メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第198号 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 28「鍼灸法」(雜病篇・婦人・鍼灸法)
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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
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第198号
○ 新企画 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 30
「鍼灸法」(雜病篇・婦人・鍼灸法)
◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
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こんにちは。今回も前号に続いて「婦人」の「鍼灸法」からです。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(「鍼灸法」 p631 下段・雜病篇・婦人・鍼灸法)
鍼灸法
婦人無子或産後久
不再孕取稈心一條長同身寸之四寸令婦人仰
臥舒手足以所量稈心自臍心直垂下盡頭處以
墨點記後以此稈心平摺横安前點處兩頭盡處
是穴按之自有動脈應手各灸三七
壯神驗即上所云胞門子戸穴也醫鑑
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
婦人無子、或産後久不再孕、取稈心一條、
長同身寸之四寸、令婦人仰臥、舒手足、
以所量稈心自臍心直垂下盡頭處、以墨點記、
後以此稈心平摺、横安前點處、兩頭盡處是穴。
按之自有動脈應手、各灸三七壯、神驗。
即上所云、胞門、子戸穴也。『醫鑑』
●語法・語(字)釈●(主要な、または難解な語(字)句の用法・意味)
稈(カン)イネ科の植物の茎、わら。
稈心(カンシン、みご)藁の外側の葉や葉鞘を取り除いた茎の部分。
わらしべ。
同身寸(どうしんすん)経穴を取穴する際の方法の一。
患者の身体部分、主に手指の幅や長さを基準とする方法。
摺(ショウ、ロウ)折りたたむ、折る、くじく。
▲訓読▲(読み下し)
婦人(ふじん)子(こ)無(な)し、
或(あるひ)は産後(さんご)久(ひさし)く
再孕(さいよう)せざるに、
稈心(かんしん)一條(いちじょう)、長(なが)さ
同身寸(どうしんすん)の四寸(しすん)を取(と)りて、、
婦人(ふじん)をして仰臥(ぎょうが)せしめ、
手足(てあし)を舒(の)べて、
量(はか)る所(ところ)の稈心(かんしん)を
以(もっ)て臍心(せいしん)より直(ただ)ちに
垂下(すいか)して盡頭(じんとう)の處(ところ)、
墨(すみ)を以(もっ)て點記(てんき)す、
後(のち)此(こ)の稈心(かんしん)を以(もっ)て
平(たひ)らかに摺(くじ)き、横(よこ)に前(さき)の
點處(てんしょ)に安(あん)じて、
兩頭(りょうとう)盡處(じんしょ)是(こ)れ穴(けつ)なり。
これを按(あん)ずれば自(おのず)から
動脈(どうみゃく)有(あ)りて手(て)に應(おう)ず、
各(おのおの)灸(きゅう)すること三七壯(さんしちそう)、
神驗(しんけん)あり。
即(すはな)ち上(うえ)に云(い)う所(ところ)の、
胞門(ほうもん)、子戸穴(しこけつ)なり。『醫鑑(いかん)』
■現代語訳■
婦人で子の無い者、或いは産後長らく再び妊娠しない者には、
長さが同身寸で四寸の藁の芯を用意し、婦人を手足を伸ばし
仰臥させ、先の藁を臍から垂直に下し、
尖端部分に墨で印をつける。その後、藁を均等に
二つ折りし、先の印に横に置けば、両方の尖端部分が
穴となる。この部位を按ずれば動脈の拍動を手に感じる。
それぞれに二十一壮灸をすれば著効がある。
これは上記の胞門と子戸穴である。『医鑑』
★ 解説★
前号に続く、雑病篇「婦人」の「鍼灸法」のお灸登場部分、13項目のうち一番最期の13番目の項目です。
「上に云う所の胞門・子戸穴なり」というのは、2号前、197号で同じ「婦人」の「鍼灸法」で見た、13項目の3番目に登場したくだり、ということです。
そちらでは簡単に「胞門は關元の左邊二寸に在り、子戸は關元の右邊二寸に在り。」と言っていたのを、こちらでは藁を使うという別の方法で図っていることになります。
同身寸、とは上に書きましたが、患者さんの身体を基準にした計測で、現在では単位の基準はわかりやすいように何センチとか、何インチとか、絶対的に決められていますが、かつてはこのように測る人の体を基準にしたものがあったのですね。服の寸法などもそうですよね。これは中国に限らず、エジプト初め各地にあったもので、おそらく世界中で採用されていた方法でしょう。
指の幅、手の大きさ、指先から肘まで、足のサイズ、などなど様々な単位があったのですが、人間の個々人の体の大きさの違いを考慮したら、絶対的に決めた単位が既製品だとしたら、その人のサイズを基準にしたものが、より合理的なフルオーダー、その人に合った測りかたと言えますよね。
ここではそんな方法が採用されているわけで、上記はシンプルかつ原始的な方法に見えて、そんな知恵が詰まっている方法と考えることができると思います。
◆ 編集後記
さらに続いてよもぎ使用としてのお灸の記述です。一日早い金曜日に配信でき、「婦人」の鍼灸法の登場部分がきれいに終わり、またちょうど200号、企画の30号で、なんとなくキリのよい感じで年越しを迎えることができました。(2021年11月30日追記:noteの配信では号数の調整で198号となっています)
東医宝鑑の全体からしたら、200号などまだまだごくごくわずかな内容しか読めていませんが、これからもゆっくりながらも着実に読み進めてみたいと考えています。
新年はこれまで通り初めの週末から、弛まず週一ペースで配信を続けたく考えています。本年もご講読いただきありがとうございました。来年も引き続き当メルマガを、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(2016.12.30.第198号)
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