)句の用法・意味)


  使 (使役の用法)~をして…しむ ~を…させる

  盞(セン)さかずき一杯分の量


 ▲訓読▲(読み下し)


 艾葉(がいよう)

  婦人(ふじん)をして胎(たい)有(あ)らしむ、

  又(また)能(よ)く胎(たい)を安(やすん)じ

  腹痛(ふくつう)を止(とど)む。

  胎漏(たいろ)、生艾汁(しょうがいじゅう)二盞(にせん)。

  阿膠(あきょう)、白蜜(しろみつ)各二兩(かくにりょう)。

  煎(せんじ)て半(なか)ばに至(いた)らば、これを服(ふく)す。

  又(また)胎動(たいどう)安(やすん)ぜざる、

  或(ある)ひは腰痛(ようつう)下血(げけつ)

  止(やま)ざるを治(ち)す。

  艾葉(がいよう)半兩(はんりょう)、

  酒(さけ)を以(もっ)て煮(に)服(ふく)す、

  醋(す)にて煮(に)るもまた良(よ)し。『本草(ほんぞう)』


 ■現代語訳■


 艾葉

  婦人の妊娠を促す。また胎を安定させ、腹痛を止める。

  胎漏には生艾汁二盞、阿膠、白蜜各二両を煎じ、

  半分の量に煮詰まったら服用する。

  また胎動不安、或いは腰痛、下血が止まない者を治する。

  艾葉半両を酒で煮て服用する。醋で煮ても良い。『本草』


 ★ 解説★

 よもぎのテーマ読みの続きです。項目建てがある部分の最終項です。後ひとつ残っていますが、湯液篇の中の項目建てがあり、むしろそちらが生薬解説としてはメインですね。単方の中での項目建てのよもぎは今号で最終です。

 上に記載があるようにこの項は「婦人」の章の内容です。

 この企画「「よもぎ」のテーマ読み」を始めた際に書いたのですが、あるよもぎの販売業者さんのこんな広告文に着目し、裏テーマを設定したのでした。


 「(前略)許浚の東医宝鑑には「婦人病の特効薬」と言われるほど・・・
 (以下略)」


 本当にこの「婦人病の特効薬」という記載が東医宝鑑にあるのかどうかの検証が、裏テーマのひとつにあったのですね。

 今号の内容は「婦人」からの引用ですが、「婦人病の特効薬」という記載はありませんね。これまで単方として項目建てがある部分を読んできましたが、現在のところ「婦人病の特効薬」という記載はなかったことになります。

 あとは湯液篇の項、そして本文中に解説や処方の中で登場する部分を読んでいくことになります。

 そしてその中によもぎが「婦人病の特効薬」という記載があれば広告文が正しかったことになりますし、なければ他の記事の子引き孫引きであるかどうかに関わらず、虚偽の広告だったということになります。

 まだまだ読むべき部分はたくさんありますので結論を出すのは早急ですね。科学の証明などでもそうですが、あることを証明するより、ないことを証明するほうが大変なのですね。

 なぜなら、あることを証明するには事例がひとつあればよいですが、無いことを証明するには、ありとあらゆる事例を検証しなければならず、ひとつでもみつかればある、ということになるからです。

 会社名は出していませんが、その会社の名誉に関わることでもありますので、このままじっくりゆっくり検証していくことにいたしましょう。


 ◆ 編集後記

 よもぎの通し読み、さほど長くない文ですが、次の湯液篇の項目が長いので今号はこのひとつで収めることにしました。次号はいよいよ、よもぎ項目のメインたる、湯液篇の生薬解説の項目建て部分です。
 
                     (2016.07.23.第177号)
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